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トーバルズ氏、「Linux」カーネル開発状況、「Rust」導入、AIを語る

両氏はいつものように、Linuxカーネルの現状と今後について語った。具体的には、リリースプロセス、セキュリティ、「Rust」のLinux統合、ソフトウェア開発におけるAIの役割など、Linux開発のさまざまな側面に言及した。

将来のリリースについて考えていたHohndel氏は、Torvalds氏にLinuxカーネルの計画について聞いた。具体的には、現在のカーネルリリースのペースだと、「Linuxカーネル8.7の登場はあなたが60歳の誕生日を迎える頃になるはずだが、それについてどう思うか」という質問だ。Torvalds氏の答えは「よく分からない」だった。

同氏は続けて、もっと短い期間に焦点を当てている、と述べた。「実際の開発では、細かい部分まで正しく仕上げることが重要だ。そのために5年先まで見据えることはない。目を向けるのは1つか2つ先のリリースだ」

「古いカーネルにはある程度の安定性があり、パッチやフィックスのバックポートを提供している。だが、重要ではないとユーザーに判断されて見送られたフィックスが、後になって重要だったことが判明するケースもある」(Torvalds氏)

また、古いカーネルをあまりに長い間使い続けていると、最終的に新しいカーネルへの更新が必要になったときに、多大な労力を要する場合がある。そのため、「未だに『Linux 4.9』カーネルを使用している中国のすべての組み込みLinuxベンダー」に対し、Torvalds氏は指を振りながら、「使用をやめてほしい」と述べた。

さらに、非常に古いカーネルのパッチを作成するとなると、Linuxカーネルチームは「申し訳ないが、それについては力になれない。あまりにも昔のことなので、修正の方法さえ覚えていない」としか言えない、とHohndel氏は述べた。

話題がもっと現代的な内容に変わり、LinuxへのRust言語の導入の話になると、Torvalds氏は採用のペースが上がらないことに失望感を示した。「更新が思ったほど速く進んでいないが、問題の一端は、昔からのカーネル開発者が『C』に慣れていて、Rustを知らないことにある。彼らは、ある面で大きく異なる新しい言語を学ばなければならないことを、あまり歓迎していない。そのため、Rustに関しては多少の反発がある」