■ 1. 書籍『過疎ビジネス』の概要
- 福島県国見町の官民連携事業を取材した河北新報記者による調査報道をまとめた一冊
- 地方紙記者がスクープを飛ばした取材の経緯を語る内容
- 地道な調査報道に基づく正統派ジャーナリズムの意地と矜持を示す
■ 2. 問題となった事業の実態
- 人口8000人ほどの福島県国見町で高規格救急車12台を近隣自治体に貸し出す「リース事業」が2022年に突然開始
- 原資は「企業版ふるさと納税」で寄付された4億3200万円
- 寄付元は匿名だったが後にDMMなど関連企業3社と判明
- コンサル企業社長の発言:
- 「無視されるような、ちっちゃい自治体がいいんですよ。誰も気にしない自治体」
■ 3. 問題の構造
- 悪徳コンサルだけでなく国/企業/自治体/地元報道までもが互いに癒着
- 自治体は単純な「被害者」ではない構図:
- 地方の過疎自治体(「限界役場」)には地方創生を担える人材がいない
- 外部コンサルに丸投げの状態
- これが不正を生む土壌となっている
- 人口減に苦しむ地方を「食い物」にする実態
■ 4. 取材における困難
- 著者の横山記者と対談相手の両者ともに大手弁護士事務所から「記事を取り下げないと訴えるぞ」と通知を受けた
- 形勢が悪くなるとぱったり止んだ
■ 5. 報道維持の困難さ
- 新聞のような報道を維持することは全然お金にならない
- 賞を取っても部数は伸びない
- 不動産事業で赤字をカバーしている新聞社もある
- 大手出版社も本や漫画でなく不動産で稼いでいる状況と類似
- アメリカでも地域紙が姿を消し「ニュース砂漠」が急速に拡大:
- 地元紙のない地域では明らかに汚職が増えている
- 東北などではすでに同じことが起こりつつある
- 億万長者による新聞社買収(ベゾスのワシントン・ポスト買収など)も権力の圧力に弱まる傾向あり
■ 6. 新聞/文章の重要性
- 行政監視はマスメディアの重要な役割の一つで新聞社の役割は大きい
- テレビ局は放送法で一定の規制を受けるが新聞社を直接的に縛る法律は存在しない
- 報道の自由は憲法21条が保障し民主主義の根幹をなす「知る権利」に奉仕する
- ジャーナリズムの核心は動画でなく文章(テキスト)にある
- 社会の根幹を築く文章の役割は常に過小評価されている
- 弱者を食い物にする悪を暴き世の中に公正さをもたらすためには文章を大切にすることが第一歩
■ 7. 関連情報
- 調査報道は河北新報だけでなく週刊東洋経済も活躍
- DMMは河北新報の連絡は無視したがよりメジャーな週刊東洋経済の取材には回答
- 週刊東洋経済でも近いテーマの号が出ており著者の横山氏も寄稿