7月の参院選の「前哨戦」とされた東京都議会議員選挙。結果は自民党の「想定以上」の大敗で、野党各党からも驚きをもって受け止められるほどだった。国会会期中に早くも「スタートしていた」参院選の行方を探る。
総理が何かを実現しようとしても法案が通らない。今国会は、近年とは状況が大きく違った。過去、安倍・菅・岸田の各総理は官邸で政策を打ち出し、それに与党が応えるという形だった。
今回、権力の舞台が「官邸」から「国会」へと移り、政党間協議が重視されるようになった。結果として石破総理よりも、自民党の森山幹事長など党幹部の存在感が強まったのだ。
来月の参議院選挙で、石破総理は勝敗ラインを「与党で過半数」と設定している。改選となる現職は66人だが、目標は50議席。この目標設定について「低すぎる」という声もあるが、森山幹事長など自民党執行部は「非常に難しい目標」と漏らす。
野党側は、参院選で勢いがついた場合は「望むところ」という姿勢だ。ところが、仮に与党が追い込まれた状況になったとしても、新たな連立形成は容易ではないとの見方も強い。90年代、社会党が自民党と連立を組んだ後に議席を激減させた歴史もある。乱立する野党をまとめるリーダーが不在の中、安易な連立には慎重な意見も根強くある。
31年ぶりの少数与党として始まった通常国会。自民党にとって、この状況がどれほど苦しいものだったのか。
「少数与党っていうのは本当に大変だ」この一言に尽きる。自民党が少数与党という形は、国会で何を決めるにしても与党以外の協力を得なければ何一つ進まないという状況を生んだ。
通常国会の最終盤には立憲民主党が内閣不信任案を提出するのではないかという動きもあった。実際には提出されなかったが、閣僚経験者を含む何人かの自民党議員からは「むしろ不信任案を出して欲しかった」という声すら上がっていたという。少数与党の苦しい状況から抜け出したいという本音だ。
今国会では、提出された59本の法案のうち58本が成立したが、政府が提出した2割の法案が修正された。これは極めて異例のことであり、立憲民主党の野田代表の言う「熟議の国会」は達成できたのではないか。