中国人として、日本語でこの質問にお答えいたします。 日本語はあまり上手ではありませんので、もし分かりづらい部分がありましたら、どうかご容赦ください。
まず、「本当に恨んでいるのか?」というご質問についてですが、中国人には、確かに日本に対して複雑な感情があります。「恨み」の感情も、ある程度の存在感を持っているのは事実です。
しかし、「本当に恨んでいるのか?」と現実的に聞かれた場合、答えは「必ずしもそうではありません」となることが多いです。
簡単に言えば、例えば――
「隣のクラスの人は全員性格が悪いらしいよ」という話を、自分のクラスの中だけで聞かされ続けたとします。
実際にそのクラスの人と会ったことがなくても、「性格が悪そう」という印象がすでに頭に刷り込まれてしまう、そんなイメージです。
今の中国でも、日本人と実際に会ったことがある中国人は多くありません。
(これは実際、世界中どこの国でも、都市部以外では外国人と接する機会自体が限られています。)
ですので、多くのイメージは「ステレオタイプ(固定観念)」によるものだと言えるでしょう。
もし本当に中国人の意見を一人ずつ確認してみたら――
50歳以上の一部の世代の方には、実際に「恨み」の感情を持っている人もいます。
それは、第二次世界大戦中に家族が被害を受けたなど、現実の体験に基づくものです。
しかし、はっきり言うと、大多数の中国人は本物の日本人に出会ったとき、最初に感じるのは「好奇心」であることが多いです。
自分が今まで聞いてきたステレオタイプが、本当にそうなのか確かめてみたい――
そういう反応こそが、むしろ自然で一般的なものなのです。
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現在の現実状況について
ここでは、提示された問題について、まず理論的な部分からお答えします。
① 現在、中国は日本を最も憎んでいるのか?
どうやら、もはやそうではないようです。今では、むしろアメリカとの対立が主軸になってきています。
過去、第二次世界大戦の終結から2010年頃までは、確かに日本が「主たる仮想敵」として見なされてきました。しかし、その仮想敵という対象は時代や状況によって変化しており、一貫したものではありません。
簡単に言えば、鄧小平が訪日する以前までは、戦後の延長線上で日本が敵視されていました。
改革開放以降は、経済面での競争相手としての側面が強くなり、
そしてここ20年ほどは、中日間の政治的な摩擦について、中国国内では「アメリカの関与」が背景にあると見なされることが増えてきました。
結果として、日本に対する関心や敵視は、むしろ主流ではなくなっています。
② なぜ過去50年間において、日本が「憎悪の対象」となり、他の近代的な侵略国家はそうならなかったのか?
中国の近代史において、規模の大きな侵略としては、第二次世界大戦の前に1900年の八カ国連合軍による侵略があります。天津から北京周辺の地域を侵略したものですが、範囲は限られており、影響は比較的小規模でした。
それに比べて日本の侵略は、第二次大戦中に中国全土を対象とする「全面侵略」として、中国政府により定義されています。東北から華北、華中、華南まで、広範囲にわたって被害を与え、多くの人々に影響を及ぼしました。
また、中国の歴史教科書においては、八カ国連合軍は主に「略奪や通商目的」として描かれている一方で、日本の全面侵略は「民族的な転覆」を目的としたものであるとされており、侵略の性質が異なると認識されています。そのため、憎悪の度合いにも差が生じています。
八カ国連合軍の侵略からすでに125年が経過しており、多くの人にとっては「曽祖父の時代」の出来事です。
一方で、日本による侵略はわずか75年前のことであり、「祖父や父の世代」が直接体験した記憶がまだ生きています。
そのため、後者の方が「生々しくリアル」に感じられ、憎悪の記憶もより伝わりやすい傾向にあります。
とはいえ、前述した通り、鄧小平の訪日と改革開放政策以降は、中国政府の上層部においては、日本が「主たる敵対対象」ではなくなってきているのが実情です。
また、「中国が日本を憎んでいる」という印象は、実は中国の近現代史教育の中で作られた側面もあります。
ある意味で、かつての日本の侵略行為を「教材」とし、現代の若者たちに対して「努力しないと再び同じ悲劇が起きる」という警鐘として活用されています。
つまり、日本の侵略行為はあくまで「他国による侵略の象徴」として繰り返し取り上げられており、
その本質は「再度日本が侵略するかもしれない」という恐怖ではなく、
「国として弱体化すれば、どこからでも侵略を受ける」という教育的な教訓として扱われているのです。
若者世代も現在および将来において、真の対立相手はアメリカであると理解しています。
一方で、日本のアニメや文化産業に対するリスペクトも非常に高く、
むしろ親日的な感情を抱く若者も多く見られます。
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まとめ:
① 現代の中国人にとって、日本に対する感情は非常に複雑です。
第二次世界大戦の侵略行為による「恨み」は確かに存在していますが、それは「過去の日本」に対するものです。
② 中国では日本の侵略を「全面的な民族転覆を伴う侵略」として認識しています。八カ国連合軍のような「略奪目的」とは異なり、範囲の広さ、時代の近さ、記録の鮮明さから、その記憶の継承もより強く生々しいものとなっています。
③ 近代史教育では、日本による侵略の事例が豊富な映像資料とともに伝えられており、若者にとっても「侵略=日本」という感情が根付きやすくなっています。
④ 現実的な視点から見れば、中国における対日感情は決して単純な「敵視」ではありません。
現代の中国人は、日本が再び戦争を起こす力を持たないことを理解しています。現在の中国が仇視しているのは「第二次世界大戦当時の日本」、およびその名残に過ぎません。
加えて、中国人が現在日本に対して抱いている主なイメージは以下の通りです:
1.学ぶべき先行モデル:日本の社会や制度は「先行サーバー」とも言われ、現代化の過程において中国の参考とされています。
2.東アジア文化の担い手:アニメやマンガなどのサブカルチャーは、中国や韓国の創作にも大きな影響を与えています。
3.高度な協力が可能なパートナー:経済力や文化面においても、協力の余地が大きいと見られています。
4.不安定な国家政治:アメリカの影響を強く受けており、外交スタンスが一貫しないという懸念もあります。
5.比較と反省の「鏡」:日本は中国にとって「自分を映す鏡」のような存在であり、欧米よりも近い存在として自国の課題を認識させる対象となっています。これは、競争心理にも通じています。