■ 1. 面倒なことから逃げて人のせいにする
具体例(公共事業の反対運動):
- 担当の役人たちがお手上げ状態
- 会議を開いても「地元が悪い」「予算が足りない」と言い訳ばかり
- 誰も自分がどうにかしようとしない
叱責の内容:
- 「誰かのせいにしてるうちは仕事は1mmも前に進まない」
- 地元が反対してるなら粘って話してこい
- 予算が足りないなら足りるように知恵を絞れ
- 責任は誰かに押し付けるものじゃなく、自分が引き受けるもの
- 自分の仕事の責任を取る覚悟ができないなら今すぐ役人をやめろ
昔の大人との対比:
- 言い訳より先に腹をくくった
- 任せた以上は最後まで自分がケツを拭く
- 命までかける時代もあった
- そういう本当の大人が大勢いたからこそ社会は前へ進んできた
■ 2. 他人のせいにする
典型的な行動:
- 家で嫌なことがあったからって職場で部下に当たり散らす
- 何でもかんでも人に決めさせておいて結果がうまくいかないと後から文句ばっかり
- 上司のくせに仕事が失敗したら全部周りのせい
- 自分の判断ミスや準備不足には一切触れない
選挙の失敗事例:
- 男が「先生、この選挙は私に任せてください。必ず勝ちます」と豪語
- 地元の衆たちの意見を無視して自分のやり方ばかりを押し通す
- 結果は惨敗
- 報告会での言い訳:
- 「地元の支援者が動かなかった」
- 「相手陣営が卑怯な手を使った」
- 「上からの支援も足りなかった」
- 自分の采配や判断の誤りには一言も触れず全て周りのせいに
- 反省どころかその態度で周りを黙らせようとする
■ 3. 不機嫌を武器にして周りを操る
基本パターン:
- 自分の思い通りにならないことがあると不くされた態度で周りを自分のいいように動かそうとする
- 口に出して「こうしてくれ」とは言わない(言えない)
- 自分の不機嫌という毒を巻き散らして周りに「俺の機嫌を取れ」「俺の気持ちを察しろ」と無言の圧力
派閥領袖の事例:
- 自分の意に沿わないことがあると会議の席でわざとらしく大きなため息
- 誰とも目を合わせずに黙り込む
- 周りの議員たちが「先生のご機嫌を損ねてしまった」と忖度
- そいつの意見が通るように動き出す
- 政治家以前に大人として失格
■ 4. やってもらって当たり前で感謝がない
心が未熟な人間の特徴:
- 人からの手助けや親切を当然の権利だと思っている
- 仕事を肩代わりしても家のことを率先してやってもありがとうの一言もない
- 少しでも手を抜くと「なんでやってくれないんだ」と文句
優秀だが人望のない官僚の事例:
- どうしても通したい法案があって泣きついてきた
- 派閥の総力を上げて後押しして法案は無事成立
- 法案が通った途端、事務所に顔も見せなくなった
- 派閥の会合で顔を合わせても当たり前のような顔で座ってるだけ
- 礼の一言もない
- 結局誰からも協力が得られなくなり、だんだんと干されていった
子供と大人の違い:
- 子供は与えられることが世界の仕組みだと思っている(だからありがとうがない)
- 大人がそう思ってちゃダメ
- 人は1人では何もできない。他人の助けがあって初めて大きな仕事ができる
- 感謝のないやつはいずれ孤立する運命
■ 5. 自分の話ばかりで人の話を聞かない
国家プロジェクトの大物との会談事例:
- プロジェクトの概要を説明しようとしても、「おお、それについてはわしも若い頃にな」とすぐに自分の武勇伝が始まる
- こっちが話す隙がない
- 1時間後、ほとんど何も話せなかった
- 大物は満足に頷いて「うむ。よくわかった。実に有意義な会談だったな」と言って席を立つ
- 何も聞いてないくせに
- 結局そのプロジェクトは全く進まなかった
幼稚な人間の特徴: 会話ができない。そんな人間とは仕事はできない
■ 6. 本当の大人とは
- 自分のご自慢ではなく:
- 自分の失敗談を笑い話や教訓として語れる人間
- 失敗を他人のせいにせず、そこから何かを学び取る
- 「お前は同じ間違いをするなよ」と人のために役立てられる人間
■ 7. 対処法:心構えが一番大事
基本的な心構え:
- 相手をガキだと思ってこっちが感情的にならないこと
- あいつらの不機嫌なんざおもちゃを買ってもらえなくて駄々をこねてる赤ん坊と同じだと思え
- 大人がおろおろする必要はこれっぽっちもない
- 心の中で「ああ、また癇癪を起こしてやがる」と冷静に距離を置く
- 体が大人になっただけの子供として扱え
重要な視点:
- 今まで「なんでこの人は分かってくれないんだ」と悩んでたのが「ああそりゃ赤ん坊に道理を説いても無駄だよな」といい意味で諦めがつく
- 期待するのをやめられる
- この視点が全体を貫く一番重要な考え方
■ 8. まとめ:幼稚な大人の本質
5つの特徴の本質:
- 人のせいにする
- 不てくされる
- 感謝もしない
- 話も聞かない
- そういうのは全部子供の延長
肩書きと中身のギャップ:
- 背伸びして肩書きぶら下げても心の芯がガキのままなら何をやっても同じ
- そういう奴らは周りを巻き込み、空気を濁し、足を引っ張るだけ
避けられない現実と対応:
- 世の中にはどうしてもそういう輩が混じってくる。避けられない
- 大事なのはそいつらを大人だと勘違いしないこと
- 相手をまともに扱えば扱うほど自分の心が摩耗する
- 赤ん坊に道理を説く暇があるなら自分の責任を引き受けて一歩前に進め
- 背中で示す大人が少しでも増えればこの国はまだまだ立ち直れる
■ 1. 問題提起の事例
- 元のツイート内容: IT系の勉強会が19時スタートが多すぎて参加できない。子育てしていると月1参加できれば良い方で、直近は3ヶ月以上参加できていない。オンライン参加も簡単ではない
- 反応の分かれ方:
- 参加しづらさに共感する意見が多数
- 一部では「自分で開催すればいい」「わがまま」といった意見
- 記事の目的: ロジカルでない・議論が苦手な自覚がある人が、文章の読み方の癖をなくすための第一歩を示す
■ 2. 文章に実際に書かれていないこと
- 書かれていない内容:
- 「主催者が悪い」
- 「主催者は子育てする人に配慮すべきだ」
- 主催者への要求や批判
- 実際に書かれていること: 「参加できなくて苦しい」という弱音を述べているだけ
- 類似の例: 「景気が悪くなっていく日本で仕事していくの不安だな…」という弱音ツイートに「じゃあ海外で働けば」とコメントするのと論理的には同じ
■ 3. 怒りの感情がロジカルさを奪う
- 最悪の根源: 勘違い野郎を叩きたい、間違いを正したいといった怒りの感情が人を最もロジカルでなくする
- 対処法: そうした感情を覚えたら、文章を一文字ずつ、10回くらい読み直す
- ストレートな読み方: ありのままに読むと、ただの弱音に見える
■ 4. コンテキストの欠落と推測
- Xの特性: 短い文章においてはコンテキスト(文脈)は欠落するもの
- 読み手の役割: コンテキストは読み手が推測するしかない
- ロジカルな人の読み方: 様々なコンテキストを想像する
- 仮説1: 単純に弱音を吐いている → 論点は子育てしている人がどうコミュニティに関与し成長するか
- 仮説2: 主催者や界隈の慣習を攻めている → 論点は主催者側や界隈による配慮の必要性
- 仮説3(極論): 結婚や子育て自体を後悔している → 論点は子どもや家族をどう捨てるか
■ 5. コンテキストの絞り込みプロセス
- 仮説検証: 「このワードやニュアンスが出てきたから、このコンテキストではなさそうだな」といった絞り込みをしていく
- 最重要ポイント: 「この文章にはコンテキストが補われていないため、筆者がどのような意図でこの文章を書いたかはわからない」という認知を持つこと
- 適切なコメント: 「真意はわからない」という前提で、最もストレートでローコンテキストな読み方をしたうえでのコメントになる(この場合は仮説1)
■ 6. バイアスと願望の正体
- コンテキストを決めつける原因: あなたの中に眠るバイアスと願望
- バイアスの例: 「子育てしてる俺は偉いと勘違いしてるやつが鼻につく」といった過去の経験
- 願望の発生: 「この人もそうであってほしい、敵であってほしい、敵を倒して正義を証明したい」といった怒りをぶつけたい願望
- 結果: 人は途端にロジカルでなくなり、どんなに頭が良いはずの人でも一瞬でバカになる
■ 7. バイアスへの対処法
- 普遍性: バイアスは誰しもある
- 訓練可能性: 訓練で抗うことができる
- 具体的方法:
- 1文字ずつ何度も読み返す
- 色々なコンテキストを仮定して文章を読んでみる
- 効果: 自己のバイアスをメタ認知し、ストレートな文章の読み方ができるようになる
■ 8. 書かれていないことを読まない能力の価値
- 優先順位: 「書かれていることを漏れなく読み取ること」以上に、「書かれていないことを読み取らない」「文章をストレートに読む」能力が基礎的でありながら圧倒的に難しく価値がある
■ 9. ビジネスシーンでの実践例
Slackのやりとり:
- 社長:「この四半期は、全部門が目標達成した?」
- 営業部長:「うちは達成しています」
- マーケ部長:「人事部以外は達成している認識です」
- 人事部長:「そんなふうに蹴落とすなんて酷い!抗議します!」
分析:
- マーケ部長はコトに向き合い、ただ社長の質問に事実を答えただけ
- 「達成していない人事部長は能力が低い・責任をとるべきだ」とは一言も書いていない
- 人事部長は書かれていないことを読んでしまっている
経営者目線の評価:
- 保身的・主観的でロジカルでない人は全社の成長という高い視座でのストレートな会話ができない
- コミュニケーションコストが高い
- どんなに目標を達成して能力が高くても、安心して幹部を任せられない
■ 10. 実践的な効果
- 日々の仕事での効果:
- 周囲の信頼を得られる
- 適切な判断ができる
- 大きな成果につながる
■ 11. 「かもしれない」思考
- 運転免許の教え: 「かもしれない運転」(あそこから人が飛び出てくるかもしれない)
- ロジカルな読み方: コンテキストに対して「かもしれない」と思い続けること、自分のなかに暗黙的なバイアスがないか疑い続けること
- 練習場所: Xのように文章が短くコンテキストが欠落しがちなテキストプラットフォームは、ロジカルな読み方をする練習にちょうどいい
- 実践方法: 色々なコンテキストを仮説立てながら、燃えているツイートを読んで楽しむ
良いか悪いかじゃなくて、これって生き方の問題なんだよね
1.責任追求型
問題に対して、誰に責任があるかを決めて、その人にやらせる
上手く行ったら褒めて、失敗したら責任追求して別の人に変える
2.問題追求型
問題に対して、問題が何かを調べて、それを解決する
問題は仕組みであるケースもあれば、人であるケースもある
上手く行ったら解決、上手くいかなかったらもう一度検討し直す
責任追求型のメリット
・問題の中身を考える必要がない、専門外でもいい
・自分に火の粉が及ばない
・複雑、大規模な事業をやるにはこの戦略を取るしかない(例:王様)
・本人の能力は高くなくて良い
責任追求型のデメリット
・問題の中身がわからないので、担当者に騙されるリスクがある
・問題の中身がわからないので、再現性がない
・自分も誰かに責任を負わされるリスクがある
・嫌われる
・解決できる人が居なければ詰む
・誰が解決できるかは基本わからない
・成長しない
問題追求型のメリット
・自分ひとりで完結する
・誰もやってくれない問題も
・人を動かす面倒くささがない
・問題の中身を知ってるので、似た問題に対処できる
・問題の中身を知ってるので、切り分けができる、大きな問題や複雑な問題も解決できる
・責任を人のせいにしないので好かれる
問題追求型のデメリット
・問題の中身を知る必要があるので大変
・取り組んでると責任追求型の人に責任者にされる
・高い能力が必要だし、解決できない問題もある
・大きくて複雑な問題の場合、一人ではどうにもできない
・自分でやるハメになる
・下っ端になりがち
責任追求型の特徴
・常に誰かのせいにしてる
例:「◯◯のせいだろ」「◯◯が悪い」
問題追求型の特徴
・問題が何かを気にしている
例:「◯◯が問題」
もちろん人によって両者に濃淡があるし、最も優秀な人は両方を使い分けられる
自分は8割位問題追求型で、責任追求が苦手
たまに、「これってどうすればいいの?」ってひたすら人に聞いてる人を見かけるけど、あれ責任追求型だよね
店員とかが餌食になる
あと、たぶんだけど責任追求型の人ってAIを上手く使えないんじゃないかな
AIに責任追求しても意味ないし
■ 1. 外見と中身の価値について
- 外見の優位性の錯覚: 顔を褒められ言い寄られる22歳女性が「中身を見てほしい」と訴えているが、10歳以上年上の男性は22歳の外見と年齢ゆえに中身に興味があるふりをしてくれる
- 同年代イケメンの対応: イケメンの同年代彼氏はその程度の外見の22歳女性と付き合えるため、「中身を見てほしい」というウザい要求をする女性を適当に扱う
- 中身の定義: 中身とは面白い個性があってその個性が実績になっていること、アウトプットがあって誰にでも評価できること
- 実績のない人の言葉: 「中身」「内面」は実績がない人が口にしがちな言葉である
- 中身偏差値の問題: 見た目偏差値が65でも中身偏差値は40以下の可能性が高く、実績がある人は周りに面白い人が集まるが、彼氏がイケメンで中身がないということは自分も同様
- 沼にはまる危険: 実績・中身がないからこそ中身に憧れ、ついには自分の長所である外見すら疎ましい属性のように思えてしまうのは面倒な沼にはまりかけている
- 年上男性へのアプローチ: 見た目が良くて相手が10歳以上年上なら何も考える必要なく、結婚を急いでいることを匂わせなければすぐに付き合える
■ 2. 自己評価と言葉遣いの問題
- 「クソ」という言葉の使用: 自分のことを「クソでダメな人間」と表現する41歳シングルマザーに対し、最もダメな部分は「クソ」という言葉を使うところ
- 言葉の影響: 自分のことをクソという人は他人のこともクソと言うため、文章や口に絶対しない方が良い
- 実際の状況: 仕事は遅刻せず業務内の期日は守れており、子供にやりたいこともさせているため、誰にも迷惑をかけていない
- 子供への対応: 部屋が汚いのは子供が働いていないからであり、シングルマザーで自分をダメだと思うなら子供にやらせるべき
- 母親としての問題: 子供を労働者として扱っていないこと、子供にやりたいことをさせすぎていることがダメ
- 脳内母親: 完璧にできていない限りクソでダメという人はプライドだけ高く、40代でそう考える女性は脳内母親から卒業していない場合が多い
■ 3. 女性の願望とアイドル志向の理解
- 女性の普遍的願望: 女子に生まれたら大体5割ぐらいはアイドルになりたいと考える、特に10歳ぐらいまで
- 褒められ方の違い: 男の子は「強いね、偉いね」、女の子は「優しいね、可愛いね」と褒められ、その言葉に価値観が縛られる
- 進化の分岐: 根底の価値観が異なる生き物がそれぞれ同じ種族に囲まれて別の進化を遂げる
- 男性への翻訳: 女性の「アイドルになりたい」は、男性の「ヒーローになりたい」が「誰かのためになる仕事したい」「自分しかできないことがしたい」に変換されるのと同様
- 職業の有無: 男子の場合ヒーローという職業がないが、女子の場合アイドルという職業があるため、根本的な願望を職業に固定化してしまう
- 言ってはいけないこと: 「可愛くないのにアイドルになりたいなんて」と言うのは、男性が「弱いくせに誰かのためになる仕事したいなんて」と言われるのと同じで傷つく
- 魂の汚れ: そういうことを言うと魂が汚れるため、言わない、思わない、トレーニングで思わなくなる
■ 4. 部下との関係性の再定義
- 居眠りする部下: 20歳の女性部下が1日中うとうとしているが、仕事に支障が出ていないなら上司35歳男性がイライラしているのが問題
- 仕事への支障の有無: うとうとしても職場全体の問題になっていないなら、効率を求められていないか、やるべきことはちゃんとやっているかのどちらか
- 八つ当たり: 他人のことでイライラしているのは自分のイライラを女性に向けている八つ当たり
- 部下という概念の否定: この世界に部下なんていない、正確には立場が上の同僚と立場が下の同僚しかいない
- プライベートへの介入: 仕事中の顔(笑顔、辛そうな顔、居眠りしながらの顔)は表情というプライベートであり、仕事の成果とは別
- 99%自分が悪い: 人のことでイライラしている場合は99%自分が悪いため、考え方を変えるべき
■ 5. 社会人としての野球の必要性
- 上司の助言: 良好な関係を維持する話題として野球を知っておくべきと言われた24歳男性
- 根を張るという視点: 会社に根を張りたいと思っているなら、組織なので人間関係が重要であり、上司が気に入りそうな話題の1つぐらいできた方が良い
- 野球である必要はない: 根を張るのは360度どの方向でも良く、将棋、芸能界の噂、ジブリ、アニメなど、どれか1つで良い
- 10年後の視点: 10年後には自分が先輩となり、その頃の後輩(今の中学1年生)と話すため、共通の話題があれば何でも良い
- マーケティング的回答との違い: 「見る必要ない」「そんな会社やめてもいい」というマーケティング的回答ではなく、真面目に答えると長く複雑になる
■ 6. ミスへの説教と組織人としての選択
- 説教の心理: ただのミスに説教してくる上司への質問に対し、「ただのミスだから謝る必要はない」というバカには説教するしかない
- 説教の効果性: 面倒で嫌だが、ケアレスミスをなくすには誰かが説教するのが実は最も効果的(ただし正しい方法ではない)
- バカの炙り出し: ミスをしたやつに説教することで社内の謝れない奴(社内のバカ)を炙り出すことができ、人事的な考察が可能になる
- 2つの選択肢:
- (1) すぐに謝れる自分になる(組織人になる):組織にいる限り自分のせいじゃないのに謝ることは何度でもあるため、謝れる自分になる
- (2) 組織に向いていないと分かったのでやめる:組織の外では賢者かもしれないしやり手かもしれない
- なるほどと返すバカ: 怒られた時に「なるほど」と返して謝らないバイトは、自尊心の塊で謝る必要がないと思っている
■ 7. 人生相談の回答スタイル
- マーケティング的回答: 質問者が答えて欲しいこと、YouTube視聴者が聞いて気持ちが良いこと、彼らをくすぐる・喜ばせるような答えを出す
- 野球のマーケティング的回答例: 「見る必要ない」「そんなので部下を評価する会社はやめてもいい」「自分の時間を投資してももったいない」
- 説教のマーケティング的回答例: 「部下にマウントしてくるしか存在感を出せないやつ」「心を空っぽにして適当に謝ってさっさと忘れよう」
- 真面目な回答の特徴: マーケティング的でもなく本音ズバっとでもなく真面目に答えると長くなり、切り抜きに向かず視聴者の心に刺さらない
- 回答の比率: マーケティング5割、本音5割で話している
■ 8. モヤモヤの言語化
- 正しいアプローチ: モヤモヤを完璧に言語化したいというのは唯一の正しいアプローチ
- 普通の人の対処: 言語化できないので忘れるかネットやYouTubeで調べて断定的な表現に安心してすがる
- 脳の老化: 考える癖がなくなって脳の筋肉が委縮すると老化する(年齢よりもこちらが大きい)
- 紙に書く重要性: モヤモヤはノートにペンか鉛筆で字で書く必要があり、頭の中やスマホのメモでは不十分
- 腐葉土としての積み重ね: 毎日別のページに書き続けると腐葉土のように積み重なり、自分なりの思想や価値観という木が立つ土壌になる
■ 1. ASD(自閉スペクトラム症)の基本的特徴
- 定義: 社会的なやり取りに特徴が見られ、コミュニケーションの障害として捉えられる
- 具体的な特徴: 視線が合わない、一方的な会話になる、強いこだわりがある、感覚の過敏がある
- 現行診断基準の2領域:
- (1) 社会的コミュニケーションの持続的な欠陥
- (2) 限定及び反復的行動様式
- 補足的要件: 発現が早期(幼児期)であること、機能障害(認知・身体・社会性)を伴うこと
■ 2. 社会的コミュニケーションの欠陥
- 対人関係の課題: 相手の感情を読み取る、自分の感情を適切に伝える、会話の自然なキャッチボールができない
- 非言語的コミュニケーション: 視線を合わせる、表情で伝える、身振り・手振り、声のトーンなどが理解できない、使うことも苦手
- 字面通りの受け取り: 言葉を字面通りに受け取り、言葉の裏にあるニュアンスや意味が汲み取れない
■ 3. 限定及び反復的行動様式
- 常同行動: 手をヒラヒラさせる、体をブラブラさせる、その場でくるくる回る、手を拍手のようにパチパチする
- 特徴的な物の使い方: おもちゃを1列に並べて遊ぶ、車を裏返しにしてタイヤをくるくる回転させる
- エコラリア(反響言語): オウム返しのように喋る(例:「今からご飯だよ」→「今からご飯だよ」)
- 独特な言い回し: 大人びた言い方や子供なのに多用する表現
- 同一性への強いこだわり: 同じ服でないと嫌、同じ通学路でないと嫌、手の洗い方は絶対こうでないと嫌
■ 4. スペクトラムの概念
- 切れ目がない: 明確な境界線がなく連続的である
- 多様性の存在: ASD的特徴とADHD的特徴を持つ子が多く存在する
- 個別性の重要性: 字面通りASDと言われても、本人のパーソナルデータには様々な凸凹がある
- 土台の共通性: コミュニケーションやこだわりという土台は共通だが、その上に生えてくる特性の課題は異なる
- 支援の個別化: 本を読んで「自閉症だからこれをやろう」としてもうまくいかないケースが多い理由は、スペクトラムという概念で見なければならないから
■ 5. 古典的自閉症(カナー型自閉症、1943年)
- 発見者: アメリカの児童精神科医レオ・カナー
- 主要特徴: 極度の社会的孤立と同一性保持への欲求、著しい言語遅延
- 対人反応の特異性: 赤ちゃん期に抱きしめようとすると体を離そうとする、あまり泣かない
- 常同行動: くるくる回るなどの繰り返し行動
- 知的障害: ほぼ全員が知的障害を伴っている
- 日本での印象: 自閉症イコール知的障害という見られ方が多いのは、これが最初にできた自閉症のカテゴリーだから
■ 6. 高機能自閉症(HFA、1990年頃)
- 定義: 知能の遅れがないケースだが、言語の遅延がある
- 特徴: 言葉を喋るのは苦手だが、勉強することは得意
- 知的水準: 平均域くらいの知的能力がある
- 臨床的特徴: コミュニケーションのギャップと局所的優秀さが混在している
- 局所的優秀さの例: 虫や恐竜に関してはめちゃめちゃ知っている、記憶力が良い
- 支援の必要性: 柔軟性がない、状況に合わせてうまく動けない、感覚の過敏があるため、学業や生活への支援が必要
- 診断の曖昧さ: 医師によって判断基準が曖昧で、中軽度知的障害の子が高機能自閉症と診断されることもある
■ 7. アスペルガー症候群(1944年、認知は1980年以降)
- 発見者: オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガー
- 発見時期: レオ・カナーの翌年(1944年)に報告されたが、認知が進んだのは1980年以降
- 主要特徴: 言語の遅延なく、知的障害も伴わないが、丁寧な形式ばった話し方と限定的興味を示す
- 言語面: 言葉は流暢で、いっぱい喋れる、喋るのが得意
- コミュニケーションの課題: 比喩の理解や対人距離の調整が苦手、相手の状況や立場になって会話することができず一方的な会話になりやすい
- 感覚面: 感覚の過敏やトラウマも伴っており、感情の起伏が激しいように見える
- 長所: 専門知識を深掘りすることができ、学者タイプに多い
■ 8. 日本における認知の歴史
- 1990年代: 高機能自閉症やアスペルガー症候群が規定されたが、日本では認知されていなかった
- 2000年以降: 発達障害がクローズアップされ始めた
- 2010年以降: 発達障害の認知が本格的に広まった
- 現在の30-40代: この世代が子供だった頃(1980-1990年代)は認知が進んでおらず、診断されずに見過ごされた可能性が高い
- 最近の概念: アスペルガーや高機能自閉症は比較的最近理解され始めた概念であり、大人になってから診断される人が多い理由
■ 9. 2013年のDSM-5による統合
- 統合の背景: アスペルガーと高機能自閉症の判別が難しく、線引きが曖昧だった
- 判別の困難性: 高機能自閉症の子が成長して言語が上手に使えるようになると、アスペルガーとの判別がつかない
- 広汎性発達障害の問題: 発達的な課題や生活上の課題があるが、どこに該当するか分からないカテゴリーだった
- 現行基準: 2013年のDSM-5で大きな診断基準の変更が行われ、様々な障害がASD(自閉スペクトラム症)として統合された
- 統合の理由: 基盤がコミュニケーションの課題やこだわりの問題という共通点があったため
■ 10. 支援における重要な視点
- 診断名に囚われない: 子供たちの診断名ではなく、実際の困り感や本人の強みに目を向けることが大事
- 特性の組み合わせで理解: 分類よりも特性の組み合わせで理解する方が良い
- プロファイルとして捉える: 子供たちが持つ強みや困難を組み合わせてプロファイルとして、全体のスペクトラムとして捉えることが重要
- 個別性の尊重: ASDもADHDもLDも被っている部分もあれば違っている部分もあり、曖昧な捉え方である
- 言葉よりも現状: 言葉の定義は共通認識のために必要だが、実際は言葉の中に含まれる中身や実情が大事
- 1人1人違う: 子供1人1人に特徴があり違いがあるため、それに合わせて支援していくことが必要
■ 1. 個別特性に応じた指導法
- 特性の見極め: 子供の特性を面接でしっかり把握し、お調子者なら調子づかせ、プライドが高い子には数学のロジックを説明して理屈が分かっていることを認識させる
- 失敗を責めない: できないことを怒らず、失敗してきた子たちには「立ち止まっていてもいい」と伝え、できることを増やしていく
- 詳細な面接: 証明問題で何を証明しなきゃいけないか考え方のどこで詰まっているのかを把握する
- 国語力の弱さ: 大体の子は国語が弱く、問題を読み解く能力が難しい
■ 2. 国語力向上のための実践的アプローチ
- 日常会話が国語の勉強: 相手と話している時に「こう言ったら相手はこう思うかな」と考えることが、文章にした問題としての国語の問題である
- 感情の言語化訓練: 生徒に「テストします」と言った時の気持ちを4択で作らせることで、自分の感情に適切な語彙があるかをチェックできる
- 語彙力のチェック方法: 4択を出させることで、詳しく言えるのか、嬉しい・悲しい・むかついた・きしょいといった単純な表現しかできないのかが分かる
- 言語化能力の診断: 文章で自分の気持ちを表現できるかどうかで、この子は語彙力が高く言語化ができているのか、できていないのかが判断できる
■ 3. 入所時の生徒の語彙力の実態
- 中1レベルの語彙力: 入ってきたばかりの14-15歳ぐらいの子の語彙力は中1ぐらいである
- 感情表現の単純化: 「キモい」などの単純な表現しかできず、自分の感情を適切に表現できない
- 暴力への依存: 言葉が分からないから「えーい」と殴ってしまう
- ストレスの原因: 使える言葉が少ないため、適切に感情を表現できずストレスを抱えている
■ 4. 感情の構造化と表現力の育成
- 感情の詳細化: 「キモい」ではなく「怒っている。誰々にこういうことを言われたから」まで言えるようにする
- 理由の明確化: なぜ怒っているのか→金先生にこういうこと言われたから→こういうこと言われたら怒るのはなぜか→自分はそうじゃないと思ったから、という構造を理解させる
- 喧嘩の回避: 適切に感情と理由を言語化できれば喧嘩しなくて済む
- 読書の推奨: 使える言葉を増やすために読書を勧め、おすすめの本を渡したり感動する小説を紹介する
■ 5. 漫画を活用した読解力向上
- ワンピースの活用: 週刊ジャンプが施設に入るため、ワンピースを読んだ生徒に「なぜこのキャラクターは怒ったと思う?」と質問する
- キャラクター理解: ワンピースはキャラクターの心情が揺れ動く理由が分かりやすく描かれている
- 自分の立場で考える: 「自分がドフラミンゴの立場ならどう思う?」とロールプレイを通じて考えさせる
- 走れメロスの活用: 「メロスは激怒した」でなぜメロスが激怒したのかを考えさせ、王様がひどい人だから怒っていたという理由を理解させる
- 文章構造の理解: 王様がひどい人だと分かれば、これから出てくる文章は王様がどれぐらいひどい人なのかを説明するものだと予測できる
■ 6. 言語化能力がもたらす社会的効果
- 社会生活での効果: 会社や社会に出た時に、嫌な思いをした・こうしてほしい・助けてほしいという時により正確かつ相手に伝えられるようになる
- ストレス軽減: ストレスなく生きられ、暴力に頼らなくても生きていける
- 人間のストレスの原因: 多くの人間のストレスの原因は「相手に伝わらない」「なんで俺だけ」「あいつむかつく」である
- 言語化の重要性: 現場作業でも、複数の指示を受けた時にパニックにならず、状況を説明し優先順位を確認できるようになる
■ 7. 具体的な訓練方法
- 日記添削: 日記を通じて言語化の訓練を行う
- 状況説明の訓練: Aさんから仕事を頼まれているのにBさんから別の仕事を任された時、どう対応するかを考えさせる
- 相手の立場の理解: Bさんは自分がAさんの仕事をしていることに気づいていないかもしれないと考える
- 感情の分析: 「金先生にこらって怒られた」→「金先生のことが憎い」ではなく、「なぜ金先生は怒ったのか」→「自分が悪い」→「でも怒っているのはこれをしたからであって、僕のことが嫌いになったわけじゃない」まで言語化できるようにする
■ 8. 想像力と選択肢を増やす教育
- 想像力を働かせる: 結論を出す前に、行動する前に周りをよく見て、もしかしたらこうなっているかもしれない、こうかもしれないと考える
- 選択肢の増加: 想像の中で1番自分が生きやすい選択肢を増やすために語彙力をつける
- 訓練の成果: 言語化がうまいわけではなく、少年院で訓練したら勝手にこうなった
- 普遍的な能力: 誰でもできることであり、訓練次第で身につけられる能力である
■ 1. 問題人格者が存在する理由
- 企業内での生息: どの企業にも必ず何名かは人格に問題のあるビジネスパーソンが存在している
- 存在を許される理由:
- 経営陣である
- カネを稼げる
- 上には従順である
- 解雇規制の観点から追い出せない
- 周囲への弊害: 他の社員はいい迷惑をしており、そういう連中と共存するにはどうしたらよいのかという悩みを日々抱えながら働くことになる
- プロジェクトへの影響: 問題人格者が一人入ってくるだけで会議を妨害されたり、スケジュールに遅れが生じたり、他のメンバーの作業に支障が出る
■ 2. 問題人格者の典型例
- 知識をひけらかすタイプ: マーケティングプロジェクトで役員が突如「3Cは知ってるよな?」とクイズを始め、社員を貶めることで自分の知識をひけらかす
- 独演会の開始: 「コトラーの本は当然読んでるよな?」などと聞き出し、誰も読んでいないことを確認して独演会を始める
- 人を馬鹿にする行動: 息を吸うように人を馬鹿にする人間が一定数存在する
- 士気への影響: メンバーの士気に重大な影響を与え、時にはそれが原因でプロジェクトが動かなくなる
■ 3. 基本的な対処方針
- 根本的排除の困難性: 多くのケースでコンサルタントの権限では彼らを根本的に排除することはできない
- 与えられたメンバーでの遂行: 経営者に訴えるケースもあるが、通常は与えられたメンバーでプロジェクトを遂行せねばならない
- 次善策としての封じこめ: 人格に問題がある人間の悪影響をできるだけ小さくし、時には隔離する手段を取る
- 重要なノウハウ: そういう人間をどう扱うのかは、プロジェクト遂行における重要なノウハウの一つである
■ 4. タイプ別の具体的対処法
- 人を貶めるタイプへの対処:
- 極力、皆の前で発言させない
- 当てない、振らない、独演会が始まる前に話を切る
- 事前に「この程度の会議であれば出席していただく必要はないと思います」とVIP待遇に見せかけた個別隔離対応を行う
- 承認欲求が強いタイプへの対処:
- 目立つことを好み、人が話している途中でも話を取ってしまう
- 会議の冒頭に10分程度「その人だけが話せる時間」をあらかじめ設定する
- ひとしきり話したいことを話した後は帰ってしまうことが多く、他の人の話には興味がない
- パワハラタイプへの対処:
- 「目標必達って言っただろ」「甘く考えているんじゃねえよ」などとすぐに詰めてくる
- 詰められる対象となる人に対して、先んじてこちらが「目標の達成状況についてお話を聞かせてください」と代弁する
- あくまで冷静に気をつかいながら対応し、後で個別にパワハラタイプの愚痴を聞いて発散させる
■ 5. その他のタイプへの対処法
- 斜に構えるタイプへの対処:
- 冷笑的で人の意見にすぐにケチをつけ、チャレンジする人間を妨害する
- 新しいことには前例がないとケチをつけ、採用に力を入れようとすると「どうせうちにはろくな人が入ってこない」と言う
- 最初に意見を言わせると弱く、先に意見を言わせてそれをみんなで議論する形にすると、そのうち会議に出席しなくなる
- モラルの低いタイプへの対処:
- セクハラまがいの発言や武勇伝を誇らしげに語り、「昔は、これぐらいは当然やってたよな!」などと発言する
- オフィシャルな場でルールや説教を持ち出すと拒否反応を示す
- プライベートで夜一緒に飲みに行ったり趣味を等しくして遊びに行くと反応が変わる
- 信頼を得てしまえば他の問題児の抑制に一役買ってくれることもある
■ 6. 対処法の限界と活用
- 教育の題材: 問題児への対処法はロールプレイや勉強会などにおける題材となっていた
- マニュアルの限界: マニュアル通りにやればなんとかなるというほど人間は簡単ではないので過信してはいけない
- タイプ見極めの重要性: どのタイプなのかという見極めは初期対応に役立つことは間違いない
■ 1. コミュニケーションと学習姿勢
- 知らないことを知らないと言えない: 知ったかぶりをすると学ぶチャンスを逃す。素直に知らないと言える人の方が吸収が早く成長スピードが速い
- 会話のテンポが極端: 早口な人は思考が浅くなりがちで、遅すぎる人は情報整理が苦手。どちらも伝わりにくく周囲と円滑なやり取りができなくなる
■ 2. 仕事の進め方
- 仕事が遅い: 納期や難易度を考えず手当たり次第に進めると結果的に時間がかかり信頼も失う。改善策として優先順位をメモし手順を整理することが有効である
- なぜと考える習慣がない: 同じミスを繰り返す傾向がある。疑問を持ち深く考える癖を身につけることが重要である
■ 3. 思考と判断
- 自分だけ特別だと思い込む: 努力をしていないのに自分は他と違うと思い込み孤立しやすくなる。明治大学教授によれば脳の仕組みによって権力を自覚すると共感力が低下し他人の気持ちが分からなくなる
- 努力すれば正しいと思い込む: 重要なのは最小の努力で最大の成果を出すことである
- すぐ理解できることしか好まない: 抽象的な話や難しい内容を避けていると応用力や柔軟な発想力が育たない。イギリスの研究でも能力が低い子供は応用力が乏しいとされている
■ 4. 態度と姿勢
- 他人に厳しく自分に甘い: 信頼されにくい。逆に自分のミスを認めて学べる人は確実に成長していける
- 情報の出所を気にしない: 信用を失いやすい。根拠のある情報かどうかを意識することが重要である
- 過去の成功に固執する: 時代の変化に対応できず成長の機会を逃すことになる
■ 1. ジャン・ボードリヤールの思想の概要
- 人物像: 1929年生まれのフランスの哲学者、社会学者である。
- 学問への道: 農家の家庭に生まれ、努力で学問の道へ進み、ドイツ語教師を経て思想の道に入った。
- 注目された著作: 39歳で『物の体系と消費社会の神話と構造』を発表し、消費行動が動物的欲求ではなく物によって生まれた差を埋めるための行為であると指摘した。
- 代表作: 52歳の時の『シミュラークルとシミュレーション』は、バーチャルリアリティ時代を予言し、映画『マトリックス』の原案となった。
- 社会の終焉: 20世紀以降の社会は豊かになりすぎ、機能性ではなく記号という幻想を求めるようになり、これは社会の終焉を意味すると考えた。
■ 2. 現代は「記号」を消費する社会である
