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なぜ出世したくないサラリーマンが増えているのでしょうか?に対するAkira Moriさんの回答

「昇進して管理職になった月、私の『手取り時給』は30%以上暴落しました。」

これが、現在の日本のIT業界で起きているリアルです。

若手が「出世したくない」と言うと、上の世代からは「向上心がない」「最近の若者は熱量が足りない」なんて言われがちですよね。

でも、現場で働く人間から言わせてもらえば、彼らは熱量が足りないのではありません。恐ろしいほど冷静に「コスパ」を計算しているだけなんです。

私自身の体験を少しお話しします。

1. 「給与アップ」よりも「残業代カット」のダメージがデカい

数年前、私はIT企業で現場のエンジニアから、チームリーダー(管理職扱い)に昇進しました。

基本給は月3万円ほどアップ。「期待しているよ」と上司に言われ、当時は誇らしい気持ちすらありました。

ですが、最初の給料明細を見て言葉を失いました。

  • 昇進前:基本給 + 残業代(月30時間で約8万円)
  • 昇進後:基本給+3万円 + 管理職のため残業代ゼロ

手取り収入が、前月より5万円近く減っていたんです。

しかも仕事は「手を動かす技術職」から、進捗管理、クライアントとの調整、部下のメンタルケア、社内政治の調整へ。労働時間は月30時間から60時間超に膨れ上がりました。

「働く時間は1.5倍になり、責任は跳ね上がり、手取りは減る」。 時給換算したら、昇進前より3割も下がっていたわけです。これでは何のために頑張ってきたのか分かりません。

2. エンジニアにとって「管理職=技術的リスク」

さらにIT業界特有の事情として、「現場の技術から離れる恐怖」があります。

ITの技術トレンドは数年で激変します。管理業務や会議に追われ、最新の技術スタックやAIツールに触れる時間を失うと、市場価値(=転職市場での強み)は一気に落ちます。

今の若手はみんな知っています。 「会社で貰った肩書き(課長など)」は転職市場では守ってくれないけれど、「個人で磨いた技術」はどこに行っても通用するということを。

自社でしか使えない社内政治のスキルより、自分の手を動かせるスキルのほうが、よほどキャリアの安全保障になるんです。

3. 上と下に挟まれる「板挟み」の惨状

今の管理職は、昔のように偉そうに指示を出していればいいポジションではありません。

  • 上からは:厳しいコスト削減と無茶な納期のプレッシャー
  • 下からは:ハラスメントに怯えながら、離職されないように顔色を伺うマネジメント

そうやって精神的にすり減っていく上司の背中を、若手は毎日間近で見続けています。「数年後に自分もああなりたいか?」と聞かれたら、NOと答えるのが普通ではないでしょうか。

かつての日本にあった「会社に尽くせば、年功序列で給料が上がり、老後まで面倒を見てくれた」という社会契約はもう崩壊しました。

今「出世したくない」と言っている人たちは、決して働くのが嫌いなわけではありません。

  • 自分の技術力を磨くこと
  • 副業や個人開発で複数の収入源を持つこと
  • 自分の時間や家族を大切にすること

彼らは「社内での出世」という過去のモノサシを捨て、自分の人生のQOL(生活の質)を自分でコントロールするための、最も合理的な選択をしているだけなのだと思います。

MEMO: