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官製デスマーチがやってくる、全国の自治体やベンダーが証言するシステム移行の実態

「もうデスマーチが始まってますよ」。自治体情報システムの開発を手掛ける複数のベンダー幹部は口をそろえる。自治体は2025年度末までに主なシステムを標準仕様に準拠させ、政府が契約したクラウドサービスに原則移行しなければならない。ところが標準仕様の改版が続いている上に、岸田文雄政権の経済政策に伴うシステム改修が追い打ちをかけているためだ。

「全システムをこれだけの規模で一斉に切り替えるという作業はやったことがない」。あるベンダーの幹部はこう語る。全国約1700の自治体はまず、2025年度末までに計20の基幹業務システムを標準仕様に基づいて一斉に作り直すという、前代未聞のシステム改修を迫られている。

さらに、政府が決めた2025年度末という期限は、自治体システムに特有の事情を加味すると前倒しが欠かせない。文字通り解釈すれば2026年3月末が期限だが、事実上2026年1月末が移行期限という。自治体の現場は年前半が繁忙期になるためだ。

⾃治体において毎年2⽉中旬から確定申告が始まると、この納税データを使う住民税などの課税処理が集中する。新年度の前後は転居に伴う転入・転出手続きがピークを迎える。導入時に自治体の繁忙期を避けようとすると、2024年5月現在で残された時間は実質1年半ほどしかないわけだ。

つまり全国の自治体は今後1年半ほどでガバメントクラウドの構築作業や、アプリケーションやデータ移行を自治体職員が確認する作業、さらには既存システムや外部システムとの接続テストなどを一気に進める必要がある。もちろん20業務のシステムの組み合わせは自治体によって異なるので、各自治体の状況に合わせて対応する必要がある。

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