- 機能性の限界: 現代の物は機能性や有効性が十分に満たされ、もはやそれ以上発展の余地がない。
- 記号の定義: 本当は価値がないのに、価値があると思い込むことで価値が生まれるもの(例:ブランド品、肩書きなど)を記号とする。
- 消費の対象: 人々は物の道具的な価値ではなく、ブランドがもつ特別感や心地よいイメージという記号にお金を払っている。
- 記号の例: ブランド品、家電の付加価値(マイナスイオンなど)、流行の旅行先、社会的肩書き(大卒、正社員)などは、すべて機能ではなく記号である。
- 経済の仕組み: 社会に必要なものは安価で足りてしまったため、現代では経済を回すために必要のない仕事や、記号を作り出し売ることしかできなくなった。
■ 3. 終わらない「記号消費社会」
- 無限の再生産: 記号は実態がないため、無限に作り続けることが可能であり、この仕組みにはゴールがない。
- 社会の構造: 現代社会は、ありもしないゴール(記号)を目指し、永遠に走り続ける無意味なレースのようなものである。
- 逃走の不可能性: 記号消費社会が無駄だと気づいたとしても抜け出すのは不可能である。
- 反記号社会の記号化: 生活に必要なものだけを求めるミニマリストも、すぐにミニマリスト向けの商品やミニマリストという記号を求めるようになる。
- 唯一の脱却: 完全に記号から離れるには、世間から離れて山奥で暮らすしかない。
■ 4. 社会を変える可能性
- 記号社会の効用: 記号消費社会は、無意味であっても経済を回し、私たちを長生きさせるという意味では有用である。
- 変化の条件: この無意味な社会に「こんな社会なら死んだ方がまし」と死を選べる(あるいは死んでも働かない)ニートだけが社会を変える可能性を持っている。
- 社会の破綻: 働くことをやめる人が溢れることで社会が破綻すれば、社会は何かしらの対策を講じる必要が生まれるためである。
- 個人的な対応: 社会全体を変えるのは難しいが、自分が記号という幻想を求めていることに気づくことができれば、無駄な努力を減らし、生きやすくすることは可能である。
■ 1. エミール・シオランのペシミズム(悲観主義)
- ペシミズムの定義: この世は苦しみであるという見方である。
- 幸せの捉え方: マイナス(苦痛)がゼロになる瞬間を幸せと捉える。プラス(今以上の何か)を目指すのではなく、元々ある苦痛の消失を重視する。
- 思考の傾向: 物事を冷静に分析すると悲観主義に近づく。
- 実生活への応用: 理想や夢を追うのではなく、不幸や最悪な状況を回避するという現実的なアプローチを取るべきである。
- 確実性の追求: 雲を掴むようなプラスを追わず、確実なマイナス(苦痛)を取り除き、最小限のマイナスで生きることを目指す。
■ 2. 怠惰・無気力は善であるという主張
- 世の中の価値観: 現代社会はエネルギーが高いこと(行動、やる気)を善として賞賛する。
- エネルギーの危険性: エネルギーは良い行いだけでなく、悪い行い(犯罪)も引き起こす可能性がある。
- 怠惰の定義: 何もやる気が起きない、行動しない状態は、犯罪などの悪も起こさないため、極端に言えば無意識の善を体現している。
- 行動の裏側: 積極的に善を行おうとする人もエネルギーが高い故に、そのエネルギーが悪に転じる可能性を常に持っている。
- 真の善: 無気力、無関心、何もしない中立の状態こそが、悪を生まない真の善であると主張する。
■ 3. 「死」の活用方法
- 死の捉え方: 死はネガティブな終わりではなく、人生を輝かせる最高の発明品である。
- 生への影響: 死という終わりがあるからこそ、人は今残された生を活かそうと努力し、生き生きとさせることができる。
- 自殺の捉え方: 自殺は苦しいことからの解放の手段であり、喜びでもある。いつでも死ねるという覚悟が、今の苦しみに耐える力になる。
- 生きる行為: 生きていることは自殺の遅延であるとシオランは表現する。
- 死に対する印象: 苦しい人生を送る者にとって死は勝利であり、成功している者にとって死は楽しい人生を奪う敗北である。
■ 4. 自由になるための無関心
- 究極の生き方: 生きている間の苦しみから自由になるためには、無関心になるしかない。
- 仏教との類似: 仏教の解脱(げだつ)や悟りに近い状態である。
- 苦しみの根源: 人間が苦しいのは、欲や執着(こうしたい、成功したい)を持っているからである。
- 執着の否定: 命はやがて尽きて無に戻るのだから、あらゆるものに執着しても意味がない。
- 自由の獲得: 興味や執着をすべて手放し、無関心な状態になることによって、人は初めて自由になれる。
■ 1. 外部の出来事ではなく「解釈」が苦しみを生む
- ストア派の核心: 紀元前3世紀にゼノンによって生まれ、エピクテトス、セネカ、マルクス・アウレリウスらが発展させた。
- 苦しみの源泉: 人生の苦しみや痛みは外部の出来事ではなく、それに対する自分の解釈によって生まれる。
- マルクス・アウレリウスの教え: 「外部の出来事が君を傷つけるのではない。それに対する君の解釈が君を傷つけるのだ。」
- 実践: 仕事のミスで怒られた場合、「自分はダメだ」と捉えるのではなく、「学び、成長できる機会だ」と捉え直すことで、冷静に理性的に生きることができる。怒り、不安、嫉妬といった感情は、環境や他者ではなく、全て自身の解釈によって作り出されていると理解する。
■ 2. コントロールできるものに集中し、できないものを手放す
- 無駄な執着の排除: 人間の悩みのほとんどは、自分の力では変えられないことへの執着から生まれる。
- エピクテトスの教え: 支配できるものと支配できないものを区別することこそが人間の自由の本質である。
- 区別の方法:
- コントロールできるもの: 自分の思考、選択、行動(例: 雨が降ったら傘を持って出る、未来が不安なら今日を最大限努力する)。
- コントロールできないもの: 他人の意見や態度、天気、未来の出来事(例: 上司の機嫌、SNSの批判)。
- 効果: 変えられないことに怒るのは時間とエネルギーの無駄であると認識し、コントロールできる行動に集中することで、無駄な悩みが減り心が軽くなる。
■ 3. 感情に振り回されず、理性を鍛えて冷静に判断する
- 感情との向き合い方: 感情は自然に湧き上がるものであり否定する必要はないが、感情に振り回されずに理性で判断することが強い生き方である。
- エピクテトスの教え: 「君を怒らせるものは出来事そのものではない。君の頭の中の解釈が君を怒らせているのだ。」
- 冷静になる方法:
- すぐに反応しない: 怒りや不快なことがあった時、一呼吸置くことで衝動的な行動を防ぎ、冷静に考える時間を作る。
- 最悪の事態を吟味: 不安に襲われた時、最悪の事態が本当に起こるのかを理性的に考える。人間は実際には起こらないかもしれないことを恐れて苦しんでいることが多い。
■ 4. 「メメント・モリ(死を忘れるな)」を実践する
- 死を意識する理由: ほとんどの人が死を遠ざけるが、ストア派は「死を忘れるな」という教えを説き、死を意識することで今この瞬間を本気で生きるための考え方とする。
- マルクス・アウレリウスの教え: 「君は100年後に生きていないだろう。では何を恐れるというのか。」
- 効果: 人生が有限であることを意識すれば、今をどう生きるかが一気に明確になる。無駄な悩みが消え、他人の評価や無意味なことに気を取られることがなくなる。
- 実践方法:
- 朝の問い: 朝起きた時、「今日が最後の日だったら」と思って行動する。
- 夜の振り返り: 夜眠る時、「もう明日は来ないかもしれない」と考えて、後悔のない一日だったかを振り返る。
■ 5. ストア派を日常に活かすための習慣と目的
- 実践の習慣: 素晴らしい考え方も実践しなければ意味がない。
- 朝: 今日起こりうる困難を想定しておく(例: 上司の理不尽な言動、電車の遅延)。
- 昼: コントロールできることだけに集中し、変えられないことへの不満は時間の無駄だと認識する。
- 夜: メメント・モリを実践し、自分の人生が本当に意味のあるものになっているかを見つめ直す。
- 満足する力を鍛える: 欲望には終わりがないため、すでに持っているものに価値を見出し(得たものを発する)、比較をやめ、感謝する習慣を身につけることで、欲望に振り回されない真の自由を手に入れる。
- 人生の目的を見つける:
- 自分の役割を知り果たすことに集中し、自分が心から望むことを深く考える。
- 死を意識し、「今日が最後の日でも悔いはない」と言える生き方か問いかける。
- 他者に貢献することが人生の目的になりうると考え、自分の強みを生かして誰かのために何ができるかを考える。
■ 1. ストア哲学の概要と歴史的背景
- 起源と創始者: 紀元前3世紀頃、古代ギリシャの哲学者ゼノンによって創始された学派。
- 影響力の大きさ: 古代ギリシャやローマ帝国時代に人気が高まり、エピクテートス、セネカといった著名な哲学者や、五賢帝の一人マルクス・アウレリウス・アントニヌスといったローマ皇帝にも思想が取り入れられた。
- 時代背景(ポリスの崩壊):
- ストア哲学が流行する以前、ギリシャ人はポリスという小さな共同体の中で外部を知らずに生活していた(箱入り娘・息子のような社会)。
- マケドニアなどの外部勢力が侵入し、ポリスという共同体が崩壊したことで、人々は「世の中は自分の村だけではない」という広い世界を実感した。
- 関心が「共同体(ポリス)の中でどう生きるか」から「自分自身がどう生きるべきか」へと変化した。この背景で、ストア哲学が注目を集めた。
■ 2. ストア哲学の核心: 倫理学と「自然に従って生きよ」
- 哲学の構成: ストア哲学は3つに分かれるが、特にメインとなるのが倫理学であり、これが人間がどう生きていくべきかを論じる。
- 中核概念: 倫理学の中核を担うコンセプトは「自然に従って生きよ」である。
- 「自然に従って生きよ」の意味:
- これは、動物的本能に従うという意味ではない。
- 理性に従って、本能的欲望や地位・名声を求める気持ちをうまく制御して生きるべきだという意味である。
- 人間は動物的本能だけでなく「理性」も与えられているため、理性も働かせている状態こそが人にとっての「自然」だと解釈される。
- 「ストイック」の語源: 理性で欲望を制御するこの生き方(禁欲主義)が、「ストイック(Stoic)」という言葉の語源になったとされる。
■ 3. 実践的なストア哲学: 「コントロールできるものとできないもの」
- エピクテートスの名言: 「物事には我々次第であるものもあれば、我々次第でないものもある」
- 基本的な考え方:
- 自分でどうにかできるものに対しては努力すべきである。
- 自分でどうにもならないものに関しては、いくら求めても幸せにはなれないため、執着すべきではない。
- 自分でどうにかできるもの(内面): 自分の行動、考え方、価値観、欲望、願望。
- 自分でどうにもできないもの(外面): 他人の行動や考え方、他人からの評価、地位や名声。
- 具体例:
- 就職活動: 会社に入りたい理由をまとめる、面接でどう伝えるか考える、資格を取る(自分でどうにかできる)が、実際に採用されるか(自分でどうにもならない)は会社側の判断であり、執着すべきではない。
- 恋愛: モテるために考える、容姿を磨く(自分でどうにかできる)が、相手が実際に自分を好きになってくれるか(自分でどうにもならない)は相手がコントロールする部分であり、無理に変えようとしても幸せになれない。
- 現代への応用: 「できることは充分にあり、自分がコントロールできない部分はもうなるようになる」というスタンスは、地位や名声への執着にとらわれがちな現代人にとっても、心の充実につながる考え方である。
■ 完了予定ではなく完了目標を提示することの重要性
- タスクの完了目標を伝える: タスクの完了時期が不明確な場合でも、「いつ終わるか」ではなく「いつ終わらせようと考えているか」を自ら提案すべきである。例えば、「来週いっぱいで終わらせるつもりで進める」のように伝えることが求められる。
- 曖昧な回答を避ける: 「まだ何とも言えない」という回答で終わらせず、目標とする期日をセットで提示することで、より良いコミュニケーションが可能になる。
- 任せる側の信頼獲得: 「いつ終わらせようと考えているか」を伝えられないと、相手は仕事を任せられないと感じる理由となる。
■ 自ら期日を提案することのメリットとスキルの磨き方
- 自律性の獲得: 相手から期日を課される状態から脱却し、自分でタスクの目標を決めていくことに慣れる必要がある。これにより、自分でコントロールできる領域が広がり、精神的な負担が軽減される。
- スケジュール必達化の懸念への対応: 提案した期日が必達扱いになることを恐れる気持ちは理解できるが、それは「いつ終わらせるか」を伝えない理由にはならない。自ら状況を伝える「攻めの報連相」などのスキルを磨くことで、必達期日化のつらい状況は避けられる。
- ターゲットからコミットメントへ: 「終わらせようと考えている」という目標(ターゲット)から、最終的には「終わらせる」という確約(コミットメント)へと移行する必要がある。これには勇気が必要だが、繰り返すことで自分の振る舞いとして身につけられる。
- プロフェッショナルの振る舞い: 偉大な人物は皆、自ら「宣言」をし続けている。プロとして、完了時期が不明確でも目標期日を伝え続けることで、自身の成長につながると確信する。
■ 自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の基本特性と表現型
- NPDの定義: 誇大性、賞賛の欲求、共感の欠如が広範かつ持続的に認められ、機能障害や悲観的苦痛を引き起こすパーソナリティ障害の一種である。
- 表面的言動: 自分の才能や業績を過大評価し、他者から特別扱いされることを当然と考える。望む扱いを受けられないと強い不満や怒りを表し、自己の目的達成のために他者を利用する傾向がある。
- 内面的な側面: 外面的な自信とは裏腹に、脆弱さや劣等感を抱えている場合がある。
- 誇大型NPD:
- 特徴: 共感性の低さや自己顕示的な振る舞いが目立ち、対人面では対立や反社会行動など、問題を引き起こしやすい。
- 主観的幸福感: 高い場合がある。
- 脆弱型NPD:
- 特徴: 一見謙虚や内気に見えるが、内心では他者を見下し、成功に嫉妬し、自分が理解されていないと感じて詐欺的になるなど、自己中心的で共感に乏しい点は共通する。
- 苦痛の程度: 心理的苦痛や機能障害の程度が大きく、うつや不安などの症状を併発しやすい。
■ 共感性の欠如と発症要因
- 共感性の欠如: NPDの核心的特徴の一つである。
- 認知的共感: 相手の考えを推察する能力は比較的保たれているか、軽度の障害にとどまる場合がある。
- 情動的共感: 相手の感情を自分も感じ取る能力は顕著に低下していることが多い。
- 自己認識の歪み: NPDの人物自身は、自身の共感能力を過大評価しがちで、自分は人の気持ちが分かると誤解しているケースもある。
- 発症要因(遺伝的・環境的):
- 遺伝的要因: 近親者にNPD患者がいる場合、遺伝的に受け継ぐ可能性が指摘されている(特定の遺伝子は未解明である)。
- 環境的要因: 幼少期の逆境的体験(劣等感と怒りにつながる)と過度な賞賛(自己万能感と批判への耐性のなさにつながる)という一見相反する教育環境が発症に関与し得ると言われている。
■ 有病率と治療の現状
- 有病率: およそ1%と見積もられているが、本人に問題の自覚が薄く治療動機が低いため、潜在患者を含めると実際の数値はさらに高いと推測される。
- 治療の難しさ: NPDの核となる症状を改善する薬剤が存在しないため、完全に症状をなくすことは難しい。
- 治療法: 心理療法で長い時間をかけて症状の軽減を行うのが主な治療法である。
- 予後と共存症: NPD患者は人生の挫折や対人関係の問題から、様々な精神疾患(特に脆弱型は自尊心の傷つきからうつ病など)を併発するリスクが高い。
- 社会との関わり: 高度な自己顕示欲と野心からカリスマ的リーダーとして成功する者もいる一方で、共感の欠如から社会で孤立したり敵を作りやすい側面も持つ。
■ 周囲の対応と結語
- 問題の所在: NPD患者の認知の歪みは幼少期の体験などに起因する場合があり、本人の元々の罪ではないが、社会生活には感情の共感という能力が必要である。
- 他者への対応: 相手の考え方を変えるのは困難なため、NPDの人との関係においては、関わらないか、歩み寄るかの2択が現実的となる。
■ 1. 作品紹介とテーマ
- 作品名と作者: フィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』である。
- 作品テーマ: 「人間とは何か」である。
- あらすじの概要: アンドロイドを討伐するバウンティハンターの主人公が、様々な人物やアンドロイドとの出会いを通じて、人間とアンドロイドの境い目に疑問を持つという物語である。
- 多面的な視点: 物語は、アンドロイドを狩る側の主人公リック・デッカードと、アンドロイドを守る側のジョン・R・イシドアという2つの視点から描かれる。
■ 2. 世界観と主要な設定
- 舞台設定: 第3次世界大戦後のアメリカであり、核の塵により環境が悪化し、人類のほとんどは火星に移住している。
- 地球残留者: 地球に残っているのは、個人的な事情や愛着で残った「レギュラー」と、適性検査に不合格で移住権のない「スペシャル」である。
- 主人公の職業と動機: 主人公リック・デッカードは、火星から逃亡したアンドロイドを討伐するバウンティハンターである。彼の動機は、高価な本物の動物を飼うために必要な賞金である。
- 動物の価値: 死の塵による環境悪化で動物の飼育が困難になり、動物を飼うことが社会的なステータスとなっている。デッカードは本物が買えないため電気羊(ロボットの羊)を飼い、周囲には本物だと偽っている。
- マンサー教: 人々の繋がりと孤独からの解放を重視する宗教であり、「共感ボックス」を通じてマーサーという老人の苦しみ(石を投げられる痛み)を共有することで、連帯感と共感性を得る。
- ムードオルガン: ダイヤル操作で自分の好きな気分になれる機械であり、荒廃した世界で人間が精神的な安定を保ち、適切な感情を維持するために使われる。
■ 3. 人間らしさと境い目の曖昧さ
- 人間とアンドロイドの区別: この世界では、アンドロイドは他者に対する共感性が欠如し、感情移入ができない存在と見なされ、人間は共感・感情移入ができる存在とされている。
- 判定方法: アンドロイドか人間かを判別するため、感情を揺さぶる質問への反応を確かめるフォークト=カンプフ検査が設けられている。
- デッカードの視点の揺らぎ: 芸術鑑賞を楽しみ、感動的な歌唱を披露するネクサス6型アンドロイドと対峙することで、人間との境い目が曖昧になり、討伐の正当性に苦悩する。また、冷酷で共感性の欠けた人間(フィル・レッシュ)の存在も、人間性の基準を揺るがす。
- イシドアの視点: アンドロイドを守る側のスペシャルであるイシドアは、皮肉にも作中で共感性が強く、誰よりも人間らしい特徴を持つ。彼が匿うアンドロイドは、虫を無邪気に残酷に扱うなど、人間らしい行動の定義を複雑にする。
- 構造的な解体: 感情豊かなアンドロイド、冷酷な人間、共感的なスペシャル、共感性の低いアンドロイドといった様々な登場人物の存在が、人間とアンドロイドという枠組み自体を解体している。
- 機械への依存: 人間がムードオルガンで感情をコントロールし、共感ボックスで人間らしさ(共感性)を維持していることは、人間が最も核となる部分を機械に頼っている状況を示し、アンドロイドとの違いを曖昧にしている。
- 人間性の喪失への恐怖: デッカードは、アンドロイドを討伐し続けることで、自分が機械に近づき、人間性を喪失することに恐怖を覚える。
■ 4. タイトルの解釈と結末への示唆
- タイトル解釈: 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』には2つの意味が込められている。
- (1) 寝る時の夢: 人間が羊の夢を見るように、アンドロイドは電気の夢を見るのかという、アンドロイドの内的世界への問いかけ。
- (2) 目標や願望(ドリーム): 人間が本物の羊を欲しがるように、アンドロイドは電気(機械)を欲しがるのだろうかという、アンドロイドの感情や希望の有無への問いかけ。
- 本質的な問い: タイトルは、人間とアンドロイドの境い目は何なのかというテーマを、詩的で洗練された表現に変えたものである。
- 最終的な結論: 作品は、人間の定義を破壊し、その解釈を読者に委ねているが、物語の結末は人間性を保つことに焦点が当たっている。
- 人間性の根源: 人間性の根源的な欲求は、孤独からの解放と他者への共感性であり、苦しみをも分かち合う(共感ボックス)ことで人間性を実感している。
- 作者の主張: アンドロイドの感情や創造物(歌など)が本物か偽物かは重要ではない。その歌を聞いて感じたこと、その感情から生じたものをそのまま受け止めれば良い。
■ 1. マキャベリの思想とその背景
- 人物像: ニッコロ・マキャベリ(1469-1527)はルネサンス期のフィレンツェの外交官であった。
- 著作『君主論』: 権力闘争が絶えない時代背景の中、理想論ではなく、現実的な権力獲得と維持の方法を冷徹な視点で記した。
- 影響: その思想は「目的のためには手段を選ばない」というマキャベリズムとして知られ、カトリック教会によって禁書に指定された。しかし、ナポレオンやルーズベルト、現代のリーダーたちも密かに学び、利用してきた。
■ 2. 人間と社会に関する5つの真実
- 真実1:人は理性ではなく感情で動く:
- マキャベリの言葉: 「人は手で感じるよりも目で判断する」
- 論点: 人は事実や論理ではなく、見た目の印象、気分、安心感、自己イメージといった感情や欲望によって行動する。
- 応用: 人を説得する際は、正論を並べるのではなく、相手が心地よくなるようなメッセージや、相手の感情に直接訴えかける方法を考えるべきである。
- 真実2:忠誠は条件付きで成立する:
- マキャベリの言葉: 「愛されるより恐れられる方が安全である」
- 論点: 忠誠心は無条件に捧げられるものではなく、見返りや相互の関係性の上に成り立つ。
- 応用: 忠誠心は戦略的に与えるべきであり、一方的に利用されていると感じた場合は、関係を見直す必要がある。無条件の忠誠は弱さと見なされる。
- 真実3:評判こそ最大の武器:
- マキャベリの言葉: 「全ての人は見えるものに目を向ける。少数のものしか本当の姿を知ることはない」
- 論点: 社会においては、他者があなたをどう認識しているか(評判)が、現実の力となる。
- 応用: 自分の全てをさらけ出すのではなく、見せるべき部分と隠すべき部分をコントロールし、戦略的に自己を演出することで、望ましい評判を築くことができる。
- 真実4:平和の時こそ戦争を準備せよ:
- マキャベリの言葉: 「戦争は避けられない。先延ばしにすればそれは他者の利益になるだけだ」
- 論点: 日常は平和に見えても、常に競争や衝突が進行している。
- 応用: 安定している時こそ、スキルを磨き、資産を築き、健康に気を配るなど、不測の事態に備えるべきである。備えがある者だけが、真の心の余裕と平和を享受できる。
- 真実5:優しさと弱さを混同するな:
- マキャベリの洞察: 「人は優しさと弱さを混同し、しばしば弱いものを軽んじる」
- 論点: 力を持たない者の優しさは弱さや従順さと見なされ、利用されることがある。
- 応用: 真の優しさは強さの上に成り立つ。時には嫌われることを恐れずに正しい行動をとり、自分の基準を持つことで、長期的には尊敬と信頼を築くことができる。
■ 3. 結論
- まとめ: マキャベリの教えは冷酷に見えるが、それは人間という存在を理想ではなく現実として捉えるための知恵である。
- 啓示: 多くの人が努力しても報われないのは、これらの「真実のルール」を知らないためである。親や教師がこれらの真実を教えなかったのは、彼ら自身が知らなかったか、あるいは従順な人々の方が社会を支配する側にとって都合が良いためである。
- 行動指針: 常に真実を理解し、これらの原則を心に刻むことで、人間関係、仕事、恋愛において新しい景色が見えてくる。
■ 1. 約束を軽んじる
- 特徴: 小さな約束でも簡単に破り、悪びれることもなく謝らない。
- 影響: 相手の信頼を徐々に失い、誰も頼らなくなる。言葉の重みがなくなり、人間関係や仕事が深まらない。
- 対照: 誠実な人は、約束を守り、できない場合は事前に伝える。
■ 2. 感情で人を振り回す
- 特徴: 感情の起伏が激しく、理由なく不機嫌になり、周囲の空気を悪くする。
- 影響: 周囲の人は常に気を使い、安心できず、心を開かなくなる。
- 対照: 賢い人は、感情をコントロールし、他人にぶつけず、常に安定した態度で接する。
■ 3. 都合の良い時だけ近づく
- 特徴: 自分の得になる時だけ笑顔を見せ、用が済むと態度を一変させる。
- 影響: 相手は利用されていると感じ、不信感を抱く。長期的な信頼関係を築けない。
- 対照: 徳のある人は、損得勘定抜きで相手を思いやり、真の人間関係を築く。
■ 4. 他人の成功を妬む
- 特徴: 他人の成功を素直に喜べず、皮肉や悪口を言う。
- 影響: 自分の成長が止まり、人も幸せも遠ざかる。
- 対照: 尊敬される人は、他人の成功を見て学び、応援する心を持つ。
■ 5. 愚痴や不満ばかりを口にする
- 特徴: 常に不満を口にし、自分を被害者だと考える。
- 影響: 周囲の人をうんざりさせ、次第に孤立する。悪い言葉は運を遠ざける。
- 対照: 前向きな人は、困難な状況でも「なんとかなる」と明るく振る舞い、周りを元気にする。
■ 6. 責任を人のせいにする
- 特徴: 失敗すると、上司や環境など他人のせいにする。
- 影響: 周囲からの信頼を失い、「この人に任せても無駄だ」と判断される。
- 対照: 責任感のある人は、結果が悪くてもまず自分の選択だったと受け止め、成長する。
■ 7. 感謝を言葉にしない
- 特徴: してもらうことを当然だと考え、感謝の言葉を口にしない。
- 影響: 人の親切心や心を冷やし、周囲との関係が崩壊する。
- 対照: 感謝の気持ちを自然に表現できる人は、周りの空気を温かくし、人との縁をつなぐ。
■ 8. 人を見下す目を持つ
- 特徴: 言葉や態度だけでなく、視線で相手を見下していることを示してしまう。
- 影響: 相手は侮辱されたと感じ、信頼関係が築けない。謙虚さや学ぶ姿勢がなく、孤立を招く。
- 対照: 賢い人は、相手の立場に関わらず、目線を合わせて敬意を払う。
■ 1. 頭の良いリーダーシップの落とし穴
- 背景: 筆者は、自衛隊の「優秀で頭の良い」指揮官が、部下からネガティブな評価を受けていることに違和感を抱いた。
- マイクロマネジメント: 頭が良いリーダーは、短期間で成果を出すために「あれをしろ、これはやるな」と細かく指示し、部下を管理する傾向がある。
- 組織の機能不全: このようなマイクロマネジメントが習慣化すると、部下は自ら考えることをやめ、「言われた通りにやる」ことが目的化する。結果として、組織の士気は低下し、長期的に見て弱体化する。
- 実例: 後年、この「頭の良い」自衛官が退官後に特定秘密を漏洩し、元部下を懲戒免職に追い込む事件が発生した。元部下は、その上司からの指示を断ることができないほどの恐怖感を抱いていたとされている。この事例は、優秀さが組織を破壊する結果につながる可能性を示している。
■ 2. 本物のリーダーシップのあり方
- 背景: 筆者は、かつて「ダメ指揮官」と呼ばれた元最高幹部の話を聞いた。彼は中隊長時代、細かく指導するも連戦連敗だった。
- アプローチの転換: 彼は連隊長に就任後、それまでの細やかな指導を一切やめ、部下自身に「どうしたら勝てるか」を考えさせた。リーダーとしての役割は、部下のアイデアを引き出し、その責任を自らが負うことだと悟った。
- 行動の模範: 彼は部下の立案した早朝訓練に、自らも毎朝4時から立ち会うなど、言葉だけでなく行動で範を示した。
- 結果: わずか1年半で弱小部隊を常勝部隊へと変貌させた。部下たちは、彼を「本気の連隊長」と評し、心からの尊敬を示した。
- 普遍的な教訓: 彼は「考える部隊は強い」という信念を持ち、「階級(地位)で指導するリーダーは失敗する」と説いた。また、退職後も後輩を敬う姿勢を崩さなかった。
■ 3. 結論
- 資質の違い: 部下を恐怖で支配し、最終的に組織の信頼を損なった「頭の良い」リーダーと、部下に考えさせ、責任を負い、行動で示すことで組織を強くした「本物の」リーダー。この対照的な二人の事例は、リーダーとしての資質が組織の命運を分けることを示している。
- 真の優秀さ: 真に優秀なリーダーとは、単に知識や知能が高いだけでなく、部下を信頼し、自律的に考えさせ、成長させる能力を持つ人物である。
■ 1. 完璧な理解を追求する姿勢
- 現状の課題: 報告内容を完全に理解する前に、安易に解決策を考えてしまう傾向がある。
- 同僚の行動: 同僚の事業責任者は、完璧に理解できるまで質問を繰り返す姿勢を徹底している。
■ 2. 全体像の把握
- 目的: 問題が本当に問題であるか、その業務の本来の目的は何かを把握するため、個別の事象だけでなく全体像を問うている。
- 効果: 全体像を理解することで、問題の本質を見極め、的外れなアクションを防いでいる。
■ 3. 疑問をそのままぶつける
- 行動: 専門外の分野であっても、自身が他者に説明できるレベルになるまで質問を続ける。
- 課題: マネージャーやリーダーが「物わかりが良い」と思われたい心理から、この姿勢を維持することは難しい。
- 効果: 相手に遠慮なく疑問をぶつけることで、曖昧な理解を避け、疑問を完全に解消している。
■ 4. 完璧な理解の難しさ
- 心理的障壁: 「わかったふり」をしたり、「想像でわかった気になる」ことが多いため、完璧な理解を追求することは意外と難しい。
- 行動とのトレードオフ: 「シュッと解決する」ことの楽しさや、AIエージェントの活用によって、問題解決への行動を先行させてしまう傾向がある。
■ 5. 完璧な理解の重要性
- 質の高いアクション: 状況を正確に理解することで、本質的かつ筋の良い解決策を導き出すことができる。
- 信頼関係: 表面的な理解で安易な行動をとるのではなく、誠実に理解しようとする姿勢は、長期的な信頼関係の構築につながる。
- 多面的な視点: この姿勢は、一見マイクロマネジメントや面倒な行為に見えることもあるが、表面的な理解による失敗を防ぎ、より深い洞察を得る上で重要である。
■ 1. 会議を任せられる人の共通点
- 判断基準: 会議中に安易な回答をせず、「分からないことは持ち帰る」という姿勢を持つ人。
- 具体的な発言: 「本件は持ち帰らせてください」「社内の有識者に確認します」「後日回答させてください」といった発言ができる。
- 理由: 曖昧な回答をせず、時間をかけてでも正確な情報を提供することが、顧客や上司の信頼につながる。
■ 2. 会議を任せられない人の特徴
- 焦りからくる曖昧な回答: 焦って「~だと思います」のような曖昧な発言をしてしまう。
- 回答になっていない: 顧客が求めている「できる/できない」という明確な回答ができない。
- 信頼の喪失: 結果として「この会社は信用できない」と見なされるリスクがある。
■ 3. 会議で最も大切なこと
- 嘘をつかない勇気: わからないことを「わからない」と正直に言う勇気が必要である。一時的な「頼りなさ」を気にして、誤った情報を伝えるべきではない。
- 自制心: 「その場を丸く収めたい」「自分をよく見せたい」という誘惑に打ち勝ち、正直さを優先する自制心が必要である。
- 自信のない発言をしない: 「多分」「おそらく」といった修飾語は、回答に自信がないことを露呈させてしまい、信用を失う原因となる。
■ 4. 優秀な新人の会議術
- 前提としての知識武装: 会議に臨む前に十分な知識を身につけておくことが大前提である。
- 持ち帰りパターンの活用: 相手に与える印象を変えるため、知識の確信度に応じて「持ち帰ります」の言い換えパターンを用意しておく。
- 「言い切り」のリスク: 正確な情報を「言い切る」ことにはリスクが伴うが、そのリスクを負うことで影響力を得られるという認識を持つ。
■ 5. 結論:誠実さと信頼がキャリアを築く
- 不確実性をなくす仕事: エンジニアの仕事の本質は「不確実性を段階的に減らす活動」である。会議でわからないことを持ち帰り、正確な情報を提示することは、この本質に沿った行動である。
- 信頼の構築: 正直さや誠実さによって上司や顧客の信頼を得ると、重要な会議を任されるようになる。
- キャリアアップ: 会議を任されることは、実質的な昇進を意味し、ワーカーからリーダー的な立ち位置にステップアップする機会となる。間違った情報を伝えることのデメリットは計り知れない。常に誠実であることが最も重要である。
■ 1. 人生を楽しむための基本ルール
- 自己を大切にすること: 自分のことを大切にしてくれる人を大切にし、大切にしてくれない人は大切にしない。
- 人生の主体性: 人生は自分のものであり、他人のために生きる必要はない。自分の心の平穏を守ることが最優先である。
- 単純な思考: 人間関係を複雑に考えず、「等価交換」という単純なルールで捉えると楽になる。
■ 2. 病んだ人が寄ってくる理由と対処法
- 理由: 病んだ人が寄ってくるのは、あなたが彼らにとって「価値が低い」「同類」だと思われているからである。彼らは「病んだ自分」を受け入れてくれる相手を求めており、専門家や家族、彼氏のように「治すこと」を望む相手ではない。
- 対処法:
- 無視: 有害な関係に対しては、無視が最も有効な手段である。
- 境界線の設定: 「病院に行かないならもう会わない」など、明確な境界線を設けるべきである。
- 自己防衛: 医者ではないのだから、病人を構う義務はない。自分の心の健康を害する関係からは距離を置くべきである。
■ 3. 属性に囚われないこと
- 親や友人という属性: 親や友人、同級生といった属性に意味付けをしてしまうと、しんどい人間関係から抜け出せなくなる。
- 人間関係の再構築: まず「大切にしてくれる人を大切にする」という全体ルールを定め、その上で個々の関係性を評価していくべきである。
■ 4. SNSでの実践
- ミュート機能の活用: SNSでも同様に、不快なツイートをする人、自分の心の平穏を害する人は積極的にミュートすべきである。
- 最適化: 自分の生活や心の状態をより良くするために、SNSのタイムラインも自己中心的で良い。
■ 1. 成長を阻む5つの壁
- ゴールが不明確: 次に目指すキャリアや目標が決まっていない。
- 要素が不明確: 目標は決まっていても、それに必要な知識、スキル、経験がわからない。
- 伸ばし方が不明確: 必要な要素はわかっているが、それをどのように習得すればよいかわからない。
- 実践の機会がない: スキルを伸ばす方法がわかっていても、それを試す業務や環境がない。
- フィードバックがない: 実践の機会があっても、客観的な意見をくれる信頼できる相手がいない。
■ 2. 成長における3つの自己認識のポイント
- 過小評価:
- 内容: 実際には成長しているのに、自分は成長していないと思い込むケース。
- 対策: 新しい知識やスキル、経験を具体的に振り返り、自分の実力を正しく認識する必要がある。
- 過大評価:
- 内容: 実際よりも自分の実力を高く評価しすぎ、本来学ぶべきことを軽視してしまうケース。
- 対策: 自分より経験豊富な第三者から率直なフィードバックをもらうことが重要である。質問の仕方にも配慮が必要である。
- 他者との比較:
- 内容: 優秀な他者と自分を比較し、自分が成長していても実感を得られないケース。
- 対策: 比較対象は常に過去の自分にする。過去の自分と比べて、どの部分が伸びたか、どこをさらに伸ばしたいかを考えることが大切である。
■ 1. 人の顔に現れる心のサイン
- 前提: 人の顔つきには、その人の生きてきた道のりや心の動きが静かに現れる。
- 目的: 相手の顔に現れる心のサインを読み解くことは、自己防衛のための知恵であり、生まれつきの顔立ちで人を判断する占いではない。
- 8つのサイン:
- (1) 怒りに満ちた目: 会話の中で、特に自分の意見が通らない時に目が鋭くなる。これは対話を「勝ち負けの戦い」と捉えている兆候である。
- (2) 歪んだ口元: 他人の不幸な話を聞いた時に、口角の片方が不自然に上がる。これは心の中で相手の不幸を密かに喜ぶ、軽蔑や皮肉のサインである。
- (3) 目に力がない: 重要な話をしていても視線が定まらず、まるで魂が抜けているかのような目つき。情熱や他人への興味が薄れている状態を示す。
- (4) 眉間の深いシワ: 特に理由もないのに、常に不満や不機嫌さを顔に貼り付けたような慢性的なシワ。長年の否定的な感情の履歴である。
- (5) 感情を感じさせない冷たい目: 他人が感情を表す場面でも、まるでガラス玉のように感情が映し出されない目。共感性の欠如を示す。
- (6) 偽りの優しさ: 完璧すぎる笑顔や不自然な態度。相手に良く思われたい気持ちが強く、本心との間にギャップがある。
- (7) 泳ぐ視線: 話の核心に触れたり、都合の悪い質問をされたりした時に、急に目を合わせなくなる。不誠実さや動揺のサインである。
- (8) 能面のような無表情: 喜びや悲しみといった人間的な感情が一切表情に現れない。相手を拒絶するための静かな壁である。
■ 2. サインの活用方法と注意点
- 絶対的な判断基準ではない: これらのサインは絶対的なものではない。病気や疲労、個人的な癖などが原因である場合もある。
- 活用の順序: まず、相手との交流で「心がざわつく」「疲れる」「冷える」といった違和感を覚える。その違和感の正体を理解するためのヒントとして、上記のサインを活用する。
- 自己観察の重要性: 人を観察する目と同じように、自分自身の顔つきも鏡で観察する必要がある。無意識のうちに他者を遠ざけるようなサインを出していないか、自己を振り返るための道具として使うべきである。
- 適切な距離の取り方: これらのサインを見つけたら、相手を責めるのではなく、静かに理解し、自分の心の平穏を保つために距離を置く勇気を持つことが大切である。
■ 1. パーソナリティ障害とは
- 定義: 人格の偏りによって、本人や周囲が苦しむ状態を指す。
- 特徴:
- 物事の捉え方や感情の表現が不安定で、極端に偏っている。
- そのため対人関係を築くことが苦手である。
- 背景: 脳の発達が一段落する14〜15歳頃までの発達障害特性が背景にある場合が多く、遺伝的な要因や後天的に培われたものがその上に重なってパーソナリティ障害が形成されると考察されている。
■ 2. 自己愛性パーソナリティ障害の特徴と形成要因
- 特徴:
- 1. 誇大性: 自身を非常に優れている、特別な存在であると信じている。
- 2. 賞賛欲求: その信念にふさわしい、あるいはそれを上回る賞賛や嫉妬を常に浴びたがる。
- 3. 共感性の欠如: 他者を見下し、共感することが苦手である。
- 形成要因:
- 過度な甘やかし: 幼少期から「あなたは一番だ」と過剰に褒められて育った場合、その認識が人格の基準となる。
- 遺伝的・身体的要因: 恵まれた容姿や体格、才能などが影響することもある。
- 自己評価の歪み: 本来、評価は他者がするものだが、自己愛性パーソナリティ障害の人は自分で自分を過大評価する傾向がある。その結果、根拠のない、ガラスのように脆い自尊心を持つ。
■ 3. 自己愛性パーソナリティ障害への対応
- 当事者の認識:
- 症状が軽い場合は自分で気づく可能性がある。
- しかし、多くの場合は自己の性格の延長線上にいると考えており、病院を受診することは少ない。
- 物質的な成功(高価な物や高級なレストランなど)を追い求めることで、自己の理想像を維持しようとするため、自己破滅的な行動につながることもある。
- 治療方法:
- 自己愛性そのものの治療を直接行うことは少ない。
- まずは高すぎる自尊心や、それに伴う不安などの二次的な精神症状を、薬物療法や精神療法でアプローチする。
- 精神状態が落ち着いた後に、自己愛的な部分について精神療法で取り組むのが一般的である。
- 周囲の関わり方:
- 本人は好きでそのような行動をしているわけではないという理解が重要である。
- 周囲が「度が過ぎないようにうまくやってあげる」ことが大切だが、双極性障害などの合併症があると逸脱した行動が増えることがある。
- 専門家への相談:
- 自分や身近な人が自己愛性パーソナリティ障害かもしれないと悩んでいる場合、専門家への相談が推奨される。
- 医師は当事者に「あなたは自己愛性だ」と直接的に伝えることはせず、本人が生きづらさを感じている別の理由(発達特性など)からアプローチする。
- ブレインクリニックでの対応: 視聴者が相談したい場合、ブレインクリニックで相談することが可能である。
■ 1. 言語化能力の格差
- 真の原因: 会議で言葉に詰まるのは、個人の能力の問題ではなく、「言語化能力の格差」に起因する。
- 背景: 営業やコンサルティング経験者は、日頃から言語化の訓練を徹底している。一方で、技術職など、必ずしもそうした訓練を受けていない職種も存在する。
- 結果: この格差が、普段のコミュニケーションを阻害し、会議での緊張や不安を生み出す。
■ 2. 言葉が出なくなる根本原因
- 準備不足の自覚: 普段から「整理ができていない」「準備が足りない」という自覚があるため、厳しい人がいると「ちゃんとやらなければ」というプレッシャーから緊張する。
- 説明量の増加という誤解: 質問されると、説明が足りないと考え、情報をすべて話そうとする。しかし、多すぎる説明はかえって相手を混乱させ、「つまり、何?」という質問を招く。
■ 3. 会議成功のための3つの準備要素
- 会議の成否を分ける要素: 会議で重要なのは、その場での説明力ではなく、事前の「情報設計」と「準備」の質である。
- 会議に臨む際の3つのポイント:
- 十分な判断材料の提供: 相手が必要とする情報を過不足なく整理する。
- 選択肢の明確化: 「どうしたらいいですか」と問うのではなく、具体的な選択肢を提示する。
- 推奨案の提示: 自分なりの推奨案と、その根拠を明確にする。
- 相手の心構えを揃える: 会議の冒頭で、これが「情報共有」なのか「意思決定」なのか「相談」なのか、目的を明確に伝える。
■ 4. 信頼獲得のプロセス
- 準備の質と信頼: 準備の質が向上すると、上司や関係者からの信頼が高まる。
- 権限委譲の流れ:
- 1. 確認される立場からスタートする。
- 2. 準備と判断が的確だと、「この人の判断ならいい」と信頼される。
- 3. 最終的に「このあたりは任せる」と権限が委譲される。
- 事前の情報設計: 言葉に詰まる人には、その場での表現力よりも、事前の情報設計と準備に問題がある。これは改善しやすいスキルである。
■ 5. 結論
- 会議は「設計の場」: 会議は、その場で戦う「戦場」ではなく、事前の準備で勝負が決まる「設計の場」である。
- 恥ずかしさを捨てる: 成果を出さないことこそが恥ずかしい行為である。質問することは悪いことではなく、成果を出すための手段である。
- 最も信用される人: 「わからないことを正直に『わからない』と言える人」は、成果を出すことに真摯に向き合っていると見なされ、最も信用される。
■ 1. 仕事が遅くなる原因
- 「後でじっくり考える」という誤った習慣: 仕事が遅い人の最も明確な原因は、打ち合わせなどで内容を理解しないまま「後でじっくり考えよう」と先延ばしにすることである。
- 情報の減少と質の低下: 打ち合わせの場を離れると、情報源が失われるため、後で考えても新しい情報は得られない。また、時間が経つほど記憶の鮮度が下がり、仕事の質も低下する。
- スタートラインに立っていない: 自分が何をどうするべきか完全に理解していない状態で「はい」と返事をする人は、仕事に着手する準備ができていないと言える。
■ 2. 打ち合わせの役割とプロの姿勢
- 「あとはやるだけ」にする行為: 打ち合わせは、議題を議論するだけでなく、参加者全員が「何からどう始めるか」を完全に理解し、あとは作業するだけの状態にすることが本来の役割である。
- その場での確認の徹底: わからないことがあれば、その場で当事者に確認すべきである。後で考えるより、その場で解決する方が、より迅速で質の高い成果につながる。
- 成果を出すことが最優先:
- わからないまま進めて低いクオリティの成果物を提出する方が、その場で質問して時間を取るよりも遥かに迷惑である。
- 「恥ずかしい」という感情を捨て、成果を出すために「わからない」と正直に言うべきである。
- マネジメント側は、部下の知識レベルを把握しているため、質問を恥ずかしいと思う必要はない。
■ 3. 解決策と提言
- 「わからない」と言える勇気: 仕事が早い人は、会議中に全てを把握し、終了後すぐに着手する。一方、仕事が遅い人は、後で考えようとして時間を浪費し、最終的なアウトプットの質も低い。
- 信頼される人材像: 「わからないことを『わからない』と言える人」が最も信用される。これは、その人が成果を出すことに真摯に向き合っていることを示す。
- 「成果を出さないこと」が最も恥ずかしい: 質問することや時間を取ることが悪いのではなく、成果を出せないことが最も悪い。この意識を持つことで、仕事の進め方が改善される。
■ 1. 意思(Will)と感情(Emotion)の切り分け
- 意思(Will)の定義: 目標達成に向けた、能動的で持続的な力である。自分でコントロール・鍛錬が可能であり、仕事で最も重要となる。
- 感情(Emotion)の定義: 外部刺激に対する、受動的で一時的な反応である。完全にコントロールすることは困難である。
- 論点: 仕事において、感情に意思決定を委ねることはプロフェッショナルとして不適切である。感情的な判断は、長期的な利益を見失うリスクがある。
■ 2. 感情が仕事にもたらす悪影響
- 意思決定の質の低下: 「ムカつくから」「気に入らないから」といった感情的な理由で判断すると、短期的な感情の解消を優先し、長期的な利益を損なう。
- 投資家ウォーレン・バフェットは、感情を排除した合理的な判断を徹底している。
- 感情的な意思決定は、良いアイデアを潰したり、キャリア形成に悪影響を及ぼしたりする。
- 仕事のクオリティの不安定化: 気分に左右されて品質にムラが生じる。プロフェッショナルには、どのような精神状態でも一定のクオリティを維持することが求められる。
- 周囲への悪影響: 感情は伝染する性質を持つ。機嫌が悪い人が一人いるだけでチーム全体の雰囲気が悪化し、生産性が低下する。特にリーダーやマネージャーは、感情をコントロールする必要がある。
■ 3. 感情を乗りこなすための「判断ハイジーン」
- 判断ハイジーンの概念: 心理学者ダニエル・カーネマンが提唱した考え方である。意思決定のプロセスを標準化し、個人的な感覚や気分といったノイズを排除する手続きを指す。
- 具体的な実践方法:
- チェックリストの活用: 重要な判断をする際に、事前に定めた項目を機械的に確認する。
- 冷却期間の設定: 重要な決定を即座に行わず、一晩寝かせるなど時間を置くことで冷静さを取り戻す。
- AIの活用: AIを第三者の視点として利用し、自分の考えを客観的に検証する。
■ 4. 航海士としてのプロ意識
- サーファーとの比較: 感情の波に瞬間的に乗り、行き先を波任せにするサーファーのやり方と、海図とコンパスを頼りにどんな天候でも目的地に向かう航海士のやり方を対比させている。
- プロフェッショナリズム: 仕事では、顧客が期待する品質と納期を守るため、感情に左右されない安定した航海術(プロセス)が必要である。
- 直感の位置づけ: 直感は感情とは異なり、経験の蓄積による反応である。しかし、判断ハイジーンにおいては、感情と同様に、直感のみで判断せず十分な分析や検証を行うべきである。
■ 5. まとめ
- プロセスの重要性: 感情に左右されないためには、プロセスの力を信じ、それを設計し実行することが重要である。これにより、個人の技量や気分に依存しない、再現性の高い成果を出せる。
- 最終的な目標: 感情を完全に排除する必要はない。しかし、意思決定のような重要な局面では感情が入り込む余地をなくすべきである。意思と感情を明確に区別し、冷静で合理的な判断を心がけることが、プロフェッショナルとして成功する鍵となる。
■ 1. 『自由論』の概要と現代的視点
- 『自由論』の主題: 哲学者ジョン・スチュアート・ミルによる1859年の著書であり、個人の自由に対する社会のあり方について論じている。個人の選択の自由ではなく、社会全体が個人の自由をどのように扱うべきかという点が主題である。
- 現代社会との関連性: 現代は「総監視社会」であり、SNSなどを通じて発信される意見が多数派の倫理や道徳によって厳しく審査される。ミルが指摘した「民主主義に潜む専制」は、まさに現代のSNS社会に当てはまる問題である。
- 質的功利主義と多数派の専制:
- 量的功利主義への批判: ベンサムの「最大多数の最大幸福」を追求する量的功利主義は、多数派の幸福のために少数派の自由が奪われる可能性がある。例えば、当時のキリスト教徒が多数派であった社会では、無神論者の発言権が認められなかった。
- 質の概念: ミルは、快楽や苦痛には「質」があり、単純な量で測るべきではないと主張する質的功利主義を提唱した。
- 民主主義の危険性: 民主主義は専制政治を避けるための理想的な政治体制だが、ミルは「多数派の専制」が潜んでいると指摘する。多数派の道徳や常識が、あたかも絶対的なルールのように少数派の意見を抑圧する傾向がある。これは、現代のSNSで昭和的な価値観が非難され、発信者が自主的に意見を抑制する状況と一致する。
■ 2. 自由を保障する「絶対原則」と3つの自由
- 危害の原理: ミルは、個人の自由への干渉が正当化される唯一の理由は「自衛」であると主張する。他者に危害を加えない限り、全ての行動は自由であるとする、危害の原理を提唱した。
- 危害の定義: 危害とは、受動的ではなく能動的に、直接的に、そして不可避的に与えられる被害を指す。
- 3つの自由と危害の原則:
- 1. 思想・表現の自由: 意見や感情を表現する自由。SNSでの発信を不快に感じても、それが誰かに強制されたものでなければ、危害には該当しない。個人の投稿を閲覧するかどうかは個人の選択であり、不快感を理由に道徳的な干渉を行う権利は誰にもない。
- 2. 思考と目的追求の自由: 自分の趣味や生活方針を自由に決めること。他者の生活に不可避な被害(例:近隣住民のゴミの悪臭)を与えない限り、個人の領域における行動は自由である。ミルは、人にだらしない行いや愚かな行いをする自由も存在するとし、これを「愚行権」と呼んだ。
- 3. 団結の自由: 他者に危害を与えなければ、どのような目的で団結してもよい。
■ 3. 言論の重要性
- 健全な議論の促進: ミルは、自由の絶対原則を主張する目的は、個人の自由を守ることだけでなく、言論を活性化させ、社会全体の利益につなげることにあると考える。
- 避難と反論の違い: 倫理や道徳を盾にした他者への「非難」は好ましくないが、論理に基づいた「反論」や「指摘」は健全な言論であり、社会に不可欠である。
- 意見の規制が招く弊害:
- 正しい意見が排除される可能性: 多数派の意見が正しいと盲信する「無謬性の仮定」により、少数派の正しい意見が排除され、人類全体が被害を受ける可能性がある。
- ドグマ(お題目)化: 正しい意見であっても、十分に議論されなければその本質が失われ、理由を伴わない「ドグマ」に成り下がる。社会が危機に瀕した際に、簡単に捨て去られてしまう危険性がある。
- 真理の追求の妨げ: ほとんどの意見には部分的な真理が含まれている(ハーフ・トゥルース)。言論が統制されると、意見の調整や思考錯誤が妨げられ、真理の追求がおろそかになり、人類の発展が停滞する。
■ 4. 結論
- 現代への示唆: ミルの『自由論』は、個人に危害が及ばない限り、他者の思想や発言に過剰な干渉をすべきではないという考え方を提示している。
- 自分自身の平穏のために: この思想は、他者や社会を変えることは難しくても、個々人が穏やかな生活を送るための価値観となり得る。自らがこの思想を実践し、他者の発言に過剰に不快感を覚えないようにすることで、より平和な日常を送ることができる。
- 少数派の存在: 正しい意見も間違った意見も、すべて社会には必要である。
- 最後の敵: 私たちが真の自由へ辿り着くための最後の敵は、自分自身である。
■ 1. 自由論の核心
- ミルの自由の定義: ミルの著書『自由論』で語られる「自由」は、「あるものからの自由」である。ミルが生きた19世紀には、人々は国家や宗教といった大きな権力からの自由を獲得しつつあった。
- 真の敵: 自由を追求する上で次に克服すべき敵は、多数派からの自由であるとミルは主張している。言論や思想の自由が認められた社会では、多数派の意見が絶対的に正しいと見なされ、少数派の意見が軽視・排除される危険性がある。
■ 2. 少数派の意見を尊重すべき理由
- ミルは、少数派の意見を尊重すべき理由を以下の2つのパターンに分けて説明している。
- パターン1: 少数派の意見が正しい場合
- 少数派の意見が正しい場合、その意見を大事にすべきなのは当然である。
- 歴史上、イエス・キリストやソクラテスといった偉人は、当時の多数派によって殺害されたという事実をミルは指摘する。この例から、私たちは多数派というだけで根拠もなく自分を正しいと思い込み、正義の名のもとに少数派を迫害する可能性があることを肝に銘じるべきである。
- パターン2: 少数派の意見が間違っている場合
- 少数派の意見が間違っている場合でも、私たちはその意見に耳を傾け、説得する努力をしなければならない。
- 「ドグマ」への警告: ミルは、議論や検証がなければ、どんなに正しい意見でも「真理」ではなく「ドグマ(お題目)」に成り下がると警告する。「人を殺してはいけない」という絶対的な真理も、その理由を自ら説明できなければ、いざという時に簡単に捨て去られてしまう。
- 真の理解: 少数派と向き合い、彼らを説得する過程で、私たちは多数派の意見がなぜ正しいのかを深く学び、その言葉に重みを感じることができる。
■ 3. 現代社会への警鐘
- 普遍的な教訓: 『自由論』の警告は、現代の社会的課題(男女平等、LGBTQ+、格差問題など)にもそのまま当てはまる。これらの問題はすべて、「多数派からの自由」という論点に集約される。
- 最後の敵: 私たちが真の自由を達成するための最後の敵は、他者ではなく自分自身である。私たちは、自分が多数派に属している時に、無自覚に他者を傷つける可能性を常に認識し、真の自由のために自らと向き合う必要がある。
■ 1. 無能な人が引き寄せられる場所の共通点
- 楽して稼げる話が多い場所: 「スマホだけで自由に生きる」「3ヶ月で人生が変わる」といった甘い誘惑に満ちている。実力がないことを認めつつも結果だけを欲しがる人々が集まる。ここでは努力しなくても良いという「逃げ道」が肯定され、自己の異常性に気づけない。
- 否定がタブーなコミュニティ: 「誰も否定しない」「優しさ」を掲げている。居心地の良さを提供する一方で、現状維持が正義となるため、人間が成長に必要なストレスや摩擦が存在しない。変化を望まない無能な人々にとって理想的な空間である。
- 他人の悪口で盛り上がる場所: 共通の敵を作って一体感を醸成するが、責任の所在が曖昧になり、問題の本質から遠ざかる。ポジティブなアイデアを出す人が排除され、組織全体が無能の温床となる。
- 常に誰かに依存している場所: 「この人の言うことを聞いておけば間違いない」という空気が支配している。自分で考える力を放棄し、判断や決断を他者に委ねる人たちが集まる。疑うことがタブーとされ、集団全体が無能な方向に進んでいく。
- 理屈よりノリや感情が優先される場所: 「熱意さえあれば大丈夫」「気合いで乗り切ろう」といった言葉が重視される。深く考える必要がなく、感情に任せて行動できるため、無能な人々にとって心地よい。正しい意見でも「ノリが悪い」と潰され、結果が出なくても「頑張った」で許される環境である。
■ 2. 無能化の心理的構造
- 安楽への逃避: 人は本能的に苦しみや不安から逃れたいと願う。そのため、楽で安心できる場所に吸い込まれ、自分を甘やかす環境に無自覚に留まってしまう。
- 自己の無能化の固定: 上記のような場所にいると、自分の思考が停止し、無能な状態が固定化されていく。最も危険なのは、自分がその輪の中にいることに気づけないことである。
■ 3. 無能にならないための行動指針
- 自己への問いかけ: 自分が無能な状態かもしれないと疑うことから始める。
- 環境の見極め: その場が心地よいかどうかではなく、自分が成長できているかどうかを基準に環境を判断する。
- 自立した行動: 楽な道に近寄らず、自分の力で道を切り開く勇気を持つ。
- 健全な思考: 感情に振り回されず、冷静に物事を分析し、改善する姿勢を持つ。
■ 1. 無政府状態とアナキズムの定義
- 無政府状態(Anarchy): 政府が存在しない、または機能が麻痺し、社会が無秩序に陥った状態を指す。この状態では、警察や法律が機能せず、公共サービスが中断し、経済が混乱する。ソマリアやハイチなどがその事例である。
- アナキズム(Anarchism): 支配者や権威を否定し、人間が自律的に社会を運営できると信じる思想である。アナキズムの目的は「政府をなくすこと」ではなく、「権威そのものを否定すること」である。強制的な権力機関(政府、軍隊、警察など)を否定するが、無秩序や混沌を志向するものではない。
■ 2. アナキズムの歴史的変遷
- 思想的ルーツ: 古代ギリシャの哲学者(ストア派など)や中世のキリスト教共同体、農民の反乱など、権力に疑問を呈する思想は古くから存在した。
- 思想としての確立: 18世紀から19世紀のヨーロッパで、啓蒙主義や産業革命を背景に、ピエール=ジョセフ・プルードンがアナキズムを明確な思想として定義した。
- 主要な思想家:
- プルードン: 「財産とは何か」で「財産は窃盗である」と述べ、他人の労働から利益を得る私有財産制度を批判した。自らの労働で得た財産は認めた。
- ミハイル・バクーニン: プルードンの思想を継承し、より過激な革命的方法を強調した。マルクスと対立し、国家を維持するマルクス主義に対し、革命と同時に国家を消滅させるべきだと主張した。
- ピョートル・クロポトキン: 無政府共産主義を発展させ、中央政府のない自律的共同体の連合を主張した。
- 運動の衰退と再浮上: 19世紀末から20世紀初頭にかけてのテロや暗殺事件により、アナキズムは危険な思想と見なされ弾圧された。第二次世界大戦後、伝統的なアナキズム運動は衰退したが、1960〜70年代の新左翼運動やヒッピー文化で再び注目された。
■ 3. 現代におけるアナキズム
- デジタル時代との関係: アナキズムはハッカー運動や分散型ネットワーク(サイファーパンクなど)と結びついた。ビットコインやブロックチェーン技術は、政府の監視に抵抗するサイファーパンク運動から生まれた。
- 実現可能性: 多くの人々は、人間の本性や社会の複雑さを考慮すると、アナキズムは実現不可能、または持続不可能だと考えている。しかし、一部のアナキストは、情報通信技術の発展により、個人が直接意思決定に参加できるようになったことで、実現可能性が高まったと主張している。
- 主流化しない理由: アナキズムが主流思想にならないのは、混沌と誤解されていることと、過度に理想的な思想と見なされているためである。しかし、民主主義の極端な二極化や技術独占といった現代社会の問題に対する代替案として、その思想的影響力は今後も様々な形で存続すると見られている。
■ 1. 善意による献身がもたらす問題
- 献身の罠: 世間的には美徳とされる「誰かのために尽くす行為」は、相手への強い期待や願望を押し付け、結果的に相手の自由を奪うことにつながる。献身する側は、無自覚に相手を抑圧する。
- 事例: 夢を追う彼氏を支える彼女は、彼氏にプレッシャーを与え、親が「あなたのため」と言って有名校への進学を強制すると、子供は本来の意志とは無関係に勉強を強いられる。
- 悪意との比較: 人は悪意には抵抗できるが、善意による強制には「無視する方が悪い」と感じてしまい、跳ね返すことが難しくなる。ボーヴォワールは、人間関係で最も厄介なのは悪意ではなく善意であると指摘した。
■ 2. ボーヴォワールの思想
- 人物像: シモーヌ・ド・ボーヴォワールはフランスの哲学者・作家で、従来の性別のあり方に疑問を投げかけ、徹底的な自由を追求した。
- 「第二の性」: 彼女の代表作であり、女性解放運動の古典とされる。この中で「人は女に生まれるのではない。女になるのだ」と述べ、女性らしさは本性ではなく社会的に作られた虚構であると論じた。恋愛もまた、女性の自由を奪う「罠」になっていると批判した。
- 自由と自己決定: ボーヴォワールは、人は他者からの期待によって「あるべき姿」を規定され、自由を奪われると考えていた。しかし、彼女は「何をやっても不毛」だと感じても、割り切って自分で生きる意味や熱中できる何かを探すことの重要性を説いた。
■ 3. 自由な人間関係を築く方法
- 賢明な寛大さ: 相手のために何かをする際には、見返りや感謝を求めない「寛大さ」が必要である。
- 主体性の尊重: 相手を物や奴隷のように扱うのではなく、自立した主体として尊重することが不可欠である。
- 「勝手にやっている」という認識: 誰かに何かをする行為は、相手のためではなく「自分が勝手にやっていること」と認識することで、相手を束縛せず、自由を認められる。
- 両極端の決断: 人間は「他者への奉仕」と「自分の自由」という両極端を行き来し、その都度決断していくことが、真の自由なあり方であるとした。
■ 1. 自由という幻想
- 実態: 私たちは自由な選択をしていると信じているが、実際には社会システムによって制限された選択肢の中から選ばされているに過ぎない。
- 事例: 食料、水、土地といった生存に不可欠なものがすべて所有され、対価を支払わなければ手に入らない。キャッシュレス決済やSNSのアルゴリズムは、私たちの行動や思考をデータとして収集・誘導している。
■ 2. 教育の矛盾
- 実態: 「教育は未来を開く」と教えられているが、現実は答えの決まった問いを解くことに終始し、創造性や疑問を持つ力は育まれない。
- 事例: AIが従来の知識の再現において人間を圧倒する中、学校教育は依然として旧来の学習方法に固執しており、社会に順応する均一な労働力を量産するシステムになっている。
■ 3. 仕事による疲弊
- 実態: 「仕事が人生を豊かにする」という言葉とは裏腹に、多くの人々は長時間労働やプレッシャーに追われ、生活を仕事に侵食されている。
- 事例: リモートワークは働く場所の自由を与えただけで、24時間仕事に縛られる不自由を生んだ。パンデミックで多くの人が職を失い、システムの脆弱性が明らかになった。
■ 4. 経済成長の欺瞞
- 実態: 経済成長は皆を幸せにすると言われているが、その恩恵は一部のエリートに集中し、多くの人々の生活は物価高騰などによりむしろ厳しくなっている。
- 事例: インフレにより給料が上がらない中で生活費が増加し、特に若者は未来への投資どころか日々の生活に追われている。経済成長は環境破壊と表裏一体であり、未来世代の生存条件を脅かしている。
■ 5. テクノロジーの孤立
- 実態: テクノロジーは人をつなぐと信じられているが、実際には孤独を増幅させ、社会の分断を深めている。
- 事例: SNSのアルゴリズムはユーザーの不安や怒りを煽るコンテンツを優先的に表示し、同じ意見を持つ人々だけのコミュニティに閉じ込めている。AIは便利さをもたらす一方で、監視と依存という代償を求めている。
■ 6. 科学と医療の限界
- 実態: 科学と医療は私たちを守るとされているが、パンデミックを通じて、情報が操作され、企業や政治の利害に利用される現実が明らかになった。
- 事例: 治療費の高騰や医療体制の不備は、医療がすべての人に平等に提供されていないことを示している。薬は症状を和らげる一方で、根本的な解決に至らず、継続的な利益を生むビジネスになっている。
■ 7. 人類の進歩という思い込み
- 実態: 技術は進歩しているが、人間性や社会は進歩しているとは言えない。
- 事例: 気候変動の悪化、戦争の繰り返し、根深い差別など、古い問題は形を変えて存続している。私たちは便利さを手に入れる一方で、他者を思いやる力や自然と共生する感覚を失いつつある。
この情報に圧倒される時代を、個人として、社会としてうまく切り抜けていくにはどうすればいいのか?
混乱を回避し、思考の罠に陥ることを防ぎ、愚かな行為や考えをふるいにかけるには?
本稿の著者3人は、そのためには今その信頼が揺らいでいる"科学的思考"、"科学的アプローチ"が何よりも重要であるという。そして、とりわけ有効だと思える概念やアプローチの総称として「Third Millennium Thinking(3千年紀思考/3M思考)」と名付けた。
現実について自分が知っていることを意識し始めると、すぐさま2つのことが明らかになる。ひとつは、自分には知らないことがたくさんあるということ。もうひとつは、未だに不確実なことがたくさんあるということだ。
不確実なことを前にすると、人は不安になる。私たちは人間で、生理学的に生存を前提にしたつくりになっている。よって、森に何が潜んでいるかわからなければ、進む足取りは当然慎重になる。
だが実のところ、自分が何を知らないかを知ることや、自分の知っていることはほんの一部にすぎないとの認識を持つことは、生存にはもちろんのこと、成功にも欠かすことができない。そうすると、科学的思考の基軸通貨に該当し、3M思考において中核を担う思考の使い方が自ずと必要になる。それは、不確実であるという現実を、自分がとる行動は正しいと確信することに利用するという考え方だ。
現実について知っていることにもとづいて決断を下さないといけないときもこれと同じで、自分が持つ知識はすべて事実であるとの思いに固執してはいけない。そうではなく、これについては強く信頼し、あれについては多少の疑いを残すというようにして、新たな事実が判明するたびに信頼の比重を変えるようにするといい。そうすれば、必要に応じて決断の内容を更新していくことができる。
これは非常に重要な割にめったに口にされない科学の要領のひとつで、理解が不確かな状態という「スキーの斜面」をうまく切り抜ける柔軟性が思考にもたらされる。そのように考えることを「蓋然的思考」と呼ぶ。
■ 1. 自分の意見を絶対に曲げない
- 思考の硬直化: 知能が低い人は自分の意見や信念に固執し、新しい情報を受け入れない。これは思考の柔軟性がないためであり、会話が成立しない原因となる。
- 自信と混同: 知能が高い人は自分の間違いに気づけば意見を変えることができる。一方、知能が低い人は「自分が正しい」と思い込むことで自身を守っている。
■ 2. 人の話を聞かない
- コミュニケーションの欠如: 知能が低い人は、相手の話を遮ったり、最後まで聞かずに結論を決めつけたりする。これは、相手の意図や文脈を読み取る能力が欠けているためである。
- 知的リソースの消費: 相手の話に集中し、共感し、文脈を理解することは、ある程度の知的リソースを必要とする。この能力が低いと、効果的なコミュニケーションが困難になる。
■ 3. 抽象的な話が通じない
- 比喩の非理解: 知能が低い人は、「人生は旅だ」のような比喩や「もし~だったら」という仮定の話を理解することが苦手である。
- 想像力の欠如: 語彙の裏にある意味や意図を読み取ることができず、言葉をそのまま受け取ってしまう。想像力が乏しいため、会話が広がらない。
■ 4. 知的好奇心がない
- 成長の停止: 知的好奇心がない人は、新しい知識や考えに興味を持たない。これは学びを拒否する行為であり、人格的な成長が止まる原因となる。
- 会話の質の低下: 知的好奇心がある人ほど知識の幅が広く、会話に深みがある。逆に好奇心がない人は話題が少なく、会話が浅くなってしまう。
■ 5. すぐパニックになる
- 情報処理能力の限界: 知能が高い人は、複数の情報や状況を整理し、優先順位をつける能力がある。一方、知能が低い人は処理能力が狭いため、予期せぬ事態が起きるとパニックに陥りやすい。
- 感情の制御不能: 知能が低い人は感情を理性でコントロールできず、感情に支配されたまま行動してしまう。
■ 6. 変化への対応力が低い
- 変化への恐怖: 知能が低い人は、慣れた日常に固執し、変化を脅威と捉える傾向がある。そのため、新しい状況やシステムへの適応が遅れる。
- 成長機会の喪失: 知能が高い人は、変化を成長のチャンスと捉える。変化をどう受け止めるかが、思考力と精神的な強さを分ける分岐点である。
■ 7. すぐ切れる
- 衝動性の高さ: 知能が低い人は、感情のブレーキが効かず、思ったことをそのまま口に出したり、感情が爆発したりする傾向がある。
- 未熟さの表れ: 知性がある人は、一度頭で考えてから反応するため、感情的な言動を抑えることができる。すぐ切れる行為は、感情的な未熟さの証拠である。
■ 8. 自信と知性のギャップがある
- ダニング=クルーガー効果: 知能が低い人ほど自分は賢いと思い込みやすく、逆に賢い人ほど自分の限界を自覚している。これをダニング=クルーガー効果という。
- 無知の勇気: 声が大きい人ほど実力があるとは限らない。「分かっているつもり」の人が最も危険で、自分の限界を知らないために失敗を繰り返す。
■ 9. 感情のコントロールができない
- 感情の暴走: 感情が豊かなことと、感情的すぎることは別である。感情的すぎる人は怒りや悲しみにのまれて理性が働かず、冷静な判断ができない。
- 行動と信用への影響: 感情的な言動は一時的にスッキリするかもしれないが、人間関係や信用を損なう。知性がある人は感情を客観視し、行動を抑制できる。
■ 10. 自分を知らない
- 自己認識の欠如: 知性が高い人は、自分の弱点や欠点を客観視できる。しかし、知能が低い人は自己認識力が低いため、自分が間違っていることに無自覚である。
- 成長の停止: 自分の内面を見つめる習慣がないため、他人の意見も受け入れず、同じ失敗を繰り返してしまう。
■ 11. 同じ失敗を繰り返す
- 反省の浅さ: 知能が低い人は、失敗の原因を分析せずに流してしまう。反省しないことは成長を拒否することに等しい。
- 知性の表れ: 反省には知性が必要である。感情を一度脇に置き、状況を客観的に分析し、自分の行動に原因を探すことができる人だけが、成長することができる。
■ 12. 他人の気持ちが理解できない
- 共感力の欠如: 知能が低い人は、相手の気持ちを想像する能力が低い。そのため、自分がどう感じるかしか考えられず、共感が生まれない。
- 人間関係の悪化: 共感力がないと、言葉は通じても心が通じず、人間関係がギクシャクし、信頼を失い孤立する。
■ 1. ビジネスにおける「察する」能力の重要性
- コンサルタントの仕事: コンサルタントは、クライアントとの関係を維持するために、小さな不満を早期に察知し、解消する必要がある。
- 大人の怒り: 大人の怒りは表面化しにくく、放置すると取引停止のような大きな問題に発展する可能性がある。
■ 2. 「察する」ための具体的な行動
- 3つのサイクル: 「察する」能力は、「観察」→「仮説(察する)」→「質問」というサイクルを素早く回すことで成り立っている。
- 手間の重要性: 相手の気持ちがわからないことを自覚し、それを補うために細かく質問・確認する手間をかけることが重要である。
■ 3. 「察せない人」の特徴
- 面倒くさがり: 筆者は、他人の気持ちを「察せない人」は、この「手間」を怠る面倒くさがりなのだと結論付けている。
■ 1. 倫理における「正解」の問い
- 倫理学とメタ倫理学: 倫理学は「正しい行為は何か」を問う学問であるのに対し、メタ倫理学は「そもそも正しいとはどういう意味か」「正しいは存在するのか」といった根本的な問いを扱う。
- 事例: ジョディとマリーの結合性双生児の事例は、倫理に客観的な答えがあるかという問いを投げかける。手術をしてジョディを助けマリーが死ぬ選択と、手術をせず二人とも死ぬ選択のどちらが正しいか、という問題である。
■ 2. 神命説とエウテュプロン問題
- 神命説 (Divine Command Theory): 倫理に正解はあるという立場の一つであり、「神が命じたことは正しい」と考える説である。何かが道徳的に正しいのは、神がそれを命じたからであり、不正であるのは神がそれを禁じたからであるとする。
- エウテュプロン問題: この説に対する最も有名な批判であり、「正しいから神が命じるのか、それとも神が命じるから正しいのか」を問う。
- 「正しいから神が命じる」の場合: 正しいことは神の命令以前に存在することになり、神の権威が「単に正しいことを知っている者」程度に矮小化される。
- 「神が命じるから正しい」の場合: 神の命令は何でも正しいことになってしまうため、「子供を生贄にせよ」といった直感に反する命令も正しいと受け入れなければならなくなる。
- 神命説からの反論: 神は特定の性質(慈愛や正義)に沿った行為のみを命じるため、私たちの直感に反する命令はしないという反論がある。しかし、その「性質」が神の外部にあるのであれば、結局元の問題に戻ってしまうという批判も存在する。
■ 3. メタ倫理学における「正解」の存在
- 道徳実在論と道徳非実在論: 倫理に客観的な答え(正解)が存在すると考える立場を道徳実在論、存在しないと考える立場を道徳非実在論と呼ぶ。神命説は道徳実在論に位置付けられる。
- 存在の仕方: 倫理的な「事実」や「性質」の存在をどう捉えるかについて、メタ倫理学では議論が分かれる。物理的に確認できる「自然的性質」と同一視する自然主義の立場と、それができないとする非自然主義の立場がある。
- 日常への応用: エウテュプロン問題は、神だけでなく親や教師、多数派など、権威を振りかざして理由を問うことができないあらゆる主張に当てはめることができる。
議論時の禁止カードが「私何か間違ってますか?」ですが、これを無効にするカードもあります。「間違っている点を指摘しても良いですが、それに対して絶対腹を立てたりイライラしないで建設的な議論に戻るって約束できますか?」です。クレーマーはよく使ってくるから手札に持っとくといいです。
マジでめちゃくちゃ強いんですよ「私間違ってますか」は。でもその強さは「間違いを面と向かって指摘する心理的抵抗」に由来するので、その抵抗を剥がせれば割と潰せます。論理的な整合性抜きで気合いで潰せます。
気合いさえ足りてれば「間違ってんだろ胸に手ェ当てて考えろや!」でも勝てます。
それはそうと、しんざきは元々DBを中心としたITエンジニアではあるのですが、最近は技術的な仕事というより、コンサル的な立ち位置でお客様に接することが増えています。色んな人が色んな部署で抱えている課題について、もっともマシな解決法は何かを考えて提案する、というような仕事です。
そこでつくづく思うのは、「ぱっと答えが出るような問題なら、そもそも自分は呼ばれてない」ということなんですよね。
技術者としては、自分の技術知識でぱぱっと課題の解決法を見つけて、ぱぱっと解決してお客様を喜ばせたい。実際、例えば課題が「システムの特定機能がやたら遅い」というようなわかりやすい内容であれば、「あーこれINDEX当たってないっすね」とか言いながらチューニングするだけで話は済むんですが、今日びその程度の話ならDB標準のチューニングアドバイザが一瞬で見つけて、解決法までセットで指摘してくれます。
ただ、実際お客様が悩んでいるのは、遥かに複雑な色んな課題の集合体で、調べないといけないことや考えないといけない要素がやたら多いどころか、そもそも「最適な回答」自体が存在しなかったりします。何かをとったら何かを捨てることになり、「Aがいい」という人がいれば「Bがいい」という立場もあり、そんな中で散々悩みつつ、色んなバランスをとりながら「これが一番マシでは?」という妥協点を探り出していく。
そういう状況で禁物なのは、「わかりやすい結論に飛びつく」ことです。
ちょっと考えれば出てくるような結論で話が終わるなら、誰かがとっくにやっている。もちろん、「明確な解決法」がある課題だって中にはあるんですけど、それでもどこかに埋まっている罠があったり、その選択肢をとれなかった理由があったりする。だからこそ、すぐに結論を出したい誘惑に耐えて、あれは大丈夫かこれは問題ないかと、脳みそに汗をかいて色んな要素を埋めていかないといけない。
その辺のバランスをとりながら進めるのは毎度大変なんですが、なんとか仕事を進める中で、「分からない状況に耐える能力」というのは大変重要だなーと。それが明確に言語化できただけでも、ネガティブ・ケイパビリティという概念に改めて触れられた意義はあったし、一方このネガティブ・ケイパビリティをどう育てるか、あるいは部下や自分の子どもにどう伝えていくか、なんてことも考えているところなんです。
「世の中そんなに簡単に解決することばかりではない」という基本認識は本当に重要で、だからこそ「分からない」ことを一旦「分からない」ままにしておいて、本当に妥当な選択肢が見つかるまでじっと耐える、ということが大事になってくる。
相手が悩み事や気になることなどを語り始めたら、「どうして」と原因や動機を尋ねるのではなく、「最近それが起こったのはいつですか」と尋ねる。困ったらまずはすべての質問の最初を「いつ」と変えることからやってみる。そこからさらに「その前は」と聞いていくと、相手はどんどん思い出す。次に、どこ・誰・何などを聞き込んでいく。あるいは逆に、「最初はいつでしたか」から始めて、現在に向けて進んでいくこともできる。
・薬物を勧められたとき
・既婚者から不倫を誘われたとき
・怪しげな闇バイトを紹介されたとき
・先輩が同僚や上司の悪口に「お前もそう思うよな!?」と同意を求めてきたとき
…などなど、あらゆる場面で応用できる、角が立たない便利な断り文句は
「私、めちゃくちゃ口軽いですよ?」
です。
■ 1. 集中力低下の原因とこれまでの習慣
- 集中力の問題: ADHDの特性により、集中力が続かず、週末もだらだらと過ごしてしまい、物事の開始が遅い。一日の終わりには脳が疲弊しきっている感覚があった。
- 以前の行動パターン:
- 起床後: ベッドでSNSや通知、漫画を見て過ごす。
- 午前中: 朝食の準備中に動画を視聴。出社後もメールや通知の確認、計画立案などで時間を費やし、本格的な業務開始が遅れる。
- 全体を通して: 常に小さな意思決定を繰り返すことで脳が消耗し、本来の能力を十分に発揮できていなかった。
■ 2. 新しい習慣と効果
- 新たなルール:
- 1. 意思決定を最小化する: 日常のルーティンを固定し、些細な選択を排除する。
- 2. デジタルデトックス: 午後3時まで携帯やiPad、ウェブサーフィンを一切見ない。
- 習慣の実行方法:
- 朝起きてからの行動をルーティン化し、決めたことを愚直に実行する。「遠くを見る」「立ち止まらない」といった最低限のルールを設けてランニングを行うなど、行動中の意思決定も最小限にする。
- 意思決定を必要とする思考が浮かんだ際は、瞑想のように「今は考えない」と割り切る。
- 衝撃的な効果:
- 習慣の実行により、午前中から頭が冴え、高い集中力を維持できるようになった。
- 小さな意思決定の積み重ねが、いかに集中力の妨げになっていたかを実感した。
- 午後3時以降にメールやSNSを確認しても、以前と比べて疲れを感じにくくなり、夜にも余裕を持って活動できるようになった。
■ 3. 習慣の重要性と結論
- 習慣が途切れた日の生産性低下: 在宅勤務でルールを破った日には、生産性が著しく低下し、一日中だらだらと過ごしてしまった。この経験から、習慣の重要性を再認識した。
- 意思決定最小化の絶大な効果: 意思決定の回数を減らすことで、脳のエネルギーを最も重要なタスクに集中させることができ、同じ人間とは思えないほどの高い生産性を発揮できるようになった。
- 結論: 意思決定を最小化する習慣は、ADHDの特性を持つ人でも集中力を飛躍的に向上させる強力な方法である。
職場に誰もが認める仕事ができない若者が二人います。一人は20代、もう一人は30代です。
この二人の共通点は、人の話を憶えられないということです。
話しかけると返事をします。仕事の指示をするとわかりました、と言います。
でも仕事はできません。仕上がりがあまりに遅く質が悪いので、ある時から指示をした後に「復唱して」というと半分くらいしか理解していません。指示の直後でも半分程度の再現しかできません。
自分の仕事の内容を理解しようとしていません。子供がいやいや宿題をやらされているような感じです。
憶えられないならメモを取るように、と言ってもそのとおりにしません。
もう一つの共通点は、言い訳は抜群にうまいということです。
百戦錬磨のツワモノ級の言い訳です。それまでの人生をかけて積み上げてきた一級品の言い訳です。言い訳の時だけレスポンスがよく内容も的確です。
仕事ができない人間だと思われたくない、という気持ちはとても強いと感じています。
回答を書いているうちにもう一人思い出しました。
その人は当時20代の女性で、医療系の大学院出身でしたが、ごくごく簡単な事務仕事さえ溜めこんでいました。私の会社はペーパー優先なので仕事をためると書類が積み重なっていきます。繰り返し注意しても書類は減りません。とうの昔に処理していなければならない古い仕事を発見したりして、なかなか恐ろしい書類置き場と化していたので、パンドラボックスと呼んでました。
彼女は仕事をしていないわけではないのですが、書類が不思議とたまっていきます。見かねて彼女の同僚が、彼女の帰宅後に代わりに仕事を処理します。難しい仕事ではないので、書類は半分くらいの高さになります。次の日問題の女性が出勤して書類が少なくなっている状態を見ても、顔色一つ変えません。まるで気づいていないかのようです。
この女性も言い訳が抜群に上手でした。
ある時見かねて厳しめに注意するとウォーン、ウォーンと怪獣のような鳴き声で2時間くらい泣かれてしまい、周りのみんなを唖然とさせました。
世の中はもちろん欺瞞や不正に満ち溢れているのだが、それに怒るよう焚きつける者にはそれ以上に気をつける必要がある。そんな親切を義憤にかられて無償でやる者がいるはずがなく、多くは結局別の欺瞞や不正に繋がっているからである。
だから、そろそろ気づいた方がいい。
私たちは「対等な関係性で、理性的な議論なんかマトモにできない」ということに。
それでは、理想の議論とはどのような形なのか?
私が提案するのは、「王と騎士」の関係に基づく議論である。
一つ目は、異なる意見に対する態度
知的な人は異なる意見を尊重するが、そうでない人は異なる意見を「自分への攻撃」とみなす
二つ目は、自分の知らないことに対する態度
知的な人は、わからないことがあることを喜び、怖れない。また、それについて学ぼうする。そうでない人はわからないことがあることを恥だと思う。その結果、それを隠し学ばない
三つ目は、人に物を教えるときの態度
知的な人は、教えるためには自分に「教える力」がなくてはいけない、と思っている。そうでない人は、教えるためには相手に「理解する力」がなくてはいけない、と思っている
四つ目は、知識に関する態度
知的な人は、損得抜きに知識を尊重する。そうでない人は、「何のために知識を得るのか」がはっきりしなければ知識を得ようとしない上、役に立たない知識を蔑視する
五つ目は、人を批判するときの態度
知的な人は、「相手の持っている知恵を高めるための批判」をする。そうでない人は、「相手の持っている知恵を貶めるための批判」をする。
知的である、というのは頭脳が明晰であるかどうか、という話ではなく、自分自身の弱さとどれだけ向き合えるか、という話であり、大変な忍耐と冷静さを必要とするものなのだ、と思う。
B‑H‑D フレームとは何か
紹介する B‑H‑D フレームの要点は以下の三つである。
(1) Background(背景)
なぜこの問いを投げかけるのか、どんな文脈・経緯があるのか。まずは「依頼がどこから来て、どこへ向かっているのか」を明示する。
(2) Hypothesis(仮説)
送信者の考えや狙い、あるいは「こういう結果であれば A、そうでなければ B」といった想定を先に書く。「これを確認したい理由はきっと●●だからだ」「こういう数値が出れば▲▲が導ける」等を提示する。
(3) Decision(意思決定)
相手(読み手)に何をしてほしいのか。データの抽出だけでなく、それが 30% を超えれば新機能に Go したいのか、3日以内に回答してほしいのか――そうした「結果をどう扱うか」「いつまでに意思決定したいか」を明確にする。
この三つが先に提示されていれば、受け手は最初の段階で「ああ、そういうことを考えているのか。だったらこういう指標も必要かもしれないな」「締め切りは 3 日後だからこの形で進めよう」と段取りを整理できる。結果的に、無駄な追加質問を減らし、往復を最小化し、意思決定を加速できる。
ゲームでも勉強でも何でもいいんだけど、私はどんな物事でも「効率良く上達する」ということに興味がある。
取り組もうとしていることの全体像を認識し、そこにはどんな知識や技術が存在するのかを把握、そしてそれを重要度によって分類する。
ここで言う重要度は例えば「必要となる頻度」と「結果への影響度」の2軸で考えることが出来て、その両方が高い技術が最優先、その次に「頻度は低いが結果への影響度は大きい」と「結果への影響度は大きくないが頻度が高い」の2つを覚える。
もちろん各要素は必ずしも独立とは言えなくて、ある技術を身に付けないと別の技術は活かしようがないというような関係性な場合もある。そういったことも含めて分析して、どういう順で学んでいけばよいのかを考える。
こうすることでどんな物事でも効率よく初心者を抜け出して中級者になることができる。その中級者になるまでの最短経路を探すということ自体を私は楽しんでいる。
ただそういう思考だと、中級者までは行けてもそこから先には中々進めない。
私のやり方の場合、身に付くのはあくまで「典型的なケースにおける正解を身に付けて、パターン認識によって対応する」という能力だ。これで80%の状況には正しく対応できるし、それ以外のケースでもそんなに大外しはしないよね、という所を目指すことになる。
でも上級者になりたいならば、どんな世界でも非典型的な状況に対する精度を上げていかなければならないものだ。
そして大抵、80%の状況への対応までは下手の横好きで行けても、残り20%は人生を賭けても到達できないぐらい深遠な世界だったりする。
さらにそこにはもう分かりやすくまとめられたテキストなんて無いことが多い。各自が気が遠くなるほどの時間をかけて試行錯誤を繰り返して、その結果偶然上手く行ったものを一つ一つ拾い上げて積み上げていく世界になる。
つまり、もうそこからは「効率的な上達方法」なんて無いのだ。
だから私の興味関心は、大抵そこで終わる。
中級者になったあたりで上級者の世界を見た時に「ここから先は私が立ち入る領域じゃないな」と気が付いてしまう。
そうやって中級者レベルで終えてきた物事が結構多い。というより何一つとして上級者ですと胸を張れるようなものが無い。仕事だって勉強だって趣味だって、結構色々やってきたけど全部中途半端。
まぁこうやって自己分析しているぐらいだから私はそういう人間だと理解しているし、私にとって美味しい部分だけ頂いてやりたくないことはやらないという面ではある意味幸せな生き方なのかもしれないとは思う。
でもそれでもたまにふと、効率とか関係なく好きになったモノに延々と熱心に打ち込んで上級者の世界に行っている人たちって良いな、羨ましいなと思うのだ。
本書で自身が述べているが、山形浩生は頭がいい。
この「頭がいい」とは、対象の本質をすばやく理解し、自分の言葉で説明できるという意味だ。「結局何が言いたいの?」という問いを常に発している人だ。
もちろん「結局何が言いたいの?」というスタンスは誰だって持っているだろう。だが彼の場合、これを徹底している。本を読むとき、頭(テーマ)と尻(結論)を先に読んで、あらましを捕まえる。推理小説でも末尾の種明かしから読むとのことだ(もったいなくない?)。
「結局何なの?」と突き詰めていくと、大したことを言っていないことに気づくという。トロツキーはスターリンの罵倒を繰り返しているだけだし、ピンチョンは思わせぶりなネタを並べるだけで無内容だし、フエンテスも反近代的な妄想をまぶしているものばかりだという。
ワイは自己実現という言葉が昔から嫌いだった。自分の中に「本当の自分」や「本当にやりたいこと」があるという前提が胡散臭くて信じる気にならなかった。なのでキャリアも行き当たりばったりの偶然に任せるのを良しとしてきた。計画的偶発性理論を知った時は同じこと考えてる人いるんだなと思った。
自己実現によるキャリア形成が主体的な選択によって積み上げられるとするのに対して、計画的偶発性理論ではキャリアの8割は偶然に左右されるという身も蓋もない前提から考える。そのためキャリアプランも敢えて細かく立てない。
自己実現というのは、その根っこを辿ると、確固たる主体が自分の中にあるという西欧的な価値観に行き着く。でもそんなものを持ったことのない日本人に「本当の自分」を見つけましょうと言ったって、内面を見つめても見つかるのは空虚だけだ。
私が聞いた中で、最も記憶に残っているのは
「とにかく、邪悪な人を採用しないようにする」
という、ある経営者の話だ。
「邪悪」という強いことばが何を示しているか、最初、よくわからなかったのだが、採用面接を繰り返すうちに、なんとなくわかってきた。
邪悪な人とは、仕事においては「仲間や組織風土に、悪影響を及ぼす人」を指す。
すぐにマウントを取ろうとする人。
・「別に悪口言ってるわけじゃないよ? 事実でしょ?」
・「今日のプレゼン、内容が薄いよね~」
・「君にはまだ早いかな。もう少し勉強してから提案したら?」
妬みと悪口ばかりの人。
・「今回はタイミングが良かっただけでしょ」
・「まぐれで上手くいっただけで、大したことないよ」
・「才能ないよね。」
責任を果たそうとしない人。
・「そんな理想ばっかり言っててもね~」
・「私はこの程度なんです」
・「そこまでやるように言われてませんでしたけど?」
・「勉強したくありません」
こうした発言の元にある思想は、強い利己性だ。
STEP1「できごと+感じたこと」をメモする
【POINT】心が動いたできごとをメモでためる
必ず「できごと+感じたこと」をセットでメモすることです。
STEP2 頭に浮かんだ言葉をノートに書きだす
【POINT】「のはなぜか?」を足して問いをつくる
さらに、ステップ1で、必ず「できごと+感じたこと」をセットでメモしてほしいとお伝えしたのは、ここに理由があります。
もし、メモの内容が「できごと」だけ、つまり「プレゼン終了。」だけだったら、プレゼン終了。のはなぜか? となってしまい、そもそも問いとして成立しません。
また、「感じたこと」だけ、つまり「テンション上がった。」だけだと、テンション上がった。のはなぜか?となってしまい、いったいどんな「できごと」でテンションが上がったのかを思い出すのに、時間がかかってしまいます。
「できごと+感じたこと」をセットでメモして、そこに「のはなぜか?」の6文字を足す。これが、習慣化の大敵である手間と時間を極力省きながら、一瞬で自分への問いを立てることができる、私の考えるもっともシンプルな方法です。
・何かのテーマや問題について考える時、別々に考えるべき問題をごっちゃにしてしまうことがしばしばあります
・問題と問題の関連づけが妥当でないと、結論が迷子になってしまう場合があります
・私の場合、思考を整理するために、以下の4つのチェックポイントを設けています
―因果と相関は区別出来ているか
―問題の粒度や重要性をそろえられているか
―主観的な思考・意見と客観的な事実を区別出来ているか
―事実の時系列を整理出来ているか
・特に何かを批判する時、チェックが甘い「関連づけ」をしてしまうことがあるので気をつけたいですよね
Step1. 本を読む
Step2. 再度本を読みながら要約する
Step1で本を読むときは、さらっと、なんとなーく読む。 "パラパラめくる感じ" って言うと言い過ぎなんだけど、 「どーせ Step2 で読むことになるしな」って感じでサーッと読む。 これによって本を読むスピードが早くなる。
Step2では要約もしていくんだけど、Step1で書籍の全体像や自分にとっての重要ポイントが分かっているので、 要約作業が結構サクサク進んでいく。
■ 1. 哲学的カミソリとは
- 定義: 哲学的カミソリとは、思考を整理し、不要な概念や仮説を切り捨てるための論理的な思考法である。
- 種類:
- オッカムの剃刀(Occam's Razor):
- 内容: ある事柄を説明する際、必要以上に多くの仮説を立てるべきではない。最もシンプルで説明できる仮説が最も正しい可能性が高い。
- 由来: 14世紀のイギリスの修道士、ウィリアム・オッカムが提唱。当時の神学的な複雑な説明(例:地球が巨大な亀に乗っている)を切り捨て、近代科学の基礎を築いた。
- ハナロンの剃刀(Hanlon's Razor):
- 内容: 悪意で十分に説明できないことに悪意を見出すな。無能や怠慢の方が悪意よりも頻繁に発生し、事象の原因であることが多い。
- 由来: ロバート・ハナロンが1980年に名付けた。
- ヒュームの剃刀(Hume's Guillotine):
- 内容: 事実と価値判断を完全に切り離す。事実(「〜である」)から論理的に価値判断(「〜すべきである」)を導き出すことはできない。
- 由来: 18世紀の哲学者デイヴィッド・ヒュームが指摘。
- ヒッチンズの剃刀(Hitchens' Razor):
- 内容: 証拠なしに主張されたことは、証拠なしに否定できる。
- 由来: ジャーナリストのクリストファー・ヒッチンズが用いた格言が、インターネット上で広まった。
- ポッパーの剃刀(Popper's Razor):
- 内容: 反証できない理論は科学ではない。どれだけ多くの証拠を積み重ねても絶対的な真理には到達できないため、いつでも間違いだと証明できる可能性を持つ理論だけを科学として認める。
- 由来: 哲学者カール・ポパーが提唱。
- グライスの剃刀(Grice's Razor):
- 内容: 意味の説明は必要以上に多様化させるべきではない。余計な解釈を切り捨て、本質的な部分だけを残す。
- 由来: 言語哲学者ポール・グライスが提唱。
- セーガンの剃刀(Sagan's Razor):
- 内容: 桁外れな主張には、桁外れな証拠が必要である。主張と証拠の釣り合いを求める。
- 由来: 天文学者カール・セーガンが提唱。
- 逆オッカムの剃刀(Reverse Occam's Razor):
- 内容: シンプルな説明よりも、複雑でエキゾチックな説明の方が好まれるという、最近の科学界に存在する傾向。
- 由来: 2022年にネイチャーフィジックスで論文として発表された。
■ 2. 「逆オッカムの剃刀」の問題点
- 科学界の傾向: 最近の科学界では、斬新でエキゾチックな主張が注目され、単純な説明よりも好まれる傾向がある。
- 具体例:
- ストロンチウムルテニウムオキサイド: P波超電導というエキゾチックな仮説が20年間にわたり信じられたが、元の実験に問題があったことが後に判明した。
- 非従来型超電導と磁性の共存: 誤りであることが判明した論文が、訂正論文よりも長期間にわたり多く引用され続けた。
- 結論: エキゾチックな解釈は注目を集めるが、真実から遠ざかる危険性がある。
■ 3. 哲学的カミソリの活用法
- 思考のツール: 哲学的カミソリは、論理や説明を整理し、思考を洗練させるためのツールである。
- 注意点: 使い方を間違えると、論理が薄っぺらになり怪我をする可能性がある。
1:どうせ無理だ
2:あの人のせいだ
3:あいつは役に立たない
4:自分には関係ない
5:そんなの意味がない
6:あいつより自分の方が上だ
7:私は正しい
大多数の人が、「怒りたくないのに、怒ってしまう」ことに悩んでいるのに対して、彼は全く逆の発想を「怒る」に対して持っていた。
彼はこういった。
「怒ることに実入りがある、怒る必要がある時には、ちゃんと怒りを表明しますよ。」
多くの人にとって「怒り」は、一種の生理現象であるのに対して、彼にとって、「怒り」は、たんなる問題解決の「手段」の一つに過ぎない。
「怒りを感じるのは誰でも一緒。だけど「怒る」と「我を失う」こととは、実は簡単に切り離せる。」
「どうやって?」
「カンタンだよ。「ここで相手を責める、不快感を示す、怒鳴る、そしたら問題は解決するか?」って考える。」
つまり、彼の言い分はこうだ。
我を失って、怒鳴り散らして問題が解決するならぜひそうする。でも大抵は無駄で結局、気分も全くスッキリしない。揉め事が大きくなる。
だから、まずは怒鳴るのではなく、「ほしい結果」だけを考える。
彼の言う「ほしい結果」とは例えば、こんな感じだ。
・相手が反省する
・相手の行動が変わる
・自分の理想の状態になる
そして最後に、彼はこういった。
「もちろん、「相手を全力で傷つけたい」ときには、怒鳴るしかない。でも幸いなことに、今までそういうケースはない。」
不幸な人の特徴を「不幸の三原則」として以下のように挙げています。
【自己憐憫】
「私はかわいそう」「私は不幸だ」と、自分をかわいそうに思う気持ち。
【責任転嫁】
「自分は悪くない」「他人のせいでこうなった」と、自分の責任を他人に転嫁する気持ち。
【依存心】
「自分は一人では何もできない」「他人に助けてもらうしかない」と、他人に依存する気持ち。
[...]では、このような「すり合わせ」を適切におこなうには、どんなスキルが必要なのでしょうか?
私は「概念」でものごとを捉えるスキルだと思っています。
ここまでの話からすると「ユーザー目線で考える力」とか「コミュニケーション能力」が必要なのかな……と思うかもしれません。
もちろんそれはそうなのですが、適切な思考やコミュニケーションの「前提」となるのが、概念の理解なのです。
私に「概念整理」の大切さを教えてくれたのは、学生の頃にお世話になったプログラミングの師匠でした。
彼から口すっぱく言われていたのが「日本語で説明できないことを、プログラムで書けるわけがない」ということでした。「まずは日本語でプログラムしてください」と叩き込まれていたのです。
「情報を伝えるって難しいことだから、当然苦手な人もいる。でも、ただ「苦手」ってだけじゃなくて、ざっくりと傾向別に分類出来る。
大雑把に言うと
「①情報量が足りない人」
「②情報量が多すぎる人」
「③情報と情報のつなげ方がおかしい人」」
「①の人は、伝えるモチベーションが低いか、どんな情報が必要なのかが分からないから聞かれたことだけ答える、ってパターンが多い。だから、「どんな情報が必要なのか」をある程度限定して、伝達のコストを下げてあげる必要がある。情報は発散しなくなっちゃうけど、アンケート項目みたいな形で一旦絞っちゃうのがいい」
「②の人は、伝えるモチベーションは高いけど情報の取捨選択が苦手なのか、あるいは「誤解を与えないように」って意識が強すぎて前提や防御線を張り過ぎちゃう人か。こっちは「気付いてないこと」について知りたいわけだから、色々出てくるのはむしろありがたい。ただ、防御線ってあんま有益な情報じゃないことが多いから、「防御線不要」ってことは事前に納得してもらった方がいいし、「ここまでは知ってる」ってことは最初に伝えるのがいい。そうすると情報の取捨選択がしやすくなる」
「③の人は色んなパターンがあって難しい。元々話があっちこっち飛びやすい人か、頭の中では話がちゃんとつながってるんだけど接続のための情報が漏れちゃう人か。こっちが知らない前提を知ってるものと思い込んで話しちゃう、ってパターンもある。遠慮なく話せる関係性なら、話の優先順位をテンプレートにしてすりあわせるのがいいんだけど、客先だとそうもいかないから、yes/noのQA形式にした方が混乱しないかな」
怒られが発生してムカつくときにはあたかも指示内容と認識にズレがあったかのように「あ、そういうことだったんですね!ちょっと理解できてなかったです、すみません」とか言っとけばなんか相互理解が深まった有意義な会話みたいになって丸く収まります、社会人ライフハック
要するに結論と根拠を「したがって」と「なぜなならば」でつなぐのが、論理だというのだ。
確かに「論理とは筋道」である。
ただし波頭亮さんは、「論理的」というためには、条件がある、という。
それは、この「したがって」と「なぜならば」について、大多数の賛同が得られるような客観的妥当性と、受け手の納得感が求められることだ。
しかし。
そう考えていくと、論理というのはどこまでも主観的要素である、とも思えてしまう。
「結論から言って」と要請しても、「結論から言えない人」というのが、大量に存在したのだ。
その話は、こちらの記事に書いてある
そしてついに、「結論ってなんですか?」という人が現れた。
そして、上司もそれに答えることができない。
そう。
「論理的」と同様に、「結論」という言葉も、非常に抽象的、かつ定義の曖昧な言葉だったのだ。
結局、上の本にも書いた通り、10年以上コンサルタントをやってきて、出した答えは要するに
「結論」とは、「相手の最も知りたい話」のことだ。
繰り返すが、「結論から言う」とは要するに、「相手の一番知りたいことから話す」ということなのだ。
「結論から言う」ことは「相手の知りたい事から話すこと」それがすなわち、「論理的に話す」ということ。
これらは全く同じ行為。
それさえわかっていれば、「論理的思考」は、もう怖くない。
小難しいことを言わずに、「相手が欲しい順番に、欲しい情報を渡してあげる」こと。
「論理的」とは、たったそれだけのことだ。
マウントを取る人は、他人を競争相手としてみなすことが多く、これにより対等な関係を築くことが難しくなることがあります。また、マウントを取ることは、自分の価値や能力を認められない自己肯定感の低さから来ることもあります。対等性を持つためには、「相手の立場になって考える」「自分に優しくするから相手にも優しくできる」という考え方が重要です。これにより、マウント癖を抑え、より健全な人間関係を築くことができます。
また、「協力的態度」を持つことで、人間関係がより良くなる可能性があります。
競合的態度とは、相手を裁く態度を指します。これは、自分の利益を他人の利益よりも優先することや、相手を下げることを目的とした行動を含みます。アドラー心理学では、「競合的態度」 competitive attitude と「協力的態度」 co-operative attitude を二項対立させており、人間関係がこじれるのは競合的な態度に起因すると考えられています。協力的な態度は、相手を裁かずに共通の目的のために一緒に仕事をすることを意味します。競合的な態度は、対立や矛盾するもの同士が争う様子を表現します。
競合的態度を持つ人々は、他人を過剰に警戒していることが多いです。
アドラー心理学によると、競争社会の中で他人への警戒心や過剰な緊張感を抱えて生きている人は少なくないとされています。このような態度は、ストレスが蓄積し、疲弊してしまうこともあるため、心の問題や対人関係の問題が生じる可能性があります。
また、競合的態度は「縦の関係」の視点から生じる問題とされており、自分の存在価値が貶められて自尊心が傷つくことを恐れるため、常に頑張り続けていなければならないという考え方があります。
競合的態度をとってしまう人が気を付けることは、以下のようなサインがあります。
(1) 他人を過剰に警戒:他人の意図や動機を常に疑う傾向がある場合です。
(2) 緊張感:ストレスが蓄積し、緊張していることが多いです。
(3) 自己否定:自分自身に対して厳しく、自己肯定感が低いことがあります。
(4) 対等性の欠如:他人との関係で対等性を感じないことがあります。
(5) 競争心:他人との競争を好むことが多く、協力的な関係を築くことに苦労することがあります。
「なぜを6回繰り返すと問題の本質がわかる」という理論はトヨタのような優秀な社員が多い企業でのみ有効です。バイトで働いている「失敗して落ち込んでいる人」にやらせると「自分が無能な愚か者だったからです」という結論になりやすくなります。私も結論が大抵はこれになります。
そもそも「イヤな相手」を、なぜイヤだと思うのでしょうか。
その本質は非常に単純です。
「その人と付き合うメリット」から、「デメリット」を差し引いた結果が、マイナスの人物だからです。
付き合うメリットより、デメリットの方が大きい人、いますよね。それが「イヤなやつ」です。
[...]だから、「人間関係」に悩んだら、他にメリットのある人間関係を数多く作ればよいのです。
そうすれば「デメリットの大きい関係」の相対的な価値が下がる。
ストレスのかかる、デメリットの大きな人付き合いをしなければならないとしても、他の人間関係を作って、その重要度を下げてやればいいのです。
[...]ただし、これには注意点もあります。
「実は、自分自身がイヤなやつだった」という場合です。
「フリーライダー」、つまり相手の善意にただ乗りしている場合。
人間関係からメリットを得ているのが自分だけの場合。
相手を良い気分にさせていない場合。
こういうケースは、自分では気づきにくいです。
が、相手からすれば「あなたとの関係こそ、切るべき関係だった」という事が往々にしてあります。
1. なぜやるかを明確にしている
2. 何をどこまでやるかを明確にしている
3. いつまでにやるかを明確にしている
4. 選択肢を出し提案して決めている
5. 自分から状況を共有・相談している
これはマジな話ですが「心に余裕がない」「見通しが立てられない」「体調が悪い」の3カードが揃うと「性格がめちゃくちゃ悪い人」になります。自分もそうなるし、相手もそうなると覚えておくと、視野が広がりますよ。
ライブ会場で座席がなかった件が話題だから、こういったトラブルが発生した時にイベントの中の人として客にされたくない行動を紹介したい。
仮定
ライブを見るために会場を訪れたところ、座席がない。スタッフに問い合わせると返金と元々想定されていた座席よりもランクダウンした代わりの座席への移動を提案される。目標は同等ランクの席に座ること。
①責任者を呼ぶ
被害が広い場合は複数人のスタッフがその場にいると思うが、ほとんどアルバイトやイベンター側の平社員なので、必ず責任者を呼ぶこと。
②責任者から名刺を受け取る
責任者の名前と役職を確認するために必要
③許可をとって会話を録音する
後から言った言わないで揉めないため。許可のない録音は証拠にならない可能性があるのと、相手も悪人ではないので事前に必ず一言断ってから録音しよう。
④他の人と離れた場所で交渉
良い座席が1つだけ空いている、といった情報が引き出しやすくなり、被害を受けた集団の代表ではなく個人である方が交渉がスムーズに進む。
⑤返金、座席の振替に絶対に応じない
上記のような望んだ対応が得られない場合は応じてはいけない。返金や振替に納得していない旨をしっかり伝える
⑥さらに上の立場の人に繋いでもらう
その場にいない、会場責任者の上司などに電話を繋がせる。会場内の出来事として処理させず、社内に被害を直接伝える。
⑦警察を呼ぶ
交渉が決裂した場合や、相手が高圧的で恐怖を感じた場合、交渉にまったく応じないなどの場合は「警察呼んでもいいですか?」と声をかけよう。これくらいで?と思う人もいるだろうけど、地域のトラブルを仲裁解決するのも警官の仕事なので大丈夫。あとイベントの中の人は開演前に警察呼ばれるのめちゃくちゃ嫌うので交渉の材料にもなる。
今回みたいな200人規模になると全員が助かるのは難しいけれど、自分だけ良席を取り戻したい場合はこの手順である程度交渉できると思う。
被害者ならば、とにかく相手の立場になって、相手がやってほしくないことをしよう。
人って基本的に自認の通りの人物になるから、毎朝起きてから「わたしは誠実で勤勉で健康的な食事ばっか取るからいつも気分もいいしスマートな女だ」とか呟いておけばなぜか本当にそれ寄りな感じの生活できるんだよね。マジ脳みそ単純で人生ちょろい
己自身は挑戦をしない。挑戦しないから失敗することもない。そして、挑戦し失敗した者を笑っていればプライドは傷付かず、失敗を予見していた自分はすごい!と自画自賛できる。
しかし、所詮外野の予想など当たるも八卦外れるも八卦なので全く参考にならないのだ。
失敗の理由や経緯はそれぞれ違うだろう。
それを知る立場に無い者がどれだけ賢しげに語ったところで所詮外野の囀り。
むしろ、挑戦しない事自体が失敗であることに気付けないまま老人になってしまった哀れさが際立つ始末である。
昔、友人に言われた「本当にお前が優秀で相手がバカなんだったら、バカを説得したり騙したりして味方につけられるはずだけど、それが出来ないならお前も同レベルのバカなんだから、あんまり人を見下したりしない方が良いよ」って忠告、歳を重ねるほどに沁みてくるな。
議題
所要時間
必須参加者
他参加者
目的(意思決定、情報共有、フィードバック)
意思決定の場合:
・(1) 何の意思決定が必要?
・(2) 誰の意思決定が必要?
・(3) その意思決定は後でやり直しがきくもの?
上司「議論は相手から引き出せるものがあると思うなら、どんどんしろ。それは生産的な議論だ」
上司「相手を説き伏せたいだけなやら、やめろ。生産性がないし恨みを買うだけだから」
会社が変わってからも、このルールに沿って議論をするかどうかの判断をしているけど、人生が捗りまくっている。
「参上」は「偉い人に呼ばれて来たぞ」で
「見参」は普通の「来たぞ」で
「推参」は「勝手に来たぞ」
という意味だと知ったのが今日のハイライト。推して参るやつは身勝手で、忍者ハットリくんは謙虚。