そこでは、中国企業のビジネスに一貫する「できるだけ早く失敗しよう(Shift-left testing)」といった思考を理解する必要もありそうだ。このコスト重視の反復志向の取り組みは、中国のファストファッションと同じようにテストプロセスの前倒しを繰り返した結果(Shift-left)、「とにかくまずは市場に出そう。それこそがもっとも効率的なテストだ」になってしまった。
これによって私たちは「最新プロセッサー搭載モデルをめちゃくちゃ早く、しかも驚く価格で!」手に入れられる。もちろん、テスト結果が悪ければブランド価値は毀損する。けど、それに備えてたくさんのブランドを並行で展開しているから、炎上ブランドはひっそり廃止するとか、まあ、どうにでもなるわけだ。ブランドWebさえろくにつくっていないのだから。
身近なアップルは、LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)重視の反復志向の取り組みをしていて、私たちはそれに慣れてしまっている。ブランドには価値があり、その維持のために長期的なストーリーテリング、価値観、倫理観、それらを顧客の信頼に結びつける努力を重ねるのが「普遍的な」ビジネス思考だと信奉している。
だから、ブランドとは「使い捨てのために利用」するものであって、ブランドの一貫性やアフターサポートへの配慮ゼロな中華ミニPCの世界はなかなか理解できない。