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見えないものを探る要求要件定義に必要な基本的思考

要約:

■ 1. 本講演の前提

  • 要求要件定義の経験:
    • 十数年前のJTC在籍時に頻繁に実施し、直近では3年ほど前に実施した
  • AXを軸にした組織改革との共通性:
    • 現在の仕事は専らAXを軸にした組織改革である
    • 組織に何が求められているかを検討する考え方は、要求要件定義とほぼ同じ

■ 2. エンジニアの役割変化

  • 一般的なソフトウェア開発プロセス:
    • 要求定義、要件定義、設計、実装の順に進む
  • 設計と実装のAI化:
    • 設計と実装はAIに置き換わりつつある
  • 人間の仕事のシフト:
    • 顧客要求の定義と、AIの成果物が満たすべき要件の定義へ必然的に移る
  • 要求要件定義をAIで置き換える難しさ:
    • 要求要件定義もAIに置き換わるという意見があるが、それは困難
    • 「ああしたい」「こうしたい」と要求するのは人間である
    • 目的や価値は天から降ってくるものでも、AIが決めるものでもない
    • 目的や価値を決められるのは人間だけ
  • 問題定義フェーズの役割分担:
    • 人間がpilot(操縦士)、AIがcopilot(副操縦士)を担う
    • 人間が顧客要求や提供したい価値を定義し、AIが並走して人間の思考を支援する
  • 問題解決フェーズの役割分担:
    • AIがpilot、人間がcopilotを担う
    • AIが設計と実装を行い、その成果物を人間がレビューする
  • AI時代のエンジニアの2つの役割:
    • 問題定義(どのような問題を解くべきか)
    • AIが設計実装した成果物の妥当性検証

■ 3. 目的と文脈

  • 文脈から生まれる目的:
    • 人の要求、すなわち目的は文脈から生まれる
    • 文脈とは物事の背景や状況、前提条件を指す
    • 暖かい外出用の上着をほしがるのは、寒い状況に置かれているため
  • 文脈による目的の違い:
    • 外出したいが外が寒い場合、外出用の暖かい上着がほしくなる
    • 家の中が寒い場合、暖房器具がほしくなる
  • 内的要因による目的の変化:
    • 寒さのような外的要因だけでなく、個性や価値観などの内的要因でも目的は変化する
    • 同じ暖房器具でも、ファンヒーターを望む人もいればエアコンを望む人もいる
  • 文脈による言葉の意味の違い:
    • カレーショップでの「水!」は、辛さを和らげる水がほしいという意味になる
    • 火災現場での「水!」は、鎮火用の水を持ってきてほしいという意味になる
  • 言語ゲーム:
    • 言葉の意味は単独では決まらず、用法や文脈によって変わるとする哲学概念
  • 文脈把握の必要性:
    • 相手が何をしたいかは表面的な言葉だけでは分からない
    • 相手が置かれている文脈まで把握する必要がある
  • 要求定義攻略の鍵:
    • 目的、すなわち要求定義を攻略するには文脈理解が必須

■ 4. 顧客の要求と未知の未知

  • 顧客は本当にほしいものを知らない:
    • ヘンリー・フォードは、顧客に尋ねれば「もっと速い馬が欲しい」と答えただろうと述べた
    • スティーブ・ジョブズは、人は形にして見せられるまで欲しいものが分からないと述べた
  • 要求表現の限界:
    • 人は要求を満たすための新しい手段を想像するのが困難
    • そのため、既に知っている手段や解決策の延長線上でしか要求を表現できない
  • 認識の3分類:
    • 既知の既知は、知っていてそれを自覚していること
    • 既知の未知は、知らないことを自覚していること
    • 未知の未知は、知らないということすら知らないこと
  • 未知の未知へのアプローチ:
    • 「もっと速い馬がほしい」は「馬」という既知の既知に基づいた発想
    • 本当にほしいものは未知の未知に眠っている
    • 自分が認識していない重要な概念があるかもしれないという姿勢を持つことが重要

■ 5. アウトカムからの逆算

  • アウトカムとは:
    • アウトプットによって何が変わったかを指す概念
  • 自動車のアウトカム:
    • 馬よりも速く、楽に移動できるようになった
    • 衛生上問題だった馬の排泄物が、自動車への置き換えで解消した
  • iPhoneのアウトカム:
    • デバイス1つでどこでもさまざまなことができるようになり、生活のあり方が一変した
    • 誰もが情報発信者になれるようになり、表現の民主化が進んだ
    • アプリ経済圏が誕生し、新たな産業や雇用を生み出した
  • 逆算の重要性:
    • 顧客にどんな変化をもたらしたいのかというアウトカムを先に定める
    • アウトカムの実現に何を作るべきかを逆算することが肝要

■ 6. 仮説推論と抽象思考

  • 思考の方向の転換:
    • これまでのエンジニアの仕事は、要求定義から実装へ向かう具体化
    • AI時代の仕事は、実装から要求定義へ向かう抽象化
  • 仮説推論:
    • 「たぶんこうではないか」という仮説を立てる
    • 仮説の検証や修正を繰り返して結論を導出する
  • 目的論的抽象:
    • 対象に付随する様々な特徴のうち、ある目的に合致した特徴のみを抜き出すこと
  • 必要なスキル:
    • 顧客の目的(要求)を「たぶんこうではないか」と仮説推論するスキル
    • 目的に必要な事柄だけを抽出して検討するスキル

MEMO: