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Automatticから159名が退職、WP Engineとの係争が深刻化

WordPress共同創業者のマット・マレンウェグは10月3日づけで “Automattic Alignment” と題したブログ記事を公開、それによると159名がAutomatticを退職したようだ。これは現在WP Engineとの争いが発端で、マットの方針に同意しなかった職員が辞職したようである。この人数はAutomatticの全従業員の8.4%にあたる。

マットのここ一週間ほどの活動はエスカレートしており……

  • WordPressの公式ディレクトリにWP Engineのホストからアクセスできないように。
  • WP Engineの従業員がWordPressの公式ディレクトリにアクセスできなくなる。この結果、Advanced Cutom Fieldsは更新できなくなっている。
  • WordPress.orgがマットによって続々更新される。WP Engineからの訴訟対策なのか、ホスティングページからWordPress.comが消され、コミットログにも”Update the hosting page, per matt”と書いてある。

とくに2番目の「プラグインを更新できなくする」というのはまずく、コミュニティのためとは言い難い行為だ。たとえば今日ACFにゼロデイ脆弱性が発見された場合、WP Engineのユーザー以外もセキュリティリスクに晒すことになる。「乱心」という言葉がその字義通りなのではないか、と勘ぐりたくなるほどである。

さて、もし筆者がこうした精神状態の経営者と一緒に働いていたとしよう。筆者の役職は「弊社が貢献しているのと同じぐらい他社にOSSへの貢献をさせること」だったとしよう。筆者は常識人なので、粘り強く金儲けしている会社と交渉し、少しずつ譲歩を引き出そうとする。一年ほど経ち、ボスは「まだできないのか?」とせっついてくる。「あいつらは泥棒だ。泥棒に賠償させろ」と言う。筆者は「そんな……」と思う。まだ成果は出せていない。そんなある日、ボスがイベントで「あいつらは泥棒だ」と言う。たしかに、道義的には「自分たちの成果の上に乗っかって自分たちよりはちゃめちゃに儲けている奴ら」というのは気に食わないが、パブリックな場でそれを言っちゃあ、おしまいである。筆者はこれまで自分がコツコツ積み重ねてきた成果を否定されたような気持ちになる。その夜、イベントのアフターパーティーを抜け、ホテルのデスクで辞表を書き始める。

こうしたことが実際に起こったかどうかは完全に想像なのだが、本来の意味でのパブリック・リレーションにおいて、WordPressコミュニティは完全にアンコントローラブルな状況に陥っていると言えるだろう。

MEMO: