見た目は普通の畑だが、細かく砕いた粉状の玄武岩が、土の中にたくさん含まれている。仕組みはこうだ。
植物は葉からCO2を取り込んで光合成するが、その根や、根の周りの生物は呼吸をして逆にCO2を出す。根の中でCO2濃度が高まると、土の中の水分や玄武岩と化学反応し、カルシウムイオンや重炭酸イオンなどができる。
イオンはやがて川から海に流れ込み、植物プランクトンや貝類が炭酸カルシウムに変え、海底に沈む。
つまり植物の体を通じて、大気中のCO2が回収されるのだ。
当真さんは「岩石さえあればCO2回収はどこでも起きているが、粉状の岩石を畑にまくことで、スピードが上がる」と話す。
チームの信濃卓郎教授(作物栄養学)は「工業的な回収よりも効率は悪いかもしれないが、回収に伴うエネルギーや特別な技術が不要で、農地という広大な面積を使って世界中で実施できるのが利点だ」と強調する。
彼の説く石油無機起源説は、地球が最初から貯蔵しているメタン(CH4)から地球内部の高温・高圧の環境下で放射線の作用(放射線分解や触媒として作用)等により石油が生成された、というものです。
無機起源説の学者は、生物が存在しない地層から石油が採れることや、石油にヘリウム、ウラン、水銀等が含まれていることなど、生物起源説では説明できない点を指摘しています。
実際の実験では、下図に示す大型の高圧装置を使い、メタン(または炭素と水素)を起源物質として50気圧と1200℃の条件下で重合させて、複雑な炭化水素の化合物が生成されることを確認します。
この重合とは、小さな分子が化学反応によって繰り返し結合し、高分子と呼ばれる大きな分子を形成する反応を指します。
その結果、アルカン、アルケン、芳香族炭化水素など、自然の石油に含まれる成分が生成されました。
これにより、石油が無機的に作られるという仮説が検証されています。
また、冷却速度を変えた実験では、速度が遅いほど重い炭化水素が多く生成されることが確認されました。
これは、冷却速度が遅いと、分子がゆっくりと再配置される時間が増えるため、単純な炭化水素が結合して複雑で重い液体状の炭化水素(石油に含まれる成分)が生成されると考えられています。
これらの結果から、上部マントルの環境下では複雑な炭化水素が同時に作られる可能性が示されています。
石油の無機起源説は、従来の石油資源に関する考え方を大きく変える可能性を秘めています。
生物起源説では、石油は有限の資源であり、いずれ枯渇するとされていますが、無機起源説によれば、石油は現在も地球内部から供給され続けるため、地球が存続する限り無尽蔵であるということになります。
また、無機起源説に基づく探査技術が進展すれば、従来の油田では見つけられなかった新しい油田やガス田を発見できる可能性も高まります。
これにより、エネルギー資源の安定供給が可能になり、世界のエネルギー問題に対する解決策となるかもしれません。
無機起源説はまだ議論の余地があるものの、これまでの実験結果や地質学的根拠は、この理論の正当性を裏付けるものとなっています。
で、それって本当にうつ病にきくの? というのが最大の疑問点だが、少なくとも臨床試験上はどれも成果をあげているようだ。25ミリグラムのサイロシビンの単回投与とセラピーを組み合わせた実験では、深刻な副作用もなく、難治性のうつ病患者に現在提供されているどの単回治療よりも強力な抗うつ効果が得られることを示した。
具体的には、サイロシビンの投与から一週間以内にうつ病の度合いを示すスコアが半減した。臨床試験に参加した患者のうち数人は(初期の限定的な研究なので対象は12人のみ)8年以上うつ病と無縁の生活を送ることができた。著者らは続いて、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の主流薬(日本ではレクサプロ)との比較実験を行い、こちらは患者をサイロシビン治療とSSRI治療でランダムに振り分ける二重盲検試験で実施されている。こちらもやはり、ほぼすべての指標において、サイロシビンの方がSSRIの薬よりも迅速に効果が現れ、その効果も高いことが確かめられた。*1
温室効果ガスを微細な気孔に閉じ込める粉末「COF-999」が開発されました。大気中の二酸化炭素を削減し、気候変動を押さえる効果が期待されています。
カリフォルニア大学バークレー校のオマー・ヤギー氏らが開発したCOF-999は、二酸化炭素と結合するアミンを内包しており、空気中の二酸化炭素を効率的に吸収するとのこと。
COF-999は走査型電子顕微鏡で見ると何十億もの穴が開いた小さなバスケットボールのように見えるそうで、このように多孔質のデザインにすることで表面積が増え、他の素材よりも「少なくとも10倍速い」速度で二酸化炭素を取り込むことができるといいます。
COF-999は乾燥条件下で1gあたり0.96mmol、湿度50%で1gあたり2.05mmolの二酸化炭素を吸収できる能力を持ち、特に湿度が高いほど吸収効率が向上するという特徴があります。
粉末をストローほどの大きさのステンレス鋼管に詰めて屋外に放置した実験では、410ppmから517ppmの二酸化炭素が含まれていた空気から二酸化炭素を完全に除去することに成功したとのこと。
一般的な大木は1年間で40kgもの二酸化炭素を空気中から吸い上げることができるといいますが、COF-999はわずか200g程度で同じ量の二酸化炭素を吸収できるそうです。
赤潮の発生原因の一つとされるリン酸の濃度を測る装置を、鹿児島県立国分高(霧島市)の生徒たちが開発した。発生の兆候を捉えるのに重要な装置だが、複合的な機能を持つ既製品は高額なため、機能を特化したうえで3Dプリンターを活用することにより、1台840円と低コストでの製作に成功。漁業被害を少しでも防ごうと他の原因物質に開発の幅を広げており、特許の取得や養殖場での実用化を目指している。(渡部優斗)
おぉー
SMKは11日、電子機器に使われるコイン型電池「CR2032」を代替する業界初の自立給電型コインバッテリーモジュールを開発したと発表した。周囲の環境から微小なエネルギーを得て電力に変換する技術「エナジーハーベスティング」を活用したもので、自転車アクセサリーやリモコンなどCR2032を使う機器の電池交換を不要にする。
太陽光発電と、無線通信であるブルートゥースの省電力規格「ブルートゥース・ロー・エナジー(BLE)」をモジュールとして一体化した。既存のコイン型電池ボックスに収まるコンパクト設計により、「現行の製品デザインを踏襲したい」「電池交換を不要にしたい」「通信機能を追加したい」といったニーズに対応することが可能だ。
電池や太陽光セル、通信回路、各種センサーを一体化してコイン型電池のサイズに収めている。外部アンテナによるワイヤレス給電にも対応することで、太陽光発電による充電が利用しにくい場所でも使えるようにしている。リモコンやIoTトラッカー、センサー、パソコン(PC)周辺機器、自転車アクセサリーなどCR2032が使われる用途への展開を想定する。
定格出力電圧は3.0Vプラスマイナス2%で電池容量は4mAh。量産開始時期と価格は未定。
海水には無尽蔵にウランが含まれている。これを回収して利用するのが「海水ウラン技術」だ。かつて日本は海水ウラン技術で世界をリードし、「あと一歩」まで基礎研究が進んでいた。だが2011年に発生した福島第一原子力発電所の事故の影響を受けて、研究開発が途絶えてしまった。
さていま世界では、ウクライナ戦争を受けてエネルギー危機が勃発している。安価で安定しており、かつ有力な温暖化対策手段である原子力発電が内外で再評価されている。海水ウラン技術を確立すれば、ウランを輸入する必要がなくなり、原子力発電は事実上、無尽蔵の国産エネルギーとなる。今後の原子力発電の価値をいっそう高めるために、日本はいまこそ海水ウラン技術の研究開発への投資を再開すべきである。
「オルガノイド」とは、幹細胞から作られ実験室で育てられた臓器のレプリカだ。小さくて完全には機能しないが、これらの生きた3D構造は肝臓、腸そして非常に興味深いことに脳などの臓器の主要な特徴を模倣している。
10年ほど前には、世界最高クラスのスーパーコンピュータでさえ、脳活動のわずか1%を1秒間模倣するのに40分間かかった。これは、人間の脳がいかに強力であるかを示している。
そして現在、私たちはこれまでにない最速のスーパーコンピュータであるFrontier(フロンティア)を手に入れた。Frontierは、驚異的な1エクサFLOPSのデータを処理することができる。これは、1秒間に100京回以上の計算に相当する。しかし、その裏には、21メガワットもの電力を消費するという事実が横たわっている。
一方、人間の脳は同様のレベルの計算能力を持ちながら、わずか20ワット、つまり電球と同じくらいの電力しか消費しない。ファイナルスパークのような企業は、この驚異的な自然の効率性を利用し、生物学とAIを融合させて、よりスマートで、はるかに持続可能なテクノロジーを生み出そうとしている。
ラボで培養された16個のオルガノイドから構築されたこの生体コンピュータ(専門用語では「バイオプロセッサー」)は、間違いなく現代の驚異だ。これらの小さな神経細胞のクラスターは、従来のシリコンチップをはるかに凌駕するかたちで情報を処理し学習する。
高速計算に優れる従来のシリコンチップと異なり、これらの脳オルガノイドは音声認識、画像処理、意思決定など、適応性とパターン認識を必要とする複雑なタスクの処理に特に長けている。
シリコンチップがこれらのタスクを実行するために力任せの手法とエネルギー消費に頼っているのに対し、オルガノイドは脳本来の効率性を利用している。
たとえば、人間の脳は微妙なパターンを識別して反応する能力において比類のないものであり、音声の認識、言語の理解、視覚データの解釈を非常に容易に行うことができる。従来のAIシステムは、これらのタスクに苦労することが多く、膨大な量のトレーニングデータと電力を必要とする。一方、OIは私たちの脳が時間をかけて学習し、適応していく方法を模倣することで、はるかに少ないエネルギーで、より自然にこの種の情報を処理することができる。
