もう検索エンジンに戻れない。
別にGoogleが嫌いになったわけじゃない。検索精度が落ちたとか、SEO記事ばかりになったとか、そういう話もあるけど、本質はそこじゃない。
検索エンジンって、思っていたより「自分で頑張る道具」だったんだなと最近気づいた。
たとえばUnityで意味不明なエラーが出たとする。
昔ならエラーメッセージをそのまま検索して、Stack Overflowを開いて、英語を読んで、バージョン違いの情報に引っかかって、別の記事を開いて、GitHub Issueを読んで、最終的に「俺のケースとは微妙に違うな」となっていた。
それを30分くらいやって、ようやく答えらしきものに辿り着く。
今はAIにエラー全文とコードを貼る。
「Unity 6です」
「WebGLです」
「新Input System使ってます」
と書けば、その条件込みで話を進めてくれる。
しかも途中で「それやったけど直らなかった」と言えば、その続きから考えてくれる。
これが一度当たり前になると、検索結果の青いリンクを10個並べられても困る。
いや、俺が欲しいのはリンクじゃないんだよ。
答えが欲しいんだよ。
最近これが検索だけじゃなくなってきた。
映画を探すときも「今週公開のアニメ映画で東京で見られるやつ」と聞く。プログラムを書くときも仕様を日本語で投げる。知らない制度があれば、その場で質問する。
昔は「何という単語で検索すればいいか」を考えるところから始まっていた。
今は自分が何を知りたいか、そのまま書けばいい。
この差がかなり大きい。
もちろんAIは間違える。
存在しない関数を平然と出してきたり、古い情報を自信満々に言ったりする。
だから公式ドキュメントを見るし、重要なことは検索もする。
でもその検索すら、以前とは役割が変わった。
昔は検索が入口だった。
今はAIに聞いて、「本当にそうなのか?」を確認するために検索する。
主従が完全に逆転した。
たぶん検索エンジンがなくなることはない。
一次情報を探すには必要だし、最新情報を見るにも必要だし、AIだって結局どこかの情報を参照している。
ただ、「分からないことがあったらまず検索する」という20年以上続いた習慣は、かなり早い速度で消えている気がする。
昔、百科事典から検索エンジンに移った人もこんな感じだったんだろうか。
便利なものに慣れると、前の方法が急に面倒に感じる。
検索窓に単語を打ち込んで、広告を飛ばして、SEO記事を避けて、欲しい文章をページ内検索する。
数年前まで普通にやっていたことなのに、もうかなりかったるい。
人間は一度「質問すれば答えてくれる世界」を知ってしまうと、
「はい、関連しそうなページを20件用意しました。あとは自分で読んでください」
という世界には、なかなか戻れない。