「Wayland」は、「X11」に代わる新しいLinux向けのディスプレーサーバーであり、より現代的で安定性が高く、安全性にも優れている。Waylandは、描画性能の向上、複雑なGUIのより効率的な処理、セキュリティ面での大幅な改善を実現する。
Waylandは以前から存在していたが、課題となっていたのは、長年使われてきたX11からの移行に、Linuxディストリビューションやデスクトップ環境が時間を要していた点である。
しかし、状況は現在変わりつつある。人気の高いLinuxデスクトップ環境の1つである「GNOME」が、「GNOME 49」でX11セッションのオプションを無効化し、「GNOME 50」ではX11関連のコードを全て削除する方針を発表したためである。
Jordan Petridis氏によれば、「5月6日にGNOMEリリースチームで会議を行い、その中でX11セッションの扱いについても議論した。カラーキャリブレーションに関する既知の問題が1件あったが、それについては修正が予定されていた。会議では、X11の削除に関するスケジュールと想定されるシナリオについて検討し、GNOME 50や『Ubuntu 26.04 LTS』まで延期するよりも、『Ubuntu 25.10』のリリースとタイミングを合わせてGNOME 49で進めるのが最適であるという意見が出た。その後、この件はいったん保留とし、1週間後に予定されていたUbuntuチームからのフィードバックを待つことになった」と述べている。
その後、6月にUbuntuの「Discourse」サーバー上で、Ubuntu 25.10(開発コード名:Questing Quokka)から「Xorg」ベースのUbuntuセッションを廃止する方針が発表された。これにより、Ubuntuデスクトップの進化における重要な一歩を踏み出すことになる。このリリース以降、「GNOME Display Manager(GDM)」におけるUbuntuセッションは、Wayland上でのみ動作するようになる。