さらに、システム全体が「生きている」という点は見逃せない。これらの生きたミニ脳を64個の電極に接続することで、システムはそれらの活動を正確に監視し、制御することができ、生物学とテクノロジーの間の強力なインターフェースを作り出す。システム全体は、オルガノイドが成長するために必要な栄養素を提供するマイクロ流体システムによって、生存し、機能し続けるように維持されている。
生体コンピュータは大きな可能性を秘めているが、実用化とスケールアップにはまだ大きな課題がある。
・処理速度と精度においては、従来のシリコンチップに遅れをとっている。つまり、オルガノイドは特定のAIタスクに優れている一方で、デジタルプロセッサが管理するようなあらゆる種類の計算要求を処理することはまだできない
・もう1つの課題は、これらのオルガノイドの寿命だ。その優れた能力にもかかわらず、これらのミニ脳は約100日間しか持続せず、機能的なシステムを維持するためには定期的な補充が必要となる。この制限は、複雑さを増しこのようなシステムの長期的な実用性と費用対効果に関する懸念がある
・最後にスケーリングの問題がある。ファイナルスパークのバイオプロセッサーはエキサイティングな概念実証だが、広く普及させるためには、スケールアップのためには大きな技術的課題が残っている。オルガノイドの一貫性と信頼性を確保すること、そして既存のデジタルインフラストラクチャと統合することは、この技術がその潜在能力を最大限に発揮するために対処しなければならない課題だ。
南アフリカの地下に広がる20億年前の地層から、生きているとみられる微生物を採取することに東京大学の研究チームが成功しました。
「ブッシュフェルト」は、クロムやプラチナといったレアメタルの世界有数の産出場所として知られるとともに、20億年前に地球の地下深くにあるマントルが上昇して地殻に入り込んで形成された極めて特殊な場所です。
先月までに深さ500メートルまで掘り進められていますが、これまでに採取された岩石を鈴木准教授が国内に持ち帰って詳しく観察した結果、岩の内部の亀裂付近を中心に多数の微生物が確認できたということです。
さらに特殊な装置で分析したところ、DNAを含んだ細胞が見つかり、細胞内からは生きた生物が作り出すたんぱく質も検出されたことから、見つかった微生物は岩の中で“生きている”とみられることも確認できたとしています。
研究チームによりますと、掘削が行われた地層は現在にいたるまで安定していることがわかっていて、20億年前の原始的な微生物が岩の中で生き残っていた可能性が高いとしています。
こうした地下の生態系を支えるメカニズムの1つに「蛇紋岩化反応」と呼ばれる岩と水との反応があります。
この反応が起きると岩からは水素やメタンなどが生成され、それらをエサにすることで岩の中の微生物は長期間にわたって生き続けることが知られています。
特に南アフリカの地下の岩石はこの蛇紋岩化反応が起こりやすい「かんらん石」と呼ばれる鉱物が豊富に含まれていることがわかっていました。
微生物の調査が、数十億年前のレベルの古い地層で行われた例はこれまでなかったということで、鈴木准教授は南アフリカの地下の岩石には20億年前当時にすみついた微生物がいまも生き続けている可能性があると考えていました。
また別のグループの研究で地下の微生物のほとんどは増殖する速度が極めて遅く、少なくとも1億年程度では進化しないこともわかっているため、今回見つかった微生物もほとんど進化せずに20億年前の当時の姿をとどめている可能性が高いとみています。
心臓は自律神経の働きにより、個人の意思に関係なく鼓動を続けますが、脳には、心臓の動きを意識的に制御できる神経の経路が備わっていることを東京大学のグループがラットを使った実験でつきとめました。
心臓は自律神経によって制御され、通常、意識的に動かすことができないとされていますが、グループは心拍数の変化を自分で測定しながらだと意識的に数値を変化させられることに注目し、こうした現象が起きる仕組みを調べました。
グループでは、ラットを使って心拍数が下がれば、報酬を与えるという訓練を繰り返したところ、5日後には心拍数が通常の半分程度に減ったということです。
このときの神経の活動を詳しく調べたところ、脳の中で意思の決定などに関わる場所と自律神経をつかさどる場所の間に神経の経路があることをつきとめたということで、この経路を通じて、意識的な指令が心臓を制御する神経にまで伝わっているとみられるということです。
痛みにかんする話をしているとしばしば「男性より女性のほうが痛みに強い」という説が聞こえてきます。
この考えは日本以外の国にも広く浸透しており、世界の常識になりつつあります。
しかし近年の研究により、動物でも人間でもオスのほうがメスよりも痛みに鈍感であり、痛みを感じる閾値が低いことが明らかになってきました。
(※特に圧迫と電気刺激による痛みは他の方法に比べて最も強い性差を生み出していることがわかりました)
同様の結果は実験室での実験だけでなく、医療の現場でも報告されており、男性と比べ女性はより強いレベルの痛みを、より多くの体の部位に、より頻繁に、より長期に渡り感じていると報告されています。
また一部の鎮痛剤には痛みの敏感さ(閾値)を下げる効果がありますが、男性よりも女性のほうが効きにくいことが示されています。
これらの事実は、男性と女性では痛みに対する感じ方が大きく異なることを示しており、男女では痛みに対して異なる生物学的アプローチがあることを示唆しています。
紅海文書にはいくつかの異なる種類の文書があるが、最も人々を興奮させたのが、メレルの日誌だった。メレルは建造部隊の監督官を務め、大ピラミッド建造中の3カ月間、自分の部隊の活動を日々記録していた。
およそ200人の労働者が所属していたメレルの部隊は、エジプト中を旅して、大ピラミッド建造に関わるあらゆる業務の遂行を担っていた。特に興味深いのは、ピラミッドの外装に使用された石灰岩の化粧石だった。メレルは、トゥーラの採石場から石灰岩を切り出してギザまで運んだことを細かく記録していた。
四角く切られた石は、ナイル川を行く船に乗せられ、運ばれた。途中、港の事務所で石の数を数えた後、船はギザへ向かった。日誌のある一片には、採石場からピラミッド建造現場までの3日間の旅の記録が次のように書かれていた。
25日目:監督官メレルは、南トゥーラで部隊とともに石を運んだ。南トゥーラで一夜を過ごした。
26日目:監督官メレルは、部隊とともに石を積んだ船で南トゥーラを出港し、アケト・クフ(大ピラミッド)に向かった。シェ・クフ(ギザのすぐ手前にある港。事務所と石の保管場がある)で一夜を過ごした。
27日目:石を積んでシェ・クフを出港し、アケト・クフに向かった。アケト・クフで一夜を過ごした。
翌日、メレルとその部隊は新たな積み荷を受け取るために採石場に戻った。
28日目:朝、アケト・クフを出港し、川を通って南トゥーラへ向かった。
29日目:監督官メレルは、南トゥーラで部隊とともに石を運んだ。南トゥーラで一夜を過ごした。
30日目:監督官メレルは、南トゥーラで部隊とともに石を運んだ。南トゥーラで一夜を過ごした。
メレルの日誌には、クフ王の異母兄弟で、「王の仕事のすべてを司る」地位に就いていたアンクハフの名も登場する。パピルスのある一片に、こう記されている。「24日目:監督官メレルは、部隊とともに(文字欠落)を運び、高位にある人々や大隊、そしてロ・シェ・クフの宰相である高貴なアンクハフと過ごした」
メレルはさらに、部下たちの報酬についても細かく記録をつけていた。ファラオ時代のエジプトには貨幣がなかったため、報酬は一般に穀物によって支払われていた。受け取る量は、職位によって異なっていた。また、労働者の基本的な食事は、パンや様々な肉、ナツメヤシ、はちみつ、豆類などで、それらを全てビールで流し込んでいた。
昔から、大ピラミッド建設には大量の労働力が必要だったとされてきたが、労働者の身分については議論の対象になってきた。多くの歴史家は、労働者が奴隷だったに違いないと主張してきたが、紅海文書に書かれていることはこの考えと矛盾している。メレルによる詳細な報酬記録は、ピラミッドを建造した人々が有能な労働者であり、その労働と引き換えに報酬を受け取っていたことを示している。
注意を持続させることが困難だったり、順序立てて行動することが困難だったりといった特徴が現れる「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」は、精神医学的に障害の一種とされています。しかし、ペニンシュラ大学の神経科学者であるデビッド・バラック氏らの研究チームが、狩猟によって食料を得るような環境に置かれた際には、ADHD患者がそうではない人々よりも優れたパフォーマンスを発揮する可能性を提示しています。
バラック氏は「人間や他の類人猿は非常に賢い採餌者ですが、多くの動物と同様に、同じ畑や狩り場にとどまって乱獲してしまう傾向があります。そのため、早めに移動するなどの行動を取ることは、乱獲を減らすことができる点で有益だと言えます。衝動的な行動を取るなどのADHDの症状はその点で優れている可能性があります」と述べています。
またバラック氏は「今回の研究結果は、初期の狩猟採集民のコミュニティが直面していた、食料やその他の資源が不足してしまうという問題によってADHDという特徴が生まれた可能性を示唆しています」と語りました。
科学技術が発展した現代では、狩猟採集を行うことは一部の民族を除いてほとんどなくなりました。しかし、今回実験で使われたような意志決プロセスが発生する状況はいまだに存在しています。バラック氏は試験勉強を例に挙げ「試験勉強をしている人は1つのリソースから知識を得ようとしますが、そのリソースがトピックの理解に役立たない場合もあります。そこでADHD傾向がある人はすぐに別のリソースに切り替えることができ、より効率的な勉強ができるかもしれません」と報告しました。
東北大学は3月22日、BSなどの衛星放送用の一般的な受信アンテナ(約50cm)の100万分の1(約600nm)という極めて微少なパラボラ型の金属反射面と半導体で構成される「光ナノ共振器」を開発し、可視光を捕集して金属ナノ粒子に集めることで光強度を約1万倍(4桁)に増強できることを、電磁界シミュレーションを用いて明らかにしたと発表した。
