■ 1. オープンモデルとクローズドモデル
- 2種類のAIモデル:
- クローズドモデルはモデル自体が非公開で、サービスのみが提供される
- オープンモデルはモデル自体が公開されている
- 従来の性能差:
- オープンモデルは最先端クローズドモデルより性能が低いのが一般的とされてきた
- 縮まる追いつき時間:
- オープンモデルがクローズドモデルの性能に追いつく時間は、AI分野のステージごとに飛躍的に縮まっている
- 半導体分野のブログであるSemi Analysisによる指摘
■ 2. 企業のモデル選択の変化
- ChatGPT登場以降の優位:
- クローズドモデルはパフォーマンス面でも連携面でも優位にあった
- AIを導入する企業の多くはクローズドモデルを利用していた
- 2026年の転換:
- Kimi K3やGLM-5.3といったパフォーマンス面でも優れたオープンモデルが次々と登場した
- プライバシーやカスタマイズ性、コストを重視する企業にとってオープンモデルの優位性が高まっている
■ 3. 最先端AIのコモディティ化懸念
- 価値の希薄化:
- 大手テクノロジー企業が巨額の資金を投じて開発するクローズドモデルと同等の性能が、はるかに低いコストで利用できてしまう
- 最先端AIの価値が薄れてコモディティ化する可能性がある
- 大手AI開発企業への打撃:
- 数兆円規模の出資を集めているOpenAIやAnthropicといった企業に打撃をもたらす
■ 4. 検証手法
- 3つの時代区分:
- 初期スケーリング時代(2022~2024年)
- 推論時代(2024~2025年)
- エージェント時代(2025年~現在)
- 測定方法:
- 時代ごとに異なるベンチマークでAIモデルを評価する
- 時代ごとの初期最先端クローズドモデルにオープンモデルが追いつくまでの時間を調べる
- ベンチマーク変更の理由:
- ベンチマークはAIの進歩に伴ってスコアが飽和してしまう
- 時代を区切って指標となるベンチマークを変更することで意味のある数値を得る
■ 5. 時代ごとの追いつき時間
- 初期スケーリング時代:
- 初期最先端モデルは2022年11月リリースのOpenAIのGPT-3.5(GPT-3.5 Turbo)
- ベンチマークはGSM8K、HumanEval、TriviaQA、MMLU-Pro
- 2024年7月にMetaのLlama-3.1-405Bが登場してようやく差が埋まり、19.7カ月を要した
- 推論時代:
- 初期最先端モデルは2024年9月リリースのOpenAI o1
- ベンチマークはGPQA-Diamond、AIME 2026、SimpleQA Verified、Humanity's Last Exam
- 2025年5月のDeepSeek-R1-0528リリース時点で差が埋まり、わずか8.5カ月で追いついた
- エージェント時代:
- 初期最先端モデルは2025年11月にAnthropicがリリースしたClaude Opus 4.5
- ベンチマークはTerminal-Bench 2.1、BrowseComp-Plus、τ3-Banking、DeepSWE
- Claude Opus 4.5はコーディングやPC操作といった複雑なエージェントタスクを実行できた
- 2026年4月にMoonshot AIがリリースしたKimi K2.6により、わずか4.8カ月で追いつかれた
■ 6. 分析結果の傾向
- 初期スコア差の縮小:
- 初期スケーリング、推論、エージェントと時代が下るにつれ、初期のスコア差が小さくなっている
- 追いつく時間の短縮:
- 時代が下るにつれ、追いつくまでの時間もほぼ半分のペースで短縮されている
■ 7. ベンチマークの限界
- 実作業との乖離:
- そもそもベンチマークは実際の作業を完全に反映したものではない
- スコアの作為的な調整:
- モデル開発者が狙って調整すれば、意図して高いベンチマークスコアを出せてしまう
■ 8. 米中AI競争
- 縮小する米中差:
- AI開発競争においてアメリカと中国の差が急速に縮まっている
- 利用状況やコストといった面では中国製AIがリードを奪うケースもある
- 経済紙のBloombergによる報道
- アメリカ企業の反応:
- 2026年7月にアメリカのスタートアップ企業各社がトランプ政権に公開書簡を送付した
- 中国製のオープンウェイトAIを禁止しないよう求めた