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東京新聞、元日コラムを全文削除でおわび だが、これでよかったのか?(楊井人文)

要約:

■ 1. 問題の経緯

  • 東京新聞が1月1日に掲載した「新年に寄せて」と題する西田義洋特別報道部長のコラムに誤りが発覚
  • コラムの冒頭部分:
    • 「『中国なにするものぞ』『進め一億火の玉だ』『日本国民よ特攻隊になれ』。ネット上には、威勢のいい言葉があふれています」と記載
  • 記事掲載直後からSNS上で同じ言葉はほとんど見当たらないとの指摘が相次いだ
  • 東京新聞はコラムとして成り立たなくなったとして全文削除
  • 1月9日付朝刊とデジタル版におわび記事を掲載

■ 2. 東京新聞の説明と対応

  • 読者からの指摘を受けて投稿内容を見直した結果:
    • 対立をあおる意図で使われているとはいえず引用に適したものではなかった
    • 引用した言葉がネット上にあふれているという状況にはなく表現の仕方も不適切だった
  • 例示した言葉は特別報道部長が昨年1年間のX(旧ツイッター)を検索して見つけたものと説明
  • 特別報道部長本人の事前確認が不十分
  • コラム掲載前の編集局としてのチェック体制にも不備があった
  • 事実確認の徹底とチェック体制の強化による再発防止に努めると表明
  • おわび記事の掲載方法:
    • 紙面版では元日朝刊と同じ「特報面」に掲載
    • デジタル版では問題のコラム記事と同じURLに全文差し替える形で掲載
    • デジタル版トップページの目立つ位置にも表示
    • X公式アカウントにも投稿
    • この種の訂正記事としては比較的長く丁寧で新聞社の訂正としては異例の対応

■ 3. 元のコラムの内容

  • 昭和史研究家の故半藤一利氏(2021年死去)が「国民的熱狂をつくってはいけない」と言い残した言葉などを引用
  • 末尾で「『熱狂』に向かっている状況に歯止めをかけ、冷静な議論をできるような報道を続けていきます。今年も、ご愛読よろしくお願いします」と締め括っていた
  • デジタル版で非会員は前半の一部しか見れないようになっていた
  • 冒頭の書き出しがSNS(X)で炎上

■ 4. 筆者の視点と疑問

  • 全文削除という対応への疑問:
    • おわび記事は一見丁寧だが腑に落ちる説明になっていない
    • 真相は本人が語るしかない
  • 考えられる可能性:
    • 「勇ましい言葉」が飛び交っている印象が頭にあり十分調べずうっかり書いてしまった
    • 検索していた各投稿の真意や拡散状況をきちんと確認していなかった
    • 文言が長かったためわかりやすく「丸めた表現」にした
  • 昨年かなり拡散した投稿の中に「理不尽な中国の暴虐に対し日本の方々よ一丸となって戦いましょう」という趣旨が変わらない投稿が存在
  • 別の投稿を引用していればコラムとして成り立っていた可能性がある
  • 誤りの部分は率直に認めつつ元のコラム全文を公開し丁寧に説明することの方が理解と信頼につながったのではないか

■ 5. メディアの説明責任に関する提言

  • 新聞は双方向性がなく丁寧な説明には向いていない媒体
  • 「紙面」や「コメント」での対応にこだわっていてはうまくいかない
  • 記者会見という方法:
    • 報道機関から厳しい質問を受け社会的な説明責任が求められるのが一般的
    • 逆のパターン(報道機関の不祥事や疑惑)での会見が行われることは滅多にない
    • 大抵官僚的な短いコメントで済ます
    • こうした慣行が人々を伝統メディアから遠ざけている要因の一つ
  • 動画配信など様々な手段がある
  • しかるべき人が顔を見せ寄せられる疑問に耳を傾け人間味ある言葉で率直に説明を尽くすことが必要