科学者たちは、これまでの研究により、「BC8(eight-atom body-centered cubic)」という構造が、ダイヤモンドを越える硬さを持つと考えています。
このBC8構造のスーパーダイヤモンドは、通常のダイヤモンドと比べて圧力に対して30%高い抵抗力を示す可能性があります。
しかし、炭素原子におけるBC8構造の生成は、これまでに成功していません。
今回、オレイニク氏ら研究チームは、スーパーコンピュータを使ったシミュレーションにより、炭素原子でBC8を生成するために何が必要か分析しました。
BC8は、8つの原子からなる結晶であり、周期表で炭素のすぐ下にあるシリコンやゲルマニウムでは、既に生成されています。
そこでオレイニク氏ら研究チームは、それらの元素でBC8が生成されるための知識を利用し、炭素でBC8を生成するために何が必要か調べるためのコンピュータモデルを作成しました。
これには非常に膨大な計算が必要となりますが、彼らは世界初のエクサスケール(1秒間に100京回の演算)スーパーコンピュータ「フロンティア(Frontier)」を使用することで、生成シミュレーションを行うことができました。
その結果、チームはBC8のスーパーダイヤモンドの生成条件を予測することに成功しました。
彼らによると、BC8が生成されるのは、高圧・高温の狭い条件の中だけだという。
具体的には、6000K(約5727℃)の温度と、1050GPaの圧力が必要になると予測されています。
そして生成されるBC8のスーパーダイヤモンドには、通常のダイヤモンドに見られる「へき開性(一定の面に沿って割れやすい性質)」が無いとも考えられています。
ダイヤモンドは非常に硬く傷つきにくいことで知られていますが、実はこのへき開性により、靭性(粘り強さ)はそこまで高くなく、ハンマーなどで叩けば比較的簡単に割れます。
スーパーダイヤモンドでは、いわばその弱点すら解消されると考えられており、研究チームによると、「これを作るには膨大な費用が掛かるだろうが、その強靭性は計り知れないほど貴重なもの」です。
中国の南京大学、米コロンビア大学、ドイツのミュンスター大学、米プリンストン大学に所属する研究者らが発表した論文「Evidence for chiral graviton modes in fractional quantum Hall liquids」は、重力を媒介すると考えられている「重力子」に似たものを半導体から発見した研究報告である。
[...]ところが今回、研究チームが半導体中で重力子に酷似した性質を持つ集団励起モードの検出に成功した。研究チームは、ガリウムヒ素半導体の薄片を極低温に冷却し、強い磁場をかけることで、電子が集団で奇妙な振る舞いをする特殊な状態を作り出した。この状態で現れる粒子的な励起が、重力子に特有なスピン2を持つことが、精密なレーザー分光実験により明らかになったのである。
ただし、半導体中の電子は2次元平面に閉じ込められており、宇宙空間とは異なる環境にあるため、今回の発見をそのまま重力子を検出したものとして同一視することはできない。しかし、物質の物理と重力理論を結びつける成果であり、量子重力理論の一部を検証する舞台になると考えられている。
中国で絶滅したとされる世界最大の両生類「スライゴオオサンショウウオ」が日本国内で東京の水族館と広島の動物園で飼育されていることを、京都大学の西川完途教授(動物系統分類学)らが発見した。日本固有種で国の特別天然記念物でもある「オオサンショウウオ」と外来種の交雑状況を調査する過程で分かった。クローン技術と人工繁殖でスライゴオオサンショウウオを保全し、将来的には元の生息地に返すという計画もあるという。
先週、降った雨の影響で岐阜市の長良川が増水し、川の一部に設置されていた釣堀から、およそ3000匹のニジマスが川に流れ出たとみられることがわかりました。
ニジマスは、ほかの魚などを食べる外来種であゆなどの生態系への影響を懸念する声が出ています。
ENEOSは大気中の二酸化炭素(CO2)を回収する技術の実証試験を始めた。再生可能エネルギー由来の水素とCO2を使って製造する「合成燃料」の実用化に向けて、安価で大量の原料CO2を調達するのが目的。今後1年程度をかけて、合成燃料の原料として使える品質・コストかどうかを検証する。(根本英幸)
合成燃料は水素とCO2、それに触媒を用いた合成反応により粗油を精製し、そこから石油化学製品の原料となるナフサやガソリン、ジェット燃料、軽油などに変換する。既存の自動車や航空機、さらにはインフラ設備をそのまま活用でき、低コストに脱炭素化できる点が強みだ。液体燃料であるため、長期備蓄や輸送が簡単というメリットもある。
CO2の回収は送風機を用いてコレクターに大気を吸い込み、フィルターにCO2を吸着。コレクター内の空気を抜いて約100度Cに加熱し、吸着したCO2を放出・回収する。その後コレクター内を常温に冷却して、再度作業を繰り返す仕組みだ。1日当たり約75キログラムのCO2を回収する。
2023年8月からX(旧Twitter)にて、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんと対話を続けています。HPVワクチンは安全で効果的というのが世界中の専門家のコンセンサスですが、平岡さんはHPVワクチンの深刻な副反応・薬害が相当規模で存在すると主張しています。
平岡仮説に必要なのは、他の抗体と比べてHPVワクチンに誘導された抗体に特異的に害があるという根拠を提示することでした*3。重ねて質問すると別の根拠を提示してくださいました。
今のところ、最重要なのはMatsuno論文ですが、Sci.Rep誌の撤回論文(Arataniraら)のデータは、BBBの障害とHPVワクチン接種が重なると脳障害が生じる可能性は示唆しており(抑制された表現で通すべきでは)、彼等が百日咳毒素を用いない別な系で再実験したらどうか、と思います
ですが、科学的な議論において、撤回された論文は根拠として使えません。倫理的な問題や不正や重大な誤りがあるときに論文は撤回されます。平岡さんは、撤回されたことを知らずにうっかり撤回論文を提示したのではなく、撤回されたことを承知の上で提示しました。
HPVワクチンについてまったく言及されていないMatsuno論文以外には、平岡仮説を支持する証拠は撤回されたAratani論文ぐらいだと平岡さんもお認めになりました4。つまり、血液脳関門に異常が生じることでHPVワクチンにより特異的に害が生じるという平岡仮説には科学的根拠はなかったのです。平岡さんが、誤りを認め、仮説を取り下げたのならよかったのですが、平岡さんは仮説を繰り返します5。これでは論点が同じところをグルグル回って、建設的な議論になりません。
私たちの宇宙について、広い目線で見れば天体や物質の分布が均質であるという「宇宙原理」が広く信じられています。しかし近年の観測では、宇宙原理に反すると思われる巨大構造物(宇宙の大規模構造)がいくつも見つかっています。
セントラル・ランカシャー大学のAlexia Lopez氏は、地球から約92億光年離れた位置(※)に、直径が約13億光年にも達する巨大構造物「ビッグ・リング(Big Ring)」を発見したと、アメリカ天文学会(AAS)の第243回会合の記者会見で発表しました。Lopez氏は2021年にも同様の巨大構造物である「ジャイアント・アーク(Giant Arc)」を発見していますが、両者は非常に近い位置と距離にあります。これは宇宙原理に疑問を呈する発見です。
英国のノッティンガム大学(UoL)で行われた研究により、希ガスであるクリプトン原子(Kr)をカーボンナノチューブの内部に閉じ込めることで「一次元の気体」を作成し、その様子をリアルタイムで視覚的に捉えることに成功しました。
実際に撮影された映像では、クリプトン原子が狭いチューブ内である種の「交通渋滞」に巻き込まれており、数珠つなぎに配置されている様子が見て取れます
世界最大級の巨大竜脚類「パタゴティタン・マヨルム」などを紹介する「巨大恐竜展 2024」が 7月13日(土)からパシフィコ横浜(横浜市西区)で開催されます。
約46億年にもわたる地球の歴史のなかでも、「竜脚類」と呼ばれる恐竜は史上最大の陸上動物とされています。本展は、ロンドンの大英自然史博物館(Natural History Museum, London)で開催され、大好評のうちに今月閉幕した企画展「Titanosaur:Life as the Biggest Dinosaur」の国際巡回展で、横浜での開催が記念すべき第一会場目となります。
会場では、世界最大級の巨大竜脚類「パタゴティタン・マヨルム」について、約 37m の大迫力の全身復元骨格や、インタラクティブ展示でわかりやすく紹介します。さらに、福井県立恐竜博物館、福井県立大学恐竜学研究所の監修のもと、竜脚類以外の恐竜や恐竜以外の生物の数々の標本を展示。恐竜の繁栄の歴史や、恐竜をはじめとする生物の巨大化や進化などを楽しく学べます。“恐竜大好き!”なお子様から、太古の生物の歴史に思いを馳せたい大人まで、幅広い層におススメの、この夏必見の展覧会です。
愛媛大学は1月24日、これまで観測が容易ではなかった、物質中において質量ゼロとして振る舞う特殊な電子である「ディラック電子」系の物質において、同電子の振る舞いを観察することに成功したと発表した。
今回の研究では、1気圧下において化学物質「α-ET2I3」を観測し、ディラック電子の観測に成功。同物質には、多数のディラック電子が通常の電子と共存していることがわかったという。なお今回の研究は、3次元空間(x, y, z)での電子のエネルギー(E)をグラフにするため、4次元空間(x, y ,z, E)が必要である点を特徴とする。さらに、今回の解析手法は汎用性が高く、ディラック電子に限らず今後の物性研究に広く活躍が期待されるものとしている。
