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「コードを書くだけのエンジニアに未来はない」 SCSK堀井大砂氏が語る「AI駆動開発」が壊す日本の多重下請け構造

要約:

■ 1. IT人材不足の実態

  • 「2030年に最大79万人不足」の試算:
    • 経済産業省が2019年に発表した数字であり、AI普及前の前提に基づく
    • 現在、IT人材の需給構造は大きく変化している最中
  • 需要が減る人材:
    • 開発・保守の領域ではAI活用により従来型エンジニアの需要が減少する
    • 具体的にはコードを書き、保守・運用や監視、不具合対応を担う人材
  • 不足が続く人材:
    • AIなどの先端技術を活用し新たな価値を生み出せる人材
    • 海外を含む先端研究の動向を踏まえ、新技術を次々と導入していく人材
  • 両者の違い:
    • 技術への向き合い方の違いにある
  • 学び直し文化の衰退:
    • かつては新技術の登場が多くのエンジニアにとって学び直しの機会だった
    • 新しいフレームワークを自ら構築するなど、技術を体系的に習得する文化があった
    • パッケージ製品の普及により、そうした学びの文化は弱まった
  • 生成AIによる状況の一変:
    • 技術の変化速度が非常に速く、週単位で更新される開発環境への対応が前提となる
    • 変化に継続的にキャッチアップできるかがエンジニアの価値を左右する

■ 2. 労働集約型モデルの終えん

  • SES型ビジネスの岐路:
    • SESは技術力を労働力として提供するビジネスモデル
    • AIで開発効率が上がれば、作業人数を確保すれば売り上げが伸びる構造が崩れる
  • 人月の考え方の崩壊:
    • 人員数と作業工数で開発規模を測る「人月」という考え方も成立しにくくなる
  • 上流工程へのシフト:
    • システム開発会社も設計や実装だけを売りにすることはできない
    • コンサルティング、要件定義、企画などAIに代替されにくい上流工程へのシフトが急務
  • 汎用的な技術知識の価値低下:
    • これまではどの現場でも通用する汎用的な技術知識を持つエンジニアが重宝された
    • そうした知識はAIが最も得意とする領域
  • IT産業全体の構造転換:
    • 労働力を売るモデルから知識と判断力を売るモデルへの転換を迫られている

■ 3. AI生成コードのブラックボックス化

  • 不要なコードが含まれるリスク:
    • AIは短時間でコードを生成するが、内部に不要なコードが含まれる場合がある
  • 放置した場合の弊害:
    • 将来的なパフォーマンス低下を招く
    • 人間が保守する際にスパゲッティコードのような状態になる
    • 原因が解明できない状況に陥る
  • 品質保証は人間の責務:
    • AIで保守できるから問題ないという見方もある
    • しかしAI生成コードの品質チェックや開発標準への適合は人間が確認する必要がある
    • 最終的な品質を保証するのはあくまで人間の責務
  • AI前提の品質管理:
    • AIに仕様書や設計書、コード差分の要点を要約させてチェックを補助させる工夫が求められる

■ 4. エンジニアに求められる3つのコアスキル

  • 第1: AIをマネジメントする能力:
    • AIに適切に指示を出し、期待するアウトプットを引き出す力
    • AIの成果物は現状7〜8割の完成度であることが少なくない
    • 不完全な成果物を見極め、残り2〜3割を人間が補完して完璧に仕上げる力が必要
  • 第2: 批判的思考:
    • AIは過去のデータに基づいた答えしか出せない
    • 事実と異なる情報(ハルシネーション)を生成することもある
    • AIの答えをうのみにせず、正しいのか、本質的な問題は何かを常に疑い問いを立てる
    • AIに任せられる領域が増えるからこそ、最終的な価値を判断する人間の思考力が重要になる
  • 第3: ドメイン知識:
    • 事業ごとの業務知識を指す
    • 顧客の事業を深く理解し、AIに伝わるよう翻訳する力が求められる
    • AIと事業の間をつなぐ役割がより重要になる
  • 工数削減で生まれた余力の使い道:
    • IT人材が枯渇する中、保守・運用もAIによる効率化が急務
    • その結果、現場では業務時間の圧縮が進んでいる
    • 生まれた余裕を生かし、ドメイン知識を武器に顧客と伴走するエンジニアが価値を高める
    • 求められるのは「次に何を作るべきか」を提案できること

■ 5. 2030年のIT産業と働き方の変化

  • 事業会社による自社開発:
    • 事業会社によるシステムの自社開発が現実的な選択肢になる
    • AI活用で外部ベンダーとの仕様すり合わせの時間が減り、開発は現場主導へ移る
  • 多重下請け構造の変化:
    • 元請けから下請け、さらにその下へと業務を細分化して委託する構造は今後変化する
  • エンジニアの働き方の変化:
    • これまでは客先に常駐し、決められた仕様に沿ってコードを書くことが仕事の中心だった
    • 今後は複数のプロジェクトを横断し、知識と判断力で価値を生み出す形へ変わる
  • システム開発会社の役割の変化:
    • 単にシステムを構築するだけの存在ではなくなる
    • 事業の目的を共有し、AI活用を含めた変革を共に設計する事業推進のパートナーへ変わる

■ 6. 事業会社を含む人とAIの関係

  • あらゆる業界への影響:
    • AIがコード生成から業務支援まで担うことで、どの業界でも人とAIの関係が変わる
  • 人とAIの役割分担:
    • 人は何を作るかを考え、AIはそれを実行する
  • AIとの向き合い方:
    • AIを単なる道具ではなく、指示を出し、成果を確認し、改善を促す相手として扱う
    • そのサイクルを回す力がこれからの中核的なスキルになる
  • 残された問い:
    • 2030年まで残り4年
    • AIと人の協働をどう設計するかが、システム開発会社にも事業会社にも突きつけられている