天才数学者「私たちの『知能』に対する考えは正確ではない。」テレンス・タオは、「LLMは次の単語を予測してるだけで知的ではない」に対して、「実は人間もほぼ同じことをしているだけでは」と言う。数学を極めたタオ氏の口からこの言葉が出てくると重みがある。我々が「トリックにすぎない」と思っていたものが、実は我々自身の知能の本体で、「本物の知能」などないのかもしれない。
例えば、AIにとって完全に初見の推理小説があって、物語が進行した上で最後に探偵が「犯人の名前は...」と言う。もしAIがその次の名前を正しく言い当てられたら、それでもそれは単なるトリックだろうか。これはイリヤ・サツケバーの投げかけた問いだが、単なる「統計的オウム」としてのAIには、いささか振る舞いが知的すぎる。
現実はそれよりも奇妙なことが起きていて、「次単語予測」マシーンであるはずのAIが、推理小説どころか数学の未解決問題を解けてしまったりしている。「パターンマッチ」の極致がここまできたら、「パターンマッチだから知能ではない」ではなく、もはや我々人間の考える「知能」も結局パターンマッチと同じようなものと考える方が良いのではないか。
この部分の全訳「AI全体の領域が教えてくれているのは、私たちの「知能」についての考えが実は正確ではないということです。
AIの歴史は「これは人間にしかできないタスクだ」というものでした。自然言語を読む、チェスに勝つ、数学の問題を解く、など。そして一つずつ、AIアルゴリズムがそれを達成していきました。顔認識も、音声理解もできるようになった。
でも、その仕組みを見ると「知能」には感じない。「トリックだ」と思う。ニューラルネットワークを組み合わせてアルゴリズムを動かしただけ、と。私たちは何か「本物の知的な思考」を探しているのに、実際に目標を達成するツールにはそれが見えない。
でも、それは「知能」が私たちの思っているものと違うからかもしれない。
LLM(大規模言語モデル)は特に成功していますが、やっていることの多くは「次のトークン(単語)を予測する」だけ。これは知的に聞こえない。誰かに準備なしでスピーチを即興でさせて、毎瞬間ただ頭に浮かぶ次の言葉を言うだけ、意識の流れのまま...これがうまくいくとは思えない。
でもLLMではうまくいく。そして、実は人間もかなりそうしているのかもしれない。」