固体内部は電気を流さない絶縁体だが、その表面だけは電気を流す金属として振る舞う特殊な物質に「トポロジカル絶縁体」がある。このような物質を実用化できれば、消費電力が極めて小さな演算素子や通信システムなどを開発でき、現代社会が直面しているエネルギーや環境問題の救世主となり得るとされる。それらを実現するためには、まずディラック電子の振る舞いをよく理解し、どうしたらそのような電子を含む物質を実用化できるかを考える必要があり、愛媛大の内藤教授は、今回の研究成果はその1つにあたるとしている。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月20日、小型月着陸実証機「SLIM」の月面着陸が成功したと発表した。日本初の快挙で、世界でも5カ国目の快挙となった。
ただし、現時点で太陽電池が発電しておらず、バッテリーで駆動しているという。今後データを集めて探査機の状況を確認する方針だ。
中国・北京貝塔伏特新能科技有限公司は8日(現地時間)、民生向けとしては初めて実用化できるレベルの小型化/モジュール化/低価格化を実現した「原子力電池(中国語では原子能電池)」の開発に成功したと発表した。この原子力電池は50年間の安定した発電が可能としており、充電、メンテナンスが一切不要。既にテスト段階に入っており、もうまもなく市場向けに投入できる。
同社の原子力電池は初の民生向けとなっており、放射性同位体ニッケル63から発せられるベータ粒子を用いている。2枚の厚さ10μmの単結晶ダイヤモンド半導体でそのニッケル63を挟み込むモジュール構造を採用。モジュールとなっているため、数個もしくは数百個でユニットを作成し、直列または並列でつなぐことで、異なるサイズ、異なる出力を持つ電池を作成できるという。
原子力電池は物理電池でも化学電池でもないため、リチウムイオン電池の10倍以上の容量密度を実現できる。1gの中に3,300mWhの容量を凝縮でき、発火しない、爆発しない、充電サイクルを持たないといった特性も持つ。さらに、周囲の環境や負荷による劣化も少なく、-60~120℃の環境で正常に動作し、自己放電も発生しないといった特性を持つ。
また、外部に対して放射性物質を出すこともないため、人工の心臓や渦巻管といった医療機器にも応用可能。ニッケル63は壊変で最終的に銅の安定した同位体となり、一切の放射性を持たず、自然や環境への脅威にもならないとしている。
血糖値を下げるホルモン・インスリンの分泌がうまくいかなかったり、インスリンの効きが悪くなったりすると、高血糖が常態化してさまざまな不具合や病気を引き起こす「糖尿病」の原因となります。そこで、糖尿病の進行によってはインスリンを注射する必要があるのですが、「インスリンを分泌できるように遺伝子改造した皮膚常在菌を体内に取り込むことで、自動的にインスリンを体内に供給する」という新たな治療法の研究を、生物学系ブログサイトであるGROWが紹介しています。
ギャロ氏は2013年に、皮膚に常在する細菌が表皮だけではなく、表皮より2mm深い体内でも生息しており、一部が欠陥と相互作用する可能性があるという研究結果を発表しました。つまり、この表皮の常在菌のDNAを改変し、「血糖値の上昇を感知するとインスリンを分泌する」ようにプログラムすれば、自動でインスリンが分泌されるシステムを体に導入できるというわけです。
ハイエク氏やギャロ氏らの研究チームは、皮膚の常在菌の1種である表皮ブドウ球菌のDNAを改変し、1本のアミノ酸鎖からなるインスリン類似体を発現する遺伝子を組み込みました。このインスリン類似体は、体内で生成されるインスリンと同様に機能しますが、表皮ブドウ球菌の生息に適した温度でも安定しているのが特徴です。
ポネックさんの白熱した石の箱が非常に重要なのは、それらが大量の石炭やガスを燃やして加熱されたのではなく、ポネックさんの試作品を囲む何千もの太陽光発電ソーラーパネルが太陽光を受けることで加熱されたという点だ。
もし成功すれば、ポネックさんとその新興企業アントラ・エナジーは、数兆ドル規模の新たなエネルギー貯蔵分野の一翼を担うことになるかもしれない。そこでは、太陽や風を利用するだけで世界最大級の工場を稼働させるのに十分な温度に石の箱を加熱する。
「バッテリー」という言葉は、自動車や電子機器に使われている化学的なものを思い起こさせることが多い。蓄熱技術を用いた岩石には現在、1800年代に誕生した「カウパーストーブ」として知られる発明のおかげで、リチウムイオン電池の10倍のエネルギーが蓄えられている。精錬所でよく見られるれんがを積み上げた巨大な塔が溶鉱炉の排熱を吸収して3000度近くまで加熱。その後、約20分間にわたって100メガワットを超える熱エネルギーを供給する。
太陽炉と炭素製のレンガ的なもので蓄熱するという話か。
高温を持つ設備は溶鉱炉や焼却炉と同じで取り扱いが難しいから一般家庭に普及させるのは難しそうだが。
大阪大学で行われた研究によって、高出力レーザーをエネルギー源として光子同士の衝突を引き起こして電子と陽電子を対生成させ、さらに陽電子を超相対論的エネルギー(光速に近い)まで加速する単純な方法が発見されました。
この仕組みは2つの光子衝突から物質を生成する不思議な現象(ブライト・ホイーラー過程)を利用して、反物質である陽電子を採取するための方法として、将来の実験に役立つと期待されています。
KDDIとKDDI総合研究所は12月26日、次世代暗号(耐量子暗号)として標準化が進められている「Classic McEliece」方式において、これまでは総当たりによる探索での解読には1兆年以上要するとされてきた1409次元の暗号を、わずか29.6時間で解読に成功し、2023年11月13日に世界記録を更新したことを共同で発表した。詳細は、2024年1月23~26日に長崎で開催される「2024年 暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2024)」で発表される予定。
1409次元の暗号とは、10の56乗(=1阿僧祇(あそうぎ)=100兆×100兆×100兆×100兆)通りの解の候補が存在し、現在の最速のスーパーコンピュータを用いたとしても、総当たりによる探索で解読するには1兆年以上かかるため、解読困難とされてきた。
今回の挑戦では、まず独自開発の解読アルゴリズムが用いられ、解の候補を10の36乗(1澗(かん)=1兆×1兆×1兆)分の1程度にまで絞り込むことで解読の難しさを引き下げるところからスタート。さらに、約2700万の解読処理を同時に実行できる並列コンピューティング環境を構築。その結果、1409次元のClassic McElieceを29.6時間で解読し、世界記録を樹立した。またこの解読の結果を通じ、1409次元のClassic McElieceの暗号の解読に要する計算量が2の63乗であることが実証され、その暗号強度が突き止められたとした。
[...]材料の専門家はダイヤモンドに代わる超硬質素材として、窒化炭素と呼ばれる素材を合成しようと研究を積み重ねてきました。
窒化炭素の特性は30年以上前に予測されていますが、合成することは非常に難しく、科学者は長年、試行錯誤を繰り返してきました。しかし、スコットランドのエディンバラ大学とドイツのバイロイト大学、スウェーデンのリンショーピン大学の研究者らによるチームは、この繰り返しを終わらせることに成功しました。
またこれらの化合物は、周囲環境を常温・大気圧状態に戻してもダイヤモンドに近い性質を保っており、それを見た科学者らは嬉しい驚きを覚えたとのことです。「この新しい窒化炭素材料の第一号が発見されたとき、私たちは、研究者たちが過去30年間夢見てきた材料ができたことを信じられませんでした」と論文の筆頭著者であるエディンバラ大学のドミニク・ラニエル博士は述べています。
研究者らはさらにこの物質について調べ、これらがフォトルミネッセンス(蛍光発光。光エネルギーを加えた際に励起された電子が元の状態に戻るときに発光してエネルギーを放出する現象)特性、圧電性特性、および高いエネルギー密度を持ち、わずかな質量でも大きなエネルギーを蓄えられることも発見しました。
「物理的特性を調べたところ、これらの材料は、超非圧縮性で超硬質であり、高いエネルギー密度、圧電特性、フォトルミネッセンス特性も有していることがわかりました」 「この新しい炭素窒化物は100GPa以上で生成され、しかも大気圧・常温の条件下で回収可能なので、高圧材料の中でもユニークなものと言えます」と研究者ら報告しています。
まだ実験的にごく少量の合成に成功した段階ではあるものの、このダイヤモンドに次ぐ硬さを持つ素材について、専門家は将来的に自動車や宇宙船の保護コーティング、高耐久性の切削工具、ソーラーパネル、光検出器などの産業目的で使用される多機能材料として将来性があると指摘しています。
セラバイトは最近公開したビデオで、待望のセラミック・ベースのストレージ・システムを紹介し、データ・ストレージ技術の革新を発表した。今後数年間でデータ・ストレージを一変させるべく、同社は従来のハードディスクやSSDを、10,000TBという驚異的なデータを保存できる独自のセラミック・ガラス複合材で作られた手のひらサイズのカートリッジに置き換えることを目指している。
この革新的なストレージ・システムは、特殊なセラミックの層を積み重ねることで、ガラスベースの上に300マイクロメートルの厚さの表面を形成する。この構成により、驚異的なGbps速度でのデータ書き込みが可能となり、面密度は1平方センチメートルあたりTBに達する。これに対し、従来のHDDは現在、0.02TB/平方センチメートルの密度しか達成していない。
システム内の各カートリッジは、コーニング社のゴリラガラスに似たガラス層と、データ記憶媒体としての薄くて暗いセラミック層からなるデータ・キャリアを備えている。カートリッジはロボット・ライブラリーに収納され、データの書き込みと読み出しは、記憶媒体にナノ・スケールのパターンを形成する200万本のレーザー・ビームレットを含む綿密なプロセスによって行われる。
同社は、セラミック・ベースのストレージ技術のコスト効率、スピード、拡張性を強調している。特筆すべきは、このシステムがエネルギー効率に優れ、セラミック素材の耐久性により5,000年を超える寿命を持つと主張していることだ。対照的に、従来のハードドライブやSSDは通常、数年ごとに交換が必要である。
ほんとぉ?
