チェスタトンが指摘したのは、改革を行うときの「二次的思考」の重要性です。チェスタトンは「道路に設けられたフェンス」という例を挙げて、「近代的な改革者ならば、『このフェンスが使われているのを見たことがない。だから撤去しても問題はない』と気軽に主張します。しかし、賢い改革者はそういった人に対して『このフェンスが使われたところを見たことがないというのは、撤去する理由にはなりません。あなたがこのフェンスが置かれた理由を理解したとき、撤去について検討しましょう』と応じるはずです」と著作の中で論じました。
「二次的思考」は何か解決策を考え出した後に、「その解決策が与える影響は何か」「その手段を採ったとき、その次に起こりうる問題はどうか」まで考え抜くという思考法です。
これについて、「フェンスは地面から生えてきたわけでもなく、狂った人々が建てたわけでもないため、フェンスを建てた人たちは『こうしたほうが良い』と思うだけの理由があったはず」とチェスタトンは説明します。過去にフェンスを建てた人の動機を理解しないと、いつか意図しない結果が生じるというのがチェスタトンの主張です。Farnam Streetはこのチェスタトンの主張について「フェンスが存在するのならば、そこには何かしらの理由がある」と解説し、この主張から得られる教訓を「そもそもフェンスが設置された理由を理解するまで、フェンスを撤去するな」と簡潔に要約しました。