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異例の出版中止発表 「作者本人による虚偽情報の発信と拡散が確認された」 老舗出版社が法的措置検討

来年創業80年を迎える老舗の出版社・五月書房新社は16日、同社のXを更新。6月29日に発売を予定していた書籍について、作者本人による虚偽情報の発信と拡散が確認されたとして、当該書籍の発売を中止すると発表した。

投稿では「6月29日に発売を予定しておりました書籍に関し、著者・深田萌絵氏本人による一連の虚偽情報の発信と拡散が確認されました。これに伴い、当該書籍の発売を中止する決定をいたしました」と発表した。

発売中止となったのは、起業家の深田萌絵氏が、かつて中国で台頭した「浙江財閥」を題材にした著書。深田氏が「Amazonで販売開始された『ビッグプロット』は五月書房によって内容を改ざんされた『偽物』です。買わないでください!」などとXで訴えていることを受けたものとみられる。

五月書房新社は「深田萌絵氏とは、出版に向けた協議のもと、原稿提出、編集上のやり取りと内容調整、構成修正に対する確認と同意といった編集実務を通じて、段階的に制作作業が進められておりました。これらのやり取りはすべて、当社と著者間のメール等の記録に明確に残されております。また、当社は独立した日本国内の出版社であり、制作過程において中国共産党やその関係者が関与するような余地は一切なく、外部からの思想的・政治的介入は完全に存在しません。この点についても、関係資料により客観的に証明可能であることを申し添えます」と明確に否定した。

また、「SNS等で深田氏が発信している以下の内容は、いずれも根拠のない虚偽情報です」として、「当社が中国共産党の工作機関である原稿が一方的に改ざんされた売上が中国へ流れている」「著者が報酬(印税)を受け取っていない」の2点を挙げ、「これらはいずれも事実無根であり、とくに「改ざん」に関しては、編集過程の合意内容と履歴により虚偽であることが誰の目にも明らかです」とした。

報酬未払いについても「出版業界の通常慣行に基づき、印税は発売後に支払われるものであり、発売前に支払われないのは当然の取り扱いです。さらに、本書は発売前であるため、売上自体が存在せず、どこかに送金されたという事実は物理的に成立しません」と説明した。

「本書は発売に至っておらず、現在の予約はすべて自動キャンセルとなります。ご予約者様に費用請求は行われておらず、決済済みの場合も販売元を通じて返金対応がなされます」とした上で、「当社では、深田氏の一連の行為を重く受け止め、名誉毀損・業務妨害等に基づく法的措置を検討しております。あわせて、読者・書店・取次・関係機関への正確な情報伝達を速やかに進めてまいります」とした。

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