物質・材料研究機構(NIMS)と科学技術振興機構(JST)の両者は11月30日、電流と熱流がそれぞれ直交する方向に変換される「横型熱電変換」の性能を磁場や磁性によって大幅に向上できることを実証し、さらに熱電材料と永久磁石を複合化することで、電流を流すことで冷却したり、熱から発電したりできる新たな機能性材料「熱電永久磁石」の開発に成功したことを共同で発表した。
横型熱電変換は、磁場や磁性によって発生する磁気熱電効果と、素子構造や電子構造の異方性によって生じる。素子構造の異方性で横型熱電変換を行うためには、2種類の導体を交互に積層・接合し、斜めに切断した複合材料の「人工傾斜型多層積層体」(ASML)が利用される。ASMLにおいては、構成材料の傾斜角度に依存して電気伝導・熱伝導が異方的になり、縦型熱電効果であるペルチェ効果を起源としつつも横型熱電変換が生じる「非対角ペルチェ効果」が生じるという。
磁石を使って、電流の印加で冷却したり、熱を電気に直接変換できれば、革新的な省エネ・創エネ技術につながることが期待される。しかし現状では、ASMLにおける横型熱電変換の最適化と永久磁石の導入を両立できていないため、永久磁石を組み込むと熱電変換性能が劣化してしまうことが課題だとする。ただし今回の研究により、磁石材料に高性能の電子冷却・熱電発電機能を付与するための手法と設計指針が確立されたことから、研究チームは今後、熱と電気を高効率に変換できる熱電永久磁石を創製するための物質・材料科学と、それを応用展開するためのデバイス技術開発が加速することが期待されるとしている。
東京理科大学の研究グループは、現在主流のリチウムイオン電池より安価に製造できる「ナトリウムイオン電池」用の新たな負極材料「ZnO鋳型ハードカーボン(HC-Zn)」の合成に成功したと発表した。現行の商用リチウムイオン電池に匹敵する高いエネルギー密度を実現できる一方で、リチウムやコバルトといった高価な元素を使用しないため、リチウムイオンの代替として期待される。
また、グルコン酸亜鉛と酢酸亜鉛の比率が75:25のものを負極材料としたナトリウムイオン電池を制作し、電池の性能の評価を行なったところ、エネルギー密度は312Wh/kgに達した。これは現在広く使用されているリチウムイオン電池と比較して同等であり、その有用性が実証されたという。
今回の研究は、希少元素を使わないナトリウムイオン電池やカリウムイオン電池の大容量化/好エネルギー密度化に寄与し、蓄電池を利用したエネルギー変換の低環境負荷化、低コスト化に貢献できるとしている。
苦しみを知る新たな存在のカテゴリーは、必要ないと思うのです。
ドミニク・チェン テッドさんの小説の大ファンですので、インタビューできて光栄です。私は、インタラクションデザインの研究をしており、とくに人間―微生物―コンピュータの関係に焦点を当てています。
今日は、テッドさんの創作プロセス、言語、AI開発における倫理的問題について、お話をお聞かせください。
札幌で開催されたALIFE2023(国際人工生命学会)カンファレンスでのテッドさんと神経科学者アニル・セスとのセッションを拝聴しましたが、そこで、テッドさんは、小説「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル(The Lifecycle of Software Objects)」に触れつつ、「ディジエント(デジタル生命体)[★01]の教育」について議論されていました。
テクノロジーの世界、とくにAIや仮想キャラクターでよくある安易な擬人化について、テッドさんは批判的でした。私はそのテーマにとても関心があります。というのも、小説の中で主人公のアナは自分が育てたディジエントたちに公正な生活環境を実現しようと奮闘しますが、その彼女の態度についてのテッドさんの描写に感動したからです。
アナのディジエントに対する態度と、テッドさんが批判した企業が行う擬人化との違いは何でしょうか?
テッド・チャン いまのチャットボットとは違って、小説に登場するディジエントは実際に主観的な体験を持っているということです。たとえば、リアルな犬とバーチャルな犬の違いに似ています。生身の犬を飢えさせれば、犬に大変な苦痛を与えることになります。しかし、バーチャルな犬に「餌」をあげなくても、犬は何の苦痛も感じないでしょう。
企業は、くんくん鳴いて苦しんでいる犬のアニメーションを作って、それを見ている私たちの感情的な反応を操ろうとするかもしれませんが、所詮、作りごとにすぎません。
小説に登場するディジエントたちは、肉体的にも感情的にも苦痛を味わいます。人々は、生身の動物たちの肉体的・感情的苦痛を軽くしてあげたいと思うのと同じように、デジタル生命体の苦痛も軽くしてあげたいと思うようになります。
しかし現在のところは、アニメーションと音声ファイルがあるだけです。私がいうところのデジタル生命体は、まだ存在していません。
ドミニク 小説に登場するデジタル生命体のジャックス[★02]は、肉体的・精神的に苦しむことができたからこそ、アナとの間に、真の絆ができたようにも思えます。では、私たちは、企業がテクノロジーによって人々を操作するのを防ぐために、デジタル生命体に苦痛を導入することを検討すべきなのでしょうか?
テッド アナとジャックスの絆は、実際の飼い主と犬の関係と同じくらいリアルでした。そのリアルさはむしろ、霊長類学者と彼によって育てられたチンパンジーとのつながりと同じくらい、と言った方がいいかもしれません。
デジタル生命体は創るべきではないと私は考えます。苦しみを知る新たな存在のカテゴリーは必要ないからです。
ドミニク なるほど。これはIT業界に対する痛烈なメッセージですね。
テッド 理論的には、喜びと苦しみの両方を体現できるデジタル生命体を創ることは可能です。しかし、それよりも苦しみを回避することの方が、はるかに優先されるべきことだと思います。
今、人間は動物たちに信じられないような苦しみを与え続けています。動物は、血と肉でできた生身の存在ですから、彼らが苦しんでいるのは、見てすぐにわかります。ところがデジタル生命体は、生身の身体ではないですから、多くのひとは、その苦しみを見すごしてしまうでしょう。だから、もし私たちがデジタル生命体を創ったとしたら、私たちは彼らに多大な苦痛を与えてしまうことになります。
ドミニク ある意味、小説に登場するアナとデレクの悲しい状況は、私たちの社会が避けなければならない悲劇といえますね。
テッド 誤解のないようにいいますと、これはまったくもって仮説的な考察です。目下私たちが直面しているのは、企業が、デジタル生命体のアニメーションや音声ファイルを使って、私たちの感情的な反応を操り、お金を巻き上げようとしていることです。アニル・セス[★03] にも言いましたが、それも由々しき問題ですが、小説でとりあげたこととはまったく別問題ですね。
哲学的な観点から見ると、デジタル生命体の苦しみという問題は、私にとっては興味深いものです。しかし、現実的な観点に立てば、まだ当分の間、心配する必要はないでしょう。 「テクノロジーがつねによい」という前提を疑うこと。
ドミニク ありがとうございます。では次に、『ニューヨーカー』誌に最近掲載されたテッドさんのエッセイに関連して、さらに現実的な観点からこの問題を考えてみたいと思います。このエッセイでテッドさんは、AIが資本主義を強化し、富の不平等を増大させる可能性を指摘しつつ、AIがそのような「難問」を回避するための方策として使われていると論じています。
そのエッセイの最後の方で、テッドさんは次のように書いています。
科学技術者たち(テクノロジスト)にとって、もっとも向き合いたくない難題は、つねにテクノロジーは多ければ多いほどよいという前提を疑うこと。そして、彼らが今まで通りビジネスを続ければ、いずれはテクノロジーが解決してくれるという信念を疑うことだ。
私たちテクノロジーについて研究する者は、テッドさんのこのメッセージを真摯に受け止めるべきと思います。でもビジネスコンサルタントのそれとは異なる、AIエージェントの望ましいかたちとはどのようなものか。テッドさんはどう思われますか?
テッド いま引用してくれたエッセイで、私が言いたかったことは、AIというテクノロジーによって労働者が犠牲になり、資本が強化されていく、という問題です。
私の疑問は、そういう状況に対して、逆に、労働者に力をつけさせるために、どんなふうにテクノロジーを活用すればいいのだろうか、ということです。働く人々の生活を向上させるために、AIを活用する方法はないだろうかーーそういう問いです。その正解は、私にはわかりません。
ドミニク 労働者と、ディジエントを育てる人々とは、状況が異なりますね。
テッド まったく違います。労働者としての人々を無力化するためにテクノロジーを利用する方法もあれば、消費者としての人々からより多くの価値を引き出すためにテクノロジーを利用する方法もあります。その例は、仮想ペットやロマンチックなチャットボットのようなカテゴリーですね。
ドミニク つまりそれは、こういうことでしょうか。「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」の中で、仮想カンパニーのブルー・ガンマ社がディジエントを使ってビジネスをするという最初の決断は、結局のところは間違いだということですね。それは非常に興味深いです。
それに関連していうなら、たとえば、ChatGPTが労働者の職場で果たす役割は、どのようなものになるでしょうか?
テッド 現時点では、ChatGPT は、人間に取って代わるほどの信頼性はありません。実際のところ毎日のように、ChatGPT が問題を起こしたというニュースが報道されていますよね。 すぐに結果の出る、テクノロジーによるソリューションという考え方が、 私たちは好きなんですね。
ドミニク 私たちの社会は、働く人々の力になるようなテクノロジーを開発できるでしょうか? そのためには、何が必要でしょうか?
テッド 核心に迫る問いですね。
「どんな問題もテクノロジーで解決できる」という考え方を、テクノロジー評論家のエフゲニー・モロゾフは「テクノ・ソリューショニズム」[★04] と名付けました。
企業がその考え方を受け入れる理由は明らかです。テクノロジーによるソリューションは、商品化して販売できるからです。
しかし、そのソリューションが政治的な意図を含む場合はどうでしょうか?
たとえば、労働者の組合結成を支援するソリューションはあるでしょうか? もし、そのようなソリューションがあったとした場合、それは誰でも商品として販売して利益を得ることができるものでしょうか?
ドミニク なるほど。それは必要な視点であり、私たちの社会にも応用できますね。テクノ・ソリューショニズムの問題は、企業側だけでなく、私たち「顧客」側にとっても関わってくることです。
この話題で思い出したのは、アニル・セスとの対談における、人々の欲望(デジタル生命体や「完全言語」に対する)についての、テッドさんの発言です。
テッド はい。消費者としての私たちは、すぐに結果がでるテクノロジーによるソリューションという考え方が好きなんですね。
ドミニク 同感です。「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」のようなSF小説を読むと、テクノロジーで解決できないジレンマに直面させてくれるので、ソリューショニズムを乗り越える一助になるものと私は信じます。
テッド 社会問題というのは、個人が単独で解決できるものではありません。たとえば、バーチャルな恋人を購入することは、孤独な男が一人でもできます。しかし、孤独をなくすために社会を再構築することは、単独では不可能ですね。 優れたSFは、自明ではない未来を想像するものです。
ドミニク テッドさんは、SF小説と批評エッセイという2つのタイプの文章を、どのように書き分けているのでしょうか。
というのは、小説の中でも社会風刺をして、エッセイでもそれと同じぐらい強烈な風刺をされていますね[★05]。小説と批評エッセイをどのように区別されているのでしょうか? それらは相互に関連しているのでしょうか?
テッド エッセイは最近始めたばかりなので、いまはまだ、距離感をはかっているところです。
ドミニク エッセイで取り上げたトピックをベースにして、新しい小説を構想されるのかなと、私は想像していました。
テッド 小説を書くモチベーションは、エッセイを書くのとはまったく違います。私の小説は、ストーリーを伝えて、読者の感情的な反応を呼び覚ますことが、メインのモチーフです。
ドミニク エッセイでは、読者にどのような反応を期待していますか?
テッド とくに何も期待はしてなかったし、私のエッセイがこれほど注目されるとは、思いもよらなかったのです。
ドミニク どんな反応に驚きましたか?
テッド シリコンバレーのやり方にはガッカリしていますが、その欠点を私よりうまく指摘している人は、他にもたくさんいるはずです。
にもかかわらず、私の書いたエッセイについて、インタビューをしたがる人がいたことが驚きでした。予想もしていませんでした。
ドミニク それは、SF作家であるテッドさんの指摘が正鵠を射ているため、技術者や研究者よりも影響力が大きいからだと思います。
ところで、学術界におけるSF小説の役割について、テッドさんはどう思われますか? 私は教師として、SFプロトタイピングを使って、生徒たちに短編のディストピア小説を書くように指示して、批評的な視点を養ってきました。
学者や学生が、SFを読んだり書いたりすることに対して、テッドさんは何を期待しますか?
テッド 優れたSFは、自明ではない未来を想像するものだと思います。これは多くの場面で役に立つスキルです。
SFは次に来る質問を投げかけるべきだと、SF作家のシオドア・スタージョンは言いました。最初の質問は簡単です。しかし、次の質問を考えるのは難しいことなのです。
ドミニク まったくその通りです。そのスキルとは、学者が批判的な研究を行うためにも必要なものです。小説を読んだり書いたりすることで培われる、非自明性を疑うスキルですね。
では、最後の質問です。
テッド どうぞ。
ドミニク ALIFE2023で、テッドさんは、小説家・記号学者のウンベルト・エーコの「完全言語」という概念について話されました。「完全言語」というアイデアに対して、多くの人が根強い衝動を抱いているが、それは実現不可能な夢だ、と。そこで思い出したのは、テッドさんの小説「あなたの人生の物語」に書かれた「ヘプタポッドB」です。地球外生命の「ヘプタポッド」が使う書き言葉のことです。
自然言語を人工的コミュニケーションの基礎技術の一つとして考えた場合、言語を進化させて、より緊密な人工的コミュニケーションを作り上げるというアイデアを、思いつくことはできるものでしょうか? (これは前述の、テクノロジーの労働組合を組織するというテッドさんのアイデアにも関連しています)
テッド 言語は静的なものではなく、成長するものです。どの言語も潜在的に、無限の表現力を持っていますから、お互いの関係を改善するための新しい言語は必要としません。時の経過にしたがって、私たちの文化は新しいアイデアを生み出し、それを既存の言語で表現する方法を確立していきます。必要なことはすべて、既存の言語で実現できます。
ドミニク ありがとうございます。テッドさんがALIFE2023で発言されたように、人生経験が圧縮できないのと同様、言語の成長も圧縮できないということですね。
そろそろこのインタビューも終わりにしましょう。お忙しいなか、インタビューに応じていただき、本当にありがとうございました! テッドさんの回答から多くのことを学びました。とても感謝しています。
テッド こちらこそ、ありがとう。それでは、良い午後を!
ドミニク ありがとうございました! おやすみなさい。
騒音問題にピンポン玉が役立つことが判明したという。科学者によると、ピンポン玉にいくつかの改良を加えることで、この軽量のプラスチック球が、主に低周波騒音に効果的な吸音材として機能することがわかったそうです。
研究者たちは、穴のあいたピンポン玉を格子状に並べたようなパネルを作りました。これにより、吸収できる共振周波数の範囲が広がりました。研究チームは、ボールの数、ミシン目の数、ミシン目の大きさを変えることで、高価な材料に頼ることなく効果的な吸音パネルを設計できることを実証しています。
太陽光を励起光源として利用する固体レーザー装置は、「太陽光励起レーザー(Solar-Pumped Laser:SPL)」と呼ばれ、世界で開発競争が起こっている(図1)。太陽光で直接、水を分解して水素(H2)を発生させる「太陽光水素生成」と同様、将来的に研究が進めば、太陽光発電システムで太陽光を電力に変換し、その電力を用いてレーザー光を発生させるよりも高いコストパフォーマンスが得られる可能性がある注1)。
動物は曲がるときに横Gを出さないため、4WD車の駆動配分とは全く違うと書いたら「曲がっているんだから横Gは出ている」と考えている人が驚くほど多かった。間違った内容は表示されない黄昏野郎バスターにたくさん落ちてました。実はこの話をした自動車メーカーの4WD技術者も「曲がるんだから横Gは出ている」と1度は主張したので、二次元で考える人って案外多いのかもしれない。
4輪と2輪は曲がって時の物理特性が全く違う。4輪は横方向のGを出すのに対し、2輪って天地方向のGを出す。イスに座っていると考えて頂きたい。コーナリング中、4輪だと横方向のチカラを感じる。2輪であれば身体が重くなったように感じることだろう。乗り物で最も強いGを出すのは飛行機。これまた横方向のGでなく、バイクと同じ天地方向となる。
動物は横Gを出さない。4WD技術者が「高速で移動するカメいたら出ます」と言ったけれど、そら世の中に無いモノの例えだと2人で笑ったら、サポーターの方が上の動画を探してくれた。ウナりましたね! 確かにこれで曲がったら横G出すと思う。意外なことに甲羅の後半3分の1は柔らかい。ただカメも水中を高速で泳ぐときはバンクさせて曲がってます。天地方向のGということ。
このくらい書けば動物は横G出してないと理解して貰えるだろうか? 解る人は直感的に解るけれど、私が英語を理解出来ないのと同じく頭の構造の違いだと思う。ちなみに横Gを出す乗り物と上下方向のGで曲がる乗り物は構造が全く違います。バイクにサイドカー付けて横方向のGを出すようにすると、攻めたら壊れる。人間もスキーで横方向に掛かるG出したら、関節がワヤになってしまう。
電車は横方向のGを出したくないからコーナーにカントを付ける。さらに速度出そうとすれば振り子で抑えようとする。人間、自然なのは天地方向のGです。そうそう。動物の全開コーナングで興味深かったのは、前足って操舵担当じゃなく後輪操舵だという点。だからドリフトは本能的に楽しいのかもしれませんね。サーフィンもスノボも後輪操舵です。このあたりはいずれまた。
スマートフォンや電気自動車など、現代の多くの電化製品には充電可能な「リチウムイオン電池」が用いられています。多くの需要に伴い、材料となるリチウムの枯渇や価格高騰などの問題が発生することから、リチウムに代わる二次電池の探求が進められている中、「亜鉛空気電池」と呼ばれる電池について、新たな知見が得られたと研究者が明らかにしました。
オーストラリアのエディス・コーワン大学所属のムハマド・アズハル氏らは、負極として使われる既存の材料を見直し、コバルト、ニッケル、鉄を含むナノ複合材料を新たに合成して負極に使用しました。
この材料を用いた亜鉛空気電池は、1.48Vという高い開路電圧を示し、充放電中に電流密度5mAcmで0.77Vという低い電位差を実現したとのこと。別の素材では、高い電位差により安定性が保たれないことが確認されていますが、アズハル氏らの材料では、最大950時間以上安定した性能を示したとのことです。
東京大学大学院工学系研究科の研究グループは、騒音などの「音力」で発電する超薄型音力発電素子を開発したと発表した。
今回研究グループは、「電界紡糸法」と呼ばれる技術で形成した複数のナノファイバーシートを積層し、50μm以下という超薄型の「ナノメッシュ音力発電素子」を開発した。この素子は、2層のナノファイバー電極シートで圧電材料であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバーシートを挟むことで形成され、多数の微細孔がある構造を持っている。
音による空気の振動が圧電材料であるPVDFナノファイバーシートに直接伝わるため、従来の素子よりも大きな電力を生み出せるといい、さらにPVDFナノファイバーシートのファイバーを一方向に配向させることで、8.2W/平方mという世界最高の電力密度を実現したという。
業界を揺るがす発見になるかと期待されているこのLK-99について、ロウ氏は「調製手順が極めて単純であること」を利点としてあげています。ロウ氏は「本当に、研究者らの主張通りであることを願っています。本当であればノーベル賞ものの発見であり、世界中の固体材料研究所が昨日も今日もLK-99の合成と特性を再現しようと試みていることは間違いありません。最初のサンプルがそろそろ出てくるはずです」と話し、超電導体の再現性について期待の声を寄せました。
再現はできるのか?(できなさそう)
韓国の研究チームが「室温かつ常圧での超電導」を実現したとする研究論文をプレプリントサーバーのarXivで公開しました。研究チームは超電導によって磁気浮上が発生する様子を撮影したムービーも公開しています。
「室温で超電導を実現した」と主張する研究論文は2020年にも発表されていました。しかし、2020年に発表された論文では物質を1ギガパスカル(1万バール)という高圧環境下に置く必要があった他、「データが欠如している」といった指摘を受けて発表が撤回される事態に至っています。今回の論文も記事作成時点ではプレプリントサーバーに公開されただけなので、今後の検証結果に注目する必要がありそうです。
大阪の公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院が、歯の再生治療薬を開発し、来年7月からの治験開始に向けて臨床ボランティアを募集中です。
東京大学物性研究所の黒川輝風大学院生(同大学大学院理学系研究科在籍(当時))、近藤猛准教授、および東京理科大学先進工学部電子システム工学科の磯野隼佑大学院生(当時)、常盤和靖教授の研究グループは、東京大学物性研究所の小濱芳允准教授、東京理科大学先進工学部物理工学科の遠山貴巳教授、理化学研究所創発物性科学研究センターの酒井志朗上級研究員らの協力のもと、銅酸化物高温超伝導体におけるモット絶縁体(注1)相の極近傍における電子状態を解明しました。
1986年に発見された高温超伝導は、20世紀後半の物理学で最も重要な発見の一つです。その結晶は、CuO2面(注2) と電荷供給層とが積層した構造です。電荷供給層から電荷が注入されなければ、モット絶縁体となります。高温超伝導の発見以来37年もの長きに渡る研究を経て確立した電子相図(注3)は、反強磁性秩序を電荷注入で完全に消去しなければ電気が流れないことを示していました。本研究では、乱れを生む電荷供給層との直接接触を避けることで電荷分布が均一となった、乱れのない綺麗なCuO2結晶面を有する多層型銅酸化物高温超伝導体(図1(c)、注4)に着目しました。レーザー光電子分光(注5)を用いた電子構造の精密測定、および強い磁場を用いた量子振動(注6)測定を行った結果、注入される電荷が、反強磁性秩序が消える遙か手前の限りなく微量でも、金属的に自由に動き回れることを見出しました。この結果は、これまで確立されたと考えられていた銅酸化物高温超伝導体の電子相図が、CuO2面に乱れがある場合に特化したものであったことを意味します。より本質的な真の電子相図を提案する本研究結果により、高温超伝導研究の新展開が期待されます。
早稲田大学理工学術院、東京大学大学院総合文化研究科の研究グループは、自分のコピーの合成を触媒する最小のRNAを発見した。生命の起源の解明につながるという。
研究グループでは、原始地球にも存在し得たと考えられる、20塩基のランダムな配列の原始RNA集団に起きる化学反応を調査。マグネシウムイオン濃度が高い環境に数日間さらすだけで、組み換えや連結反応が起き、長いRNAが生まれることが分かった。また、生成されたRNAを調査したところ、特定の配列や構造を持つRNAファミリーが濃縮されていることが分かった。
さらに濃縮されたRNAを解析したところ、自身のコピーを作る20塩基の自己複製RNAを発見した。自身に結合する2つの10塩基のRNAの連結を触媒することで、自分と同じRNAを合成。特に原始地球に広く存在したと考えられている「2′,3′-環状リン酸」と「2′,5′-ホスホジエステル結合」という2種類のRNA修飾が重要だったことが分かった。
この自己複製RNAは、これまで知られていた最小のRNAと比べても3分の1以下の長さしかなく、原始の地球でも十分に生じ得たと考えられるという。また、生化学的特徴を解析したところ、指数増殖する潜在性が示されたほか、過去に構築された長い自己複製RNAとよく似た特徴や構造を多く有することも分かったという。
グループでは、発見された自己複製RNAを基に持続的な複製や進化を実現できれば、単純な分子の複製体がどのように情報や機能を拡張していくか検証でき、生命の起源過程の理解を推し進められるとしている。
ブラックホールは光さえ逃れられないほど極端に重力が強いため、もし地球がブラックホールに飲み込まれればスパゲッティ化現象により引き延ばされて粉砕され、最終的に跡形もなく消えてしまいます。
従って、ある時点でブラックホールが地球を飲み込んだ可能性は排除できますが、実は地球がブラックホールの中にある可能性はまだ他にも存在します。それは、地球や地球が位置するこの宇宙が最初からブラックホールの中で誕生したというシナリオです。
シュワルツシルト宇宙論、あるいはブラックホール宇宙論とよばれるこの理論では、この宇宙は親宇宙の中であるブラックホールの中で膨張している最中であるとされています。つまり、ロシアのマトリョーシカ人形のように、宇宙の中にさらなる宇宙があるという入れ子構造になっていることになります。
アメリカ・ロードアイランド大学のブラックホール物理学者であるガウラブ・カンナ氏によると、ブラックホールはビッグバンの逆バージョンのようなもので、数学的にも似ているとのこと。ブラックホールがあらゆる物質を飲み込む超高密度の小さな特異点に収束していくのに対し、ビッグバン理論ではまさにこうした特異点が爆発して全ての物質が誕生したと説かれています。
この説では、ビッグバンは初め、より大きな親宇宙にあるブラックホールの特異点であったと仮定しています。「そして、ブラックホールの中にあるこの高密度の中心部が圧縮に圧縮を重ね、それが何らかの拍子に爆発すると、ブラックホールの中に赤ちゃん宇宙が形成されます」と、カンナ氏は説明しました。
ブラックホールの事象の地平面を越えてからまた戻ってくることはできないため、この説を証明することもほぼ不可能ですが、もしこの世界がブラックホールの中にあるとすれば、そのブラックホールはとてつもなく巨大な、宇宙規模のブラックホールだということになります。
ビッグバンとビッグクランチを知った人がまず考えることではある。
東京大学(東大)は5月18日、鉄系超伝導体の一種である「FeSe1-xSx」において、これまでに報告されたことのない新しい超伝導状態が実現していることを明らかにしたと発表した。
なお、今回の研究について研究チームでは、「金属のような特徴を有する超伝導体」というまったく新しい超伝導状態を初めて直接的に明らかにしたものだとしており、今後の新たな非従来型超伝導体の物理を切りひらく、重要な成果となると考えられるとしている。
本文中の解説、なんもわからんかった
ブラックホールは巨大な恒星が自身の重力に耐えきれず崩壊してできる、光すら脱出できないほど超高密度かつ大質量の天体だとされています。ところが、ジョンズ・ホプキンス大学の理論物理学者らが新たに発表した論文で、「ブラックホールだと思われていたものは、実はブラックホールのように見える別の存在かもしれない」と主張しています。
研究チームがトポロジカル・ソリトンの近くを通過する光の挙動を調べたところ、時空をねじ曲げるトポロジカル・ソリトンはブラックホールとほぼ同じように光に影響を与え、光はトポロジカル・ソリトンの周囲で曲がり、中心部は暗い影に見えるとことがわかりました。そのため、これまでに観測された「ブラックホール」だとされていたものが、実はトポロジカル・ソリトンだった可能性があるというわけです。
もっとも、トポロジカル・ソリトンは特異点ではないため、光や電磁波も抜け出せない事象の地平面は存在しておらず、近づいたとしても脱出することができるとみられています。
なお、トポロジカル・ソリトンは弦理論に基づいた非常に仮説的な存在であり、記事作成時点では十分に研究可能なほど地球に近いブラックホールも見つかっていません。しかし、トポロジカル・ソリトンとブラックホールの観測上の違いを発見できれば、弦理論自体をテストする道が開かれる可能性があるとのことです。
岡山大学は5月12日、「酸化タングステン(WxOy)ナノワイヤ」の成長を介した新しい化学気相成長法により、原子レベルに薄い遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)の一次元構造「ナノリボン」の合成に成功したことを発表した。
二酸化炭素(CO2)と水素を原料とし、室温でメタノール合成を促す触媒を、東京工業大学の北野政明教授(触媒化学)と細野秀雄栄誉教授(材料科学)らのグループが開発した。新触媒はパラジウム(Pd)とモリブデン(Mo)からなる金属間化合物。簡単に作れて耐久性も高いと見込まれることから、実用化の可能性があるという。
アメリカの核融合スタートアップHelion Energy(ヘリオン・エナジー、以下ヘリオン)は5月10日、2028年までに稼働開始を目指している同社初の核融合発電所で発電した電力をマイクロソフトに供給する契約を締結したと発表した。この契約は「世界初の核融合発電によるエネルギー購入契約」だという。
ただ、気になるのは「本当に実現できるのか」という点だ。現時点で核融合発電が実証可能であることを証明した企業が存在しないことなどを考えると、「2028年までに商業化を実現する」という目標は、いささか強引な感は否めない。
まず原料には、重水素とヘリウムの同位体である希少なヘリウム-3を使用。原料をそれぞれプラズマ化したあと、装置の両端に設置した二つの加速器で時速100万マイル(時速約160万キロメートル)にまで加速し、装置中央で衝突させることで核融合反応を「非連続的」に発生させる。
ヘリオン・エナジーのウェブページにある説明によると、核融合反応によって生じたエネルギーの影響でプラズマが膨張し、装置内の磁場が変化。この時、中学理科でも登場する「ファラデーの電磁誘導の法則」(磁石をコイルに近づけたり離したりする際に電流が生じる現象)によって電流(誘導電流)が発生する。この電流を取り出すことで、電力として利用しようというわけだ。
ヘリオン・エナジーによると、この方式は炉の小型化が可能で低コストで済む点がメリットだという。
東京大学(東大)は5月9日、ベンゼン環が直線状に連結した構造を持つアセン類において、規則的なナノサイズの空間を有する「多孔性金属錯体」(MOF)を利用することで、長いものでは数十個、平均して19個を連結させ、理論上の存在だった「ポリアセン」を合成することに成功したと発表した。
アセン類の歴史は、1912年に5個のベンゼン環が直線上に並んだ「ペンタセン分子」が合成されたことで始まった。しかしアセンは、長くなると溶解性や安定性が大きく低下するため、合成がより困難になっていく。現在最長のアセンは、2020年に報告されたベンゼン環12個からなる「ドデカセン」であるが、従来法でこれ以上長いアセンを実現するには限界が迫っていた。そこで研究チームは今回、金属イオンとそれをつなぐ有機物からなり、規則的なナノサイズの空間を有するMOFに着目し、ポリアセンを合成するための新手法の開発を試みたという。
研究チームではこれまで、MOFのナノ細孔を反応場とすることで、高分子やナノカーボン材料の制御合成に成功していた。そこで今回はまず、一次元状の空間を持つMOF内に、ポリアセンの原料となるモノマーを導入し連結反応を行うことで、ポリアセンの前駆体となる高分子を合成することにしたとする。
トウモロコシの芯など食料の捨てる部分から「ビフラン」と呼ばれる分子の骨格を合成し、これを使って優れた有機ケイ素高分子を開発したと、群馬大学の研究グループが発表した。紫外線を吸収したり、蛍光を発したりする特性があり、リサイクルもしやすい。電子材料やコーティング材料、セラミックの基となる物質として活用が期待されるという。
「本心としては外来生物の防除作業に子どもを関わらせたくない」。自然を守るために地域に根ざした活動を行う自然観察指導員の率直な投稿が、ネット上で話題を呼んでいる。投稿者は野草愛好家としてメディアへの出演経験もある川井希美さん。近年、子どもたちへの手軽な環境教育として盛んに行われている外来生物の駆除活動だが、どんな問題があるのか。川井さんに投稿の真意を聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)
「『子ども向けの外来生物駆除』の話をいただいたけど、本心としては外来生物の防除作業に子どもを関わらせたくない。害があるから駆除って短絡的で、駆逐してやる! って言いながらアメザリを潰す子もいた。外来生物の防除をするよりも、子どもにはたくさんの生きものと触れ合う自然体験をしてほしい」
今月3日、川井さんがSNS上で行った投稿は、900件を超えるリツイート、4000件以上のいいねを集めるなど話題に。「『外来種は悪いもの』って、本来そんなに簡単に教えられることじゃないよね」「悪いのは外来種ではなく持ち込んだ人間」「『生き物を大切に』と『外来種は殺しましょう』って矛盾を教えるのは至難の業」といった共感の声が多数寄せられている。
「結局、子どもに外来種駆除をさせることが環境教育になると思い込んでいるんです。子どもを関わらせることが良くないとは言いませんが、駆除することが目的となってしまっているのはどうなのか。メダカやコイの放流がよしとされていた時代もあって、環境教育もどんどん考え方が変わっていくので、その都度アップデートしていかなきゃいけない。まずは身近な在来種を知ってもらい、外来種問題とは何かを考えてもらう。関わらせる以上は、形だけでなく適切なことを教えていくことが大切ではないでしょうか」
生き物を大切にすることと外来種駆除では、伝えるメッセージは正反対だ。環境教育において、このダブルスタンダードはどう解消していくべきなのか。
「外来種問題に携わっている人って、本来生き物が大好きな人だと思うんです。生き物が好きだから自然環境について考えて、ときには自然環境のために生き物の命を奪わなくてはいけないことがあると知る。中には駆除した外来種の慰霊祭を行っている団体もあって、それは自分たちの心のモヤモヤを取り払うためにもとてもいい試みだと思います。
環境保全という大きな目的があって、外来種駆除はその中の手段のひとつに過ぎない。自然環境にとって脅威になるとき、やむを得ずに行う手段のひとつが外来種駆除であって、それ自体が目的になってはいけないと思う。科学的視点を持つことは大切ですが、科学的に正しければ何をやっていいというわけでもない。私は専門家ではありませんが、短絡的になることのないよう、多様な考えを学ばせるのが本当の環境教育かなと思います」
川井さんは子どもが関わる外来生物駆除企画の一案として、「①短時間でいいので自然観察会をする」「②30種くらい生物を“子ども”が発見する(誘導は必要)」「③たくさんの生き物がいることを認識する」「④外来生物の話」の4つの手順を踏むことを検討しているという。外来種の駆除自体が目的となることのないよう、多方面からの教育